07話 私は人攫いに攫われました
「私を攫うつもりですか!!」
「ああ、そうだよ!!俺たちは依頼を受ける新人の可愛い冒険者を攫って、お金持ちに売っているんだよ!その後は、お前たちにとって、地獄が待っているだろうよ」
そう言って、人攫いの男は、ナイフを舐めるのは辞めて、舌をべろりとした。
やっぱりいい人たちだーー!!
私は元気よくお礼を言う。
「ありがとうございます!!」
「なんで、お礼なんだよ!!お前、そういう趣味の変態さんなのか?」
「違いますよ〜!!今、私のことを可愛い冒険者って、言ったじゃないですか〜!!」
人攫いの男たちは言葉を失った。
「照れちゃいますよ〜!!」
「いい人たちだにゃ〜!!」
私はえへへ〜と照れながら言う。
クルルも隣で、えへへ〜と喜んでいる。
私とクルルは喜びのくねくねダンスを披露してしまっている。
クネクネ♪
クネクネ♪
人攫いの男たちは顔を引きつらせている。
「そういう趣味ではないが、変態であることは理解した!!」
「変態とはなんですか!!可愛いともっと言ってください!!」
「お前ら、早く、こいつらを捕まえろーーー!!」
人攫いの男たちの一人がそう、声を張り上げた。
「な、照れさせて油断させるなんて、卑怯ですーー!!」
「お前が勝手に照れただけだろーー!!」
「女の子は誰しもが可愛いって言われたいんですーー!!」
「そんなの知るかーー!!」
人攫いの男たちはまず、私に向かって、剣やナイフで切りかかってきた。
『 ”人攫いたちとの戦闘” ステータスに自動調整します』
「私だって、戦えるもん!」
私は戦おうとするが、剣やナイフを向けられるのは『日本』で育った私には怖かった。
「ひぃぃ、やっぱり怖い〜!」
私はビビって、目を閉じてしまう。
カキーン!
クルクル!
カシャン!
カキーン!
クルクル!
カシャン!
ポキーン!
クルクル!
カシャン!
見事な三段活用で、剣やナイフが宙を舞う。
私はいわゆる集団リンチを今、受けている状態だけど、ノーダメージだ。
斬るのに疲れたのか、人攫いたちは一旦、距離をとる。
「お、お前、何食って、体を作ってるんだよ!ダイヤモンドでも食ってんのか!!」
「そんなもの、食べてないです〜〜!!」
「くそ、早く、こいつをアジトに連れて行かないと、ボスに怒られる!おい、お前、早く捕まれよ!俺がボスに怒られるんだよ!」
「もしかして、アジトに私みたいに攫った人がいっぱいいるんですか?」
「ああ、そうだよ。明日、売りに行くんだ。これで大金が手に入るぜ!」
その言葉を聞いた時、私の頭に稲妻が走る。
ピキーーン!!
私はカッと、目を見開いた。
舞い降りたよ!!今、私に舞い降りたよ!!
私は、某ガリレオのように、フレミングの左手を顔にあてて、ポーズをとる。
ふっふっふ、天才ナルに死角なしだよ......私に会ったが10年目だよ!
ここで、私が捕まって、アジトに行って、そのボスたちをぶっ飛ばせば、捕まった人たちも解放できるじゃん!!
そうと決まれば、作戦を実行するのみだよ!!
私は迫真の演技を始める。
「グハッ!!」
私は、ダメージが蓄積していた演技で膝をつく。
人攫いの男たちは、なんだ、と驚いている。
「バタリ!!」
私は地面に倒れ込む演技をした。
「俺たちの攻撃が効いたのか?」
人攫いの男たちは私をじっくりじろじろ見る。
もう一押しだね!!
「ヤーラーレーターー!!」
私はそう叫びながら、諸手を挙げて、両足をピンッと伸ばし、地面をコロコロ転がった。
そして、クルルの足元に来た時に小声で言う。
「クルルも一緒にやって〜!わざと捕まって、アジトに行って、攫われた人たちを救出するの〜!」
「クルルもやるのかにゃ!?」
「そうじゃないと変でしょ〜!!」
「クルルはまだ、ダメージを......」
「いいから〜!!」
「「ヤーラーレーターー」」
「「ヤーラーレーターー」」
「「ヤーラーレーターー」」
私とクルルはそう叫びながら、その場でコロコロして行ったり来たりする。
人攫いたちは、口々に思ったことを声に出す。
『なんで、あの小さい子までダメージを受けているんだ!?』
『何が起こっているんだ!!』
『実は俺たちの攻撃が効いていたのか!!』
『俺たちの攻撃で頭がおかしくなったのか!!』
『クレイジーガールズだ!!』
私の頭の中に声が聞こえてくる。
『 ”天才ナル......ふふ......の作戦......ふふふ......が遂行できる” ステータスに......ふふふ自動ふふふ』
ちょ、スキルさん〜〜!!
私の体は光って、ステータスが変更された。
人攫いの男たちは私が急に光ったので驚いた。
「お、お前、何なんだよ!?」
「ヤラレタって言ってるじゃないですか!!なんで早く捕まえてくれないんですか!!」
「お、お前......」
「もしかして、頭が悪いんですか!!クレイジーヘッドですか?」
「「「「「お、お前だけには言われたくねーーーっ!!」」」」」
その後、無事に人攫いたちに捕まり、アジトに行くことになりました。
ナルさんの大根演技には、人攫いのみなさんも驚かれたようです!!
次回は、人攫いのアジトに行って、攫われた人たちを救出します!!
おバカな展開が続きますが読んでくだされば幸いです!!