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04話 私はGランクの冒険者になりました

大きな男は驚いて、私に質問をします。


「お、お前、何者なんだ」

「わ、私ですか、何者なんでしょう?」

「な、なんで、分からないんだよ?」

「な、なんででしょう」


私は質問の答えが思いつかず、慌てる。

大きな男は、調子を取り戻し、笑う。


「ハッハッハ、まあ、なんでもいいさ、強い奴は大歓迎さ」


大きな男の声は、またもや、冒険者ギルド中に響きわたる。

冒険者ギルド中から拍手や声援が飛ぶ。


『可愛いのになんて力を持っているんだ!』

『お嬢ちゃん、一緒にパーティー組んでやってもいいぜ!』

『新しい仲間に乾杯だー!』


「皆さん、ありがとうございます!」


私は手を振って答える。

そして、私は後ろにいるクルルの方を向く。

クルルは、体を限界まで縮こまらせて、震えていた。


私はクルルの背中をポンポンして言う。


「クルル!クルル!もう大丈夫だよ!」


クルルは顔を上げる。

歓迎ムードの冒険者ギルドの空気を感じ取り、顔を喜ばせて、言う。


「また、歓迎ムードだにゃー!」

「よかったね〜!優しい人ばかりで!」

「斬られると思ったにゃ!」

「私も思ったよ!」


私とクルルは笑う。

私は冒険者ギルドの受付に歩き始める。


その時、頭の中に声が聞こえる。


『 ”通常生活” ステータスに自動調整します』


クルルは私が、また、立ち止まったので聞いてくる。


「また、ステータスが自動調整されたのかにゃ?」

「うん!今は ”通常生活” モードだよ!」

「ナルのスキルは面白いスキルにゃ!」

「だね!よく分からないけど楽しいよ!」


私は受付にたどり着く。

冒険者ギルドの受付は、ケモミミのお姉さんだ。


「あの〜!私とクルル、冒険者になりたいのですが!」


私は受付のお姉さんにそう言った。

お姉さんは笑顔で答える。


「はい、では、冒険者登録に必要なので、ステータスを測定致しますね」

「冒険者登録には、どうして、ステータスの測定が必要なんですか?」

「説明いたしますね。冒険者ランクはA〜Gまで設定されています。冒険者ランクが高いほど、危険だけど高報酬の依頼を受けることができるようになります。依頼は冒険者ランクのランクまで受けることができます。冒険者ランクと等しいランクの依頼を一定回数こなすことで冒険者ランクは上がります。そして、ステータスを測定する理由ですが、ステータス値が高ければ高いほど、最初の冒険者ランクが高くなります」


情報が多くて、頭に入ってこないよ!

まあ、要するに......


「ステータスが高ければ、飛び級できるってことですね!」

「はい!」


受付のお姉さんはにっこり、答えてくれる。


「それでは測定いたしますので、この魔道具の平らな部分に掌を載せてくれますか?」

「はい!」


ワクワクワクワク!

何が起こるんだろう!


冒険者ギルド中の冒険者達が私の測定結果を楽しみにしているようだった。

小さな声で聞こえる。


『ここから、あの子の伝説が始まるんだ!』

『あのBランクの、グリスの剣をポッキポッキ折った女の子だぞ!Aランクとかだったりしてな!』

『可愛い子が高ランクになれば、このギルドは活気づくだろうなぁ!』


すっごい、ハードル上がってるよ!

ドキドキ!


私は緊張しながら、エイッと、魔道具に掌を載せた。

掌を載せた瞬間、冒険者ギルドを光が包み込んだ。


「これは絶対、いい結果が出るよ」


私はドヤーーッとした顔で、測定結果が出るのを待つ。


周りでも、みんな騒いでいる。


『あんな、光見たことねーぞ!』

『やっぱり大型ルーキーだ!』

『新時代の幕開けだ!』


唾をゴクリンコ!

ドヤーーーッ!


煙がしゅわーんと出て、結果が表示された。

なんて書いてあるか読めないね!


私は周りを見渡す!


みんな開いた口が塞がらないみたいだよ!

これはすっごく、いい結果なんだよ!


私はどうもどうもと周りに手を振る。


受付のお姉さんは淡々と結果を報告してくれる。


「えっと、お名前はナルさん、年は15歳、冒険者ランクはGからスタートになります」

「G!ということは私は ”goal(ゴール)” !最高ランクってことだよね!」

「いえ、Gランクは最低ランクになります」


さいてーらんく?

あれ、おかしいな今の流れは私は英雄か何かになれるはずだったのに...

......

......

......


「恥ずかしくて、死にたいよー!もう切腹するー!」


私がギルドから逃げ出そうとするとクルルがお腹を掴んで制止する。


「ナル!落ち着くにゃー!冒険者にならないと食いつなげないにゃ!」

「そ、そうだね!ご飯は大事!」

「そうだにゃ、クルルも測定するにゃ!」


クルルは測定器に掌を載せる。

ピカーーン!

また、ギルドを包む光が出る。


私の結果ついでに見ていた冒険者は口が塞がらないようだ。


ふっふっふ〜騙されないもん!


「えっと、クルルさん、年齢は113歳!?冒険者ランクはAです!!」


......

......

......


「なんで、クルルがAランクなのよーー!」

「し、知らないにゃ!」

「ステータス値がオールゼロとか言ってたの嘘だったのーー!」

「う、嘘じゃないにゃ!」


冒険者ギルドの冒険者達は小声で言っている。


『さっき、剣をポッキポッキしてたのは、あの小さい子だぜ』

『きっと、あのケモミミに秘密があるんだぜ』

『あの女の子が強いと見せかけるなんて相当な腕だな』


『 ”羞恥心に耐える” ステータスに自動調整します』


「もおー、そんな、自動調整いらないよーー!」


私は羞恥心でギルド中に聞こえる声で叫んでしまった。

ナルは、ステータスが生活モードで、Gランクになってしまいました。

クルルはAランクでした!


次回は、初任務を受けて、爽快にお金を稼ぎます!

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