6月18日
「やっぱ村入バスケ上手いなぁ。」
感心したように言われてちょっと照れ臭い。
「まあ。中学の時、バスケ部だったから。辞めちゃったけど。」
体育祭はクラス対抗の球技だ。
新入生の1年はもちろん、クラス替えのある2年も親睦会の雰囲気がある。
本気なのは3年だ。3年になるときはクラス替えもないし、これが終わったらいよいよイベントがなくなるからってことで、気合いが入るらしい。
鬼気迫る3年に、つい最近まで中学生だった奴らは正直敵わない。
たまに1年で運動神経のいいやつがいたりすると、結構目立つ。去年の俺とかあんな感じだったかなって思った。
バスケの決勝戦の相手が、3年の特進クラスだった。うちのクラスはほぼ全員が応援に来てくれてる。
一方で、相手のクラスはそうでもない。何でも色んな競技で勝ち残っているから分散してるんだとか。普通にすげえ。
結果は惜しくも負けた。
結構頑張ったけど、相手のほうがもっと頑張ってたって感じだ。
聞いたら、冬から昼休みとか使って練習してたんだとか。勝てねーよ。
「女子ソフトの決勝やってるって~」
クラスのやつはもう全部終わったし、暇だからって見に行くことになった。
校庭へ行くと結構人がいた。
こんだけ注目されるとやりづらそう。
カキーン。
すっげ、いい当たり。これいったら逆転勝ちか。
バッターの人上手いなって思ったところで。
「ナイスキャッチーっ!!!」
センターが捕った。
まじか、と見たら。
センパイだった。
周りの人からわしゃわしゃってされて、スゲー不機嫌そう。
笑えばいいのに。
ぼんやりしていると、クラスの女子に話かけられた。
「てかさー、村入なんでそんな運動できんのに部活とかやらないの?とか聞いていいやつ?」
「別に大したことじゃないんだけど、」
中学の時、バスケ部に入っていた。
一個上の先輩達が上手くて県大会とか行ったりしていた。同学年じゃ唯一のスタメンだったから、結構ガチでバスケにのめり込んでいた。キャプテンとは特に仲良くて、キャプテンがマネと付き合い始めてからも3人で帰ったりしてた。
そのうちマネが恋愛相談的なものをしてくるようになった。正直よく分からなかったけど、頼られてるのが分かったから話は聞くようにしてた。けど、なんかそのうちマネが俺のことを好きとか言ってくるようになって、冗談かと流してたけど、キャプテンとも雰囲気悪くなってしまった。
「…で、居づらくなって地区前に辞めた。俺のせいで負けたとか言われたくなかったし。体動かすのは好きだけど部活はもう勘弁かなって。」
結構俺マジなトーンで話したんだけど、その話振ってきた女子の返事はこう。
「なんか青春だね、羨ましい。リア充かよ。滅びれ。」
こわっ。真顔やめて。いやまじで。