ある夏の午後(7月3日)
「アイスうまーい。うまくない?」
「うまいうまい」
チョコアイスの中のマシュマロとチョコクリームのどろっとした加減がおいしいのだ。
「これ姉貴のバイト先の?」
「そうそう」
店の新作のアイスが美味しいので弟にもお土産を買ってきたが、喜んで貰えたようで何より。
「姉貴さ、村入のところ行ってるんでしょ?」
あっという間に食べ終わった弟が話を振ってきた。
「おうよ」
「めちゃ噂になってるよ。」
「えーなんで」
「普通は2年が1年のクラスに来ることなんてないからかなぁ。」
「えー」
弟とだらだら喋っていると、玄関のチャイムが聞こえた。
「だれだろー、」
部屋の窓からは玄関が見えるので、覗くと村入だった。
二階から降りて玄関を開ける。
「村入じゃん、どーしたの?」
「よっ」
何故か弟までついてきた。
村入はなんだか緊張しているようだ。
顔の赤さは暑さのせいだろうけど。
「あの、ちょっと、話というか、」
しどろもどろの村入。
弟と顔を見合わせた。
ちょっと来てと言われたのでついていく。
家を回った裏道に、誰かいた。
自転車を引いてワンピースを着た女の子。
少しぽっちゃり目で美形っていう感じじゃないけど、雰囲気が見るからにいい人。
かわいらしい子だ。
この子知ってる。村入の幼馴染みって子だ。
目が合ったのでにっこり笑うと、会釈を返してくれた。
「かわいいね」
「それで、今日は言いたいことがあって、」
村入は女の子の横にぴたっと寄り添った。
「つまり、こういうこと!」
二人とももじもじしている。
暑そうな汗までなんだかお似合い。
「あーっと、二人は付き合ってるっていうこと?」
うんうんと頷く二人。なるほど。
「だから、昼休みとか来ないでほしい。」
村入が言う。
どうしよう。どっちのほうがいいのかな。
弟をちらりと見るけど、何を考えてるのか分からない顔をして二人を見ていた。
「あーっと、わかった。そうするね」
行かないって言ったのに二人は驚いたようなほっとしたような、物足りないような顔をした。
じゃあね、とくるりと来た道を戻る。
弟はついてこなかった。隣のクラスだから何か話でもあるのかもしれない。




