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09話 私はトイレに行きたいとお願いしました

私とクルルは攫われた女の子たちが捕らえられている部屋に連れてこられました。 

前回同様、私とクルルは、後ろ手にロープか何かで拘束されています。


「お前ら、向こうの壁際に行け」

「ひとつ、質問いいですか?」

「お断りだ!!早く行け!」

「ト、トイレに行かせてください!!」


私は人攫いのアジトに来て、お家モードになってしまい、トイレに行きたくなってしまったようだ。


「ハッハッハ、こりゃ、傑作だ。そのまま、漏らしてしまえ!!」

「そんなこと出来ません!!」


私は涙目で訴える。

壁に両手を縛られて、拘束されている女の子たちが私に加勢する。


『あんた、それはないでしょ!!年端もいかない女の子だよ!!』

『クーズクーズ!!外道!!』

『ブサイクな顔だと思ったら、心までブサイクなのね!!』


「黙れーーー!!攫われたんだから、当たり前だ!!自由に行動できるわけないだろ!!」


私に加勢してくれた女の子たちは、ビビって、静かになった。


「それでいいんだよ。大人しくしていろ!お前も早く向こうの壁際に行け!!」

「漏らすことなんてできません!!」


私の言葉に、人攫いのボスは一瞬、驚いた顔を見せる。


「今、お前、俺の話を聞いていたか?お前に自由はないんだよ!」

「ち、違います!!」

「何が違うんだよ!!」


私は、人攫いの男の目を見て、訴える。


「ここは、親ビンのお家じゃないですか......親ビンのお家をこれ以上、よごしたくなくて......」


私の言葉に人攫いのボスは、目を丸くした。


「お前......」


攫われた女の子たちも一度は黙ったが、もう一度加勢してくれた。


『こんな心の綺麗な女の子に漏らせって......』

『私たちだけで勘弁してくれよ、その女の子はもう逃してやってくれよ』

『その女の子だけでいいからさ!!頼むよ!!』


人攫いのボスは、大きく息を吐いて、私とクルルに言う。


「おい、お前たちはめんどくさいし、もう逃してやる!!」


周りにいた人攫いの男たちも、これは仕方がないことだと納得している。

全員が私とクルルを逃すことで意見が一致している。


私は、その空気を切り裂くようにキッパリ言う!


「お断りします!!」


人攫いの男たち、そして、攫われた女の子たちまで、目をまん丸にする。

人攫いのボスが、耳糞みみくそをかっぽじってから、私に聞く。


「どうやら、俺の耳にはゴミが詰まっていたみたいだな。もう一回言ってみろ」


私は、人攫いのボスに向かって、一歩、ドシンと前に出る。

そして、大きく息を吸って、言う。


「お断りします!!」

「聞き間違いじゃなかったーーー!!」


人攫いのボスは頭を抱えて、グルングルンしている。

そして、私の顔に顔を近づけ、大きな声で言う。


「お前は一体、何がしたいんだよ!!」

「さっきからトイレに行きたいって言ってるじゃないですか!!難聴ですか!!」

「ちげーよ!!なんで逃げないんだよ!!今、逃げれたぞ、お前!!売られることなく平和に暮らせたんだぞ!!」

「私は人攫いに攫われたからには、攫われた女の子としての義務を果たしたいって思っているだけじゃないですか!!」

「何なんだよ!その使命感!!」

「人は、日々、運命と言う名の使命を帯びて生きているんです!!攫われる運命にあった私は攫われる義務があるんですっっっ!!」

「そんな義務あってたまるかーー!!」


人攫いのボスは、頭の後ろを激しく掻いて、怒鳴る。


「ああ!!もう意味分からん!!もう、トイレに行ってこい!!」

「あ、ありがとうございます」


私は人攫いのボスにお礼を言った後、気づく。

手を拘束しているロープが邪魔じゃん!!


「あの!!このロープ外してもらっていいですか?これじゃ......」


私は顔を赤らめて、人攫いのボスにお願いする。


「それ、外したら、逃げるだろう!!」

「逃げないって言ってるじゃないですか!!」


私は人攫いのボスにむぅ、と口を尖らして訴える。


......

......

......


人攫いのボスは激しく頭を抱える。


「なぜなんだ!お前は逃げないという信頼感がとてつもなく、あるんだが......」

「これが、私たちが分かり合えた証拠ですね!!これが、友情!!ですね!!」


私はそう言って、人攫いのボスに向かって、ウインクする。


「うるせーーー!そんなもん芽生えてたまるかーー!!もう、早く、行ってこい!」


そう言って、人攫いのボスはナイフで私のロープを切ってくれる。


「もう、ボス〜、話の分かるいい人ですね!!」

「お前のボスじゃねーーって言ってるだろ!!」

「マイフレンドーーー!!」

「もっとちがーーう!!」


私は、周りにいた人攫いの男たちにトイレの場所を聞き、一目散に駆けようとした。

その時、クルルが大きな声で叫んだ。


「ク、クルルもトイレに行っときたいにゃ!!」

「うん、いいよ、クルルもいこ〜!!」


私はクルルの元に走っていき、クルルのロープを解いてあげる。


「ありがとうだにゃ!!」

「じゃあ、トイレに行こっか!」

「いくにゃ!!」


私とクルルの緊張感のない会話に、人攫いの男たちは唖然としている。

私たちは、手を繋いで、ダダダ、と拘束部屋を後にした。


「ボス、いいんですか!!あいつら勝手に!!」

「ああ、いいんだよ、あいつらは逃げたりしねーよ」

「何で、急に!!」

「ふ、決まってるじゃないか!だって、あいつらは......マイフレンドだからな」

「ボスがそんなことを言うなんて......」


......

......

......


「「「「「気持ちわるーーーっ!!」」」」」

「黙れ、お前ら、全員拘束するぞ!!」

「ひいい、ボスーー!!」


人攫いの男たちが追いかけっこをしている間、私たちはのんびりトイレをしていました。


「落ち着くにゃ〜」

「だね〜和む〜」

ナルは、ボスのお家を汚したくなかったようです。

ボスは、ナルと話したことによって、気持ち悪い男になってしまったようです。


次回は、爽快に人攫いの男たちと戦います!!

ナルは戦おうとするのですが、前世では武術とは無縁だったもので...

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