神殿と初クエスト
また予約投稿間違えてるーーーーー!
チュートリアル完了のボタンを押すと、目の前に再び青い渦が現れた。渦を通り抜けると、そこは大きな石造りの建物の中だった。
何百人も入れそうな大きな広間にまばらに人が立っている。
ヒビキが後ろを振り向くと、大きな青いクリスタルが目に入った。
青いクリスタルでできたオベリスクが中央に立ち、その周りをいくつもの像が囲っている。
古いヨーロッパの教会の様なイメージそのものだったが、規模が非常に大きい。
ヒビキは惚けた様にクリスタルをみつめていたが、
クリスタルの下に白いローブを着た人影が立っていることに気がつく。
目を凝らしてみると、頭の上に名前が表示される。 名前が青と赤がプレイヤー、白色はNPCらしいが、白色で『ベルランド』と表示されている。
これからどうすればいいか、少し聞いてみようとヒビキは声をかけてみることにした。
「こんにちわ。はじめましてヒビキと言います。ちょっとお伺いしたいのですがお時間いいですか?」
「これはご丁寧にありがとうございます。 私はベルランドと申します。この創造神殿の神官をさせていただいております。 旅人さま、如何なさいましたか。」
「ここは創造神殿と言うんですね。今日初めてファンタジアに来たのでこれからどうすればいいのかなと…」
「そうですね。 ヒビキさまはこれから何をしたいなどご希望はございますか?」
「色々な事がしてみたいのですが、まず牧場などを作ってみたいです。 ヴァルゴさんとまた会う為に命を育てると約束したので。」
そうヒビキが言うと、ベルランドは少し驚いたように目を見開いて、
「もうヴァルゴ様とお会いしているのですね。称号もいただいているようで…おどろきました。」
「称号をもらった事もわかるのですか?」
「ええ、神官はジョブを定める事も仕事の一つなので神より称号を見る事ができる力を授かっております。
本来なら命を育てるジョブに就き、研鑽を積むことでヴァルゴ様とお会いできるのですが。 ヒビキ様はヴァルゴ様に気に入られたのですね。」
「気に入って貰えたのかな? とても優しい【人】でした。」
「ふむ…おそらくそのお気持ちがヴァルゴ様のお気に召したのでしょう。ふむ… 牧場ですか…ヴァルゴ様が気に入っているほど優しい方でしたら、あの偏屈者も気を許すかもしれませんな… では紹介状を差し上げますので、こちらを訪ねてみてください。 少し偏屈な者ですが、根はいい男ですので…」
ベルランドはそっと手紙を差し出した。
ヒビキが受け取ると脳裏に
<【クエスト:牧場主の頑固ジジイ】が発生しました。>
とメッセージが流れる。
(これがクエストなのか…それにしてもジジイって…)
運営のネーミングセンスに対して、少し釈然としない気持ちを抱きながら「ベルランドさん、ご丁寧にありがとうございます。行ってきます!」ヒビキはぺこりと頭を下げる。
「お気をつけていってらっしゃいませ。 ヒビキ様。
また困った事がございましたら、いつでもいらしてください。」ベルランドはにこやかにヒビキを見送ってくれる。
ヒビキが神殿を出ようと踵を返すと、後ろにはプレイヤーがなぜかずらりと並んでいた。
ヒビキがクエストを発生させていたのを見ていたプレイヤーがいたらしい。
きちんと順番で待っているプレイヤー達ばかりでマナーがいいなと感心したが、この後訪れるベルランドさんの受難を思うと申し訳なくなるヒビキだった。
お読みいただき誠に有り難うございます。