ようこそ【ファンタジアへ】
予約投稿ミスってたみたいです。 毎日0時予約してたつもりが・・・ 間違えないために23時にしようかな。
ゆっくりと意識が浮かび上がる寝起きのような感覚を感じ、目を開けると目の前に優しい青色の光でバイザーを外してもいいというマークと文字が光っていた。
バイザーを外すと、部屋の中が暗いことに驚く。
外に目をやると太陽はほぼ沈みかけ、赤い残光を残しながらゆっくり沈んでいく場面だった。
ベッドから起き上がり軽く伸びをすると空腹感を感じる。ダイブする時はトイレとかきちんと済ませないとなあと思いながら、ホームコンピュータに電気をつけてもらいキッチンへと向かう。
簡単なパスタでも作ろうかなと思いながら、材料を物色すると、ツナ缶とキノコが目に入る。
ツナとキノコの醤油パスタでも作ろうと準備しつつ、
明日はオープンしたらすぐにログインするために今日のうちに課題や洗濯などは全て終わらせようと決意する。
パスタを茹でて、ツナとキノコをバターで炒め、パスタとあわせて醤油で味付けするというシンプルな料理で夕食を済ませると課題を終わらせるべき机に向かうのだった。
次の日、響は11時ぐらいには全てやることを済ませて
ベッドの上で待機していた。
「トイレよし。昼は10秒チャージでトイレの可能性を減らした。急用以外電話は電源カット!完璧だ。」
ぼそっと独り言を呟いているが、内容はダメなゲーム廃人のそれである。
ただ今日この日だけは同じことをしている人が大量にいるに違いない。
「ちょっと早いけど、『ダイブオン』」ベッドに横たわる、呟くとゆっくりと視界が暗くなっていき、以前と同じように歯車が所々に浮いた、黒い空間で目を覚ました。
前回との違いは空中にサーバーオープンまでにカウントダウンが浮かんでいることと、ヴァルゴが居ない事。
ヴァルゴが居ない事に大きな寂寥感を感じながらヒビキはカウントダウンを見上げながら呟く。
「ヴァルゴさんも今めちゃくちゃ忙しいだろうからなあ。。。」
「いえいえ。たくさんの旅人様がいらしてくださってますが、管理用AIですので並列対応しております。
なので大丈夫ですよ。」
後ろからかけられた声にビクッとなりながら振り向くと少し悪戯めいた微笑みを浮かべたヴァルゴが立っていた。
「うわっ?! ヴァルゴさん!! びっくりしたーー!」
「こんにちは、ヒビキ様。本来はカプリコーンの番だったのですが、少し代わってもらってしまいました。」
「え?そんな事もできるんだ?」
「本来はそんな事しないのですが…」
「俺はまた会えて嬉しいけど…昨日簡単に会えないって言ってなかったっけ?」
「それは言わないでください…。カプリコーンが代わろうって言ってきたのでつい…」
少し恥ずかしそうに俯くヴァルゴ。
「カプリコーンさんも管理者AIさんなの?」
「ええ、管理者AIは12人おります。カプリコーンはNO12となります。明るくてとてもいい子ですよ。
ただ、元気すぎて悪戯がすぎることもありますが…」
響の脳裏に元気な悪戯っ子とほんわかしたお母さんの絵が浮かぶ。
「みんな色々個性があるんだね。いつか12人全員に会ってみたいなー。」
「うふふ、ヒビキ様が色々な事をこの世界で楽しんでいっていただければ、きっと全員に会えますよ。
イベントの時などもわたくし達が管理する場合もございますので。」
「とても楽しみだなー。本当に色々な事がしてみたいんだ。」
ヒビキがワクワクを隠し切れない表情で言うと、ヴァルゴはヒビキをとても微笑ましいものを見るように眺め、「ええ、この世界ではなんでも出来るようになっっております。英雄になるのも、悪人になるのも、戦闘するのも、生産を極めるのもヒビキ様の自由です。」とヴァルゴが言う。
そしてさっきまでの暖かな空気だけではなく、少し厳かさも含んだ空気でこうつなげた。
「それではヒビキ様、この世界【ファンタジア】にようこそ!!! わたくし達は貴方を歓迎します。 どうぞ良い【ファンタジア】ライフを!!」
そう言った瞬間、空中のカウントダウンが0になり、歯車がカチッと音を立てて止まるとヒビキの目の前に大きな青と金色に縁取られた大きな扉が現れる。
ゴゴゴッと重い音をたてて開かれた扉の向こうは青白い渦が渦巻いている。吸い込まれるようにヒビキが扉に向かうとヴァルゴがお辞儀をしながら「またお会いしましょう。」と言ってくれる。
ヴァルゴに手を振りながらヒビキは「行ってきます!」と叫んで渦に飛び込んだ。
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