02話 私はステータス自動調整スキルが覚醒しました
「クルル〜!冒険者ギルドはどっちにあるの〜?」
「あっちだにゃ!」
クルルは指で示して、教えてくれる。
「じゃあ、いこっか!」
「いくにゃ!」
少し歩くと私たちは、すごく疲れました。
「ハアハア、ゼエゼエ。クルル、めっちゃ、疲れるんだけど!」
「ハアハア、ゼエゼエ。クルルもにゃ!クルルたちは体力のステータスが皆無なのにゃ!」
「ハアハア、ゼエゼエ。悲観しても仕方ないから、クルル、頑張ろう〜!」
私は力なく、握り拳を挙げて、クルルと私自身を鼓舞する。
「ハアハア、ゼエゼエ。頑張るにゃ!」
クルルも、握り拳を挙げて、答えてくれる。
私たちはおじいさんのような、スピードで歩き続けた。
クルルが、体力の限界の限界が来たのか、その場でバタリと倒れた。
「クルル〜!クルル〜!」
私はクルルの上半身を起こしてあげる。
「ナル......クルルはもう歩けないにゃ......もう、クルルは置いていくにゃ......」
クルルは力なく、そう言った。
もう、本当に限界みたいだ。
「クルル......そんなの嫌だよ......」
私はクルルを抱きしめる。
「私の体力と筋力がもう少しあれば、クルルを背負って、歩いてあげられるのに......」
私はそう呟いた時、頭の中に電子音のような声が聞こえる。
『 ”背負って歩く” ステータスに自動調整します』
「何?自動調整?」
瞬く間に私の体全体が光る。
そして、その光は、私を包み込んだかと思ったら、すぐに消える。
「何、これ、何!?」
「ナル......どうしたのにゃ......」
「今、疲れが吹き飛んだよ!」
ん?それに、私、今、クルルを背負えそうな気がするんだけど!
「どういうことにゃ......?」
「クルル、ちょっと、背負ってみてもいいかな」
「ナルも......体力が限界のはずにゃ......」
「なんか、筋肉ついた感じがするんだよね!」
「わかったにゃ......試してみるにゃ......」
私はクルルに背中を向けて、背負う格好をする。
クルルは私の体にしがみ付いて、背負われる体勢を整える。
私はクルルの太腿のあたりに手を回して、立ち上がる。
「せ、背負えたよ!」
「ど、どういうことにゃ!ナルはステータスが全て0以下のはずにゃ!背負えるなんてありえないにゃ!」
「ええ、な、なんで〜!背負えてるの!」
「ナル、ナルのステータスを見てみるにゃ!」
「そんなことできるの!?」
「クルルはこれでも元々神様だったからにゃ」
クルルは、少し待つにゃ、と言って、背負われたまま、私のステータスを確認する。
クルルの目には私のステータスウィンドウが見えているらしい。
「にゃんと!」
クルルは驚いて、目を丸くする。
私は何に驚いているのかすごく気になって声をあげる。
「どうしたの?私、どうしちゃったの?」
「ナルの体力のステータスが『1000』になってるにゃ!それに腕力のステータスも『1000』になってるにゃ!」
「ええええ!だから、体力が回復した気持ちになったの?」
「そうだと思うにゃ!それに、ナルにはみたことない項目があるにゃ!」
「何があるの!?」
「残ステータスポイントという項目にゃ!ここには『99万8000』と記されているにゃ!」
「どういうことなの?クルル!!」
「クルルも分からないにゃ!でも、状況から察するに、このステータスポイントは転生時にナルが割り振るはずのポイントだったはずにゃ!」
「99万8000+1000+1000=100万!計算合ってるね!」
「そうだにゃ!むむむ!」
「今度はどうしたの!?」
クルルは、また、何かを見つけたのか、背中で私のステータスウィンドウを凝視している。
私は気になって、体を捻って、自分の背中の方を見ようとする。
「ス、スキル欄にみたことないスキルがあるにゃ!」
「なに、なんなの!?」
「『ステータス自動調整』というスキルにゃ!」
「それ、なんなの、クルル!」
「分からないにゃ!」
私は少し引っかかって考える。
......
......
......
「あーーー!」
私は思い出して、大きな声をあげる。
クルルも興味津々で聞いてくる。
「ナル、どうしたのにゃ!」
「さっきね!頭の中で『自動調整します』とか言ってた!その後、体がピカーって光って、急に元気になったの!」
「にゃんじゃと!」
「もしかして、それが、ステータス自動調整スキルっていうこと?」
「そうだと思うにゃ!でもどうやって、スキルを使ったのにゃ!」
「わかんないよ!さっき、もっと体力があれば、もっと筋力があれば、クルルを背負えるのに〜!って思ったの!そしたら、いきなり!ピカーって!」
「もしかしたら、そうやって思うことがスキルの発動条件かもしれないにゃ!」
「そうなのかな!!」
「何か、思ってみるにゃ!」
「高く飛びたい!高く飛びたい!」
ポン。
ポン。
ポン。
しーーーん!
「なにも起きないじゃん!」
「クルルに言われても分からないにゃ!」
私とクルルは顔を近づけて、むぅ〜、と睨めっこする。
「まあ、いいや!スキルのことは後で考えよ!クルル!」
「そうだにゃ!」
「”クルルを背負って歩いてあげられる” 今はそれだけで十分だから!」
「ナル......ありがとにゃ!」
「うん!いこっか!」
「いくにゃ!」
私たちは冒険者ギルドに歩を進めた。
体力のステータスが皆無で冒険者ギルドに行くのにも苦労しました。
主人公ナルは、転生時に食べたタブレットの影響?か少しばかりチート?なスキルを発現していたようです。
次回は、冒険者ギルドで冒険者に絡まれますが...
チートなスキルの片鱗が露わになります!!
いつでも元気で優しいナルのほのぼの異世界生活を描いていきます!