9月13日 15:10-
山野と山野の彼女と三人で色々回った。
山野の彼女は小悪魔系のギャルで山野にだけ当たり強いけど、山野以外には優しい。
空気読め、と言わんばかりの山野をガン無視で一緒に遊んでくれた。
でもなんか。山野のこと本当に好きなんだなーって伝わってきて。
さすがに離脱した。空気読まなくて本当ごめん。
センパイん家は学校の裏側だ。ぐるっと回るとそれなりに時間がかかるけど、校庭を突っ切ってフェンスを乗り越えるとすぐだ。
玄関のチャイムを押す。さすがに鍵は返した。
しばらくすると、センパイが出た。
お団子頭にタンクトップにショーパンで、見るからに部屋着。つかそんな格好で出るなよ。
「あ、何?なんかあったけ?」
きょとんと首をかしげるセンパイ。
「今日文化祭ですけど。」
「あ、うん。だよ?」
「来ないんですか」
「え、いくの?」
心底不思議そうな顔。え、俺そんなヘンなこと言ってる?
「あー、ごめん。行くか。準備するから待ってて。」
センパイは頭をがしがし掻いた。
待っててって、居間に案内される。
テレビでもみる?なんてテレビをつけていった。
この時間帯って今こんなんやってるのか、ちょっと新鮮だ。
普段見ることのないテレビ番組は意外と面白かった。
ふと、シャワーの音が聞こえる。
バカみたいだけどなんか焦った。
そういえばあのタンクトップの下はつけてなかったんだろうか。
もっとよく見とけばよかった、って思ったところで足音が聞こえた。
「お待たせーって、何してんの?」
センパイの顔が見れずに変な方向向いたら首が痛くなった。
センパイはいつもみたいに髪を下ろしてる。
けど、制服じゃない。
パーカーを羽織って、黒いズボン。
「制服じゃないんですか」
「今から着るのもねぇ」
時計を見ると、確かにもうこんな時間。
今更感はある。
学校へつくと、一般公開の時間はそろそろ終わりそうだった。
正直、センパイを連れ出しておいてちょっと気まずい。
センパイは気にした風もなくスタスタと歩き出す。
どこ行ってももう終わりだろうけど。センパイはどこに行くんだろう。
立ち尽くしていると、センパイは振り返って呆れたようにこっちを見た。
「村入、楽しまないと」
楽しみにしてたんでしょ?って大人びた笑顔だ。
「センパイは?」
「たのしーよ」
じゃなくて。どうするの?
「んー、じゃあ村入、私とくる?」
「いく」
その言葉を待ってたんだった。