会話の間合いも【夢幻姫】
今回サブタイ決めて書いてたんですが、なんかその内容にたどり着かなくて急遽書き換え。
リリは手を振りながらこっちに駆け寄ってきて、
「どう?心配いらなかったでしょ!」とちょっとドヤ顔をして見せる。
「ええ、すごく強かったです! あ!お礼と自己紹介が遅れてすみません。 絡まれていたのを助けていただきありがとうございました! ヒビキと言います!」とお礼を言うと、
「ボクはさっきもサラーッと言ったけど、リリだよ! よろしくね!ヒビキ!」と笑顔が返ってくる。
ニパーッという効果音が出そうなくらい天真爛漫な笑顔にヒビキは心がほっこりするのを感じた。
「あ、それでさっきなんですが、自分の事を探してたって言ってませんでしたっけ? お会いした事ありましたっけ?」と聞いてみると
「んーー。そうだねー! 色々と詳しい話とかもしたいんだけど、今ギャラリーが多いし落ち着かないから場所変えよ? どう?」と提案を受ける。
確かに周りを見てみるとリリの知名度の高さや先程までの決闘のせいで少ない人数がこちらを注目している。
「確かにそうですね…どっか良い場所でもありますか?」
「ファーマーギルドの個室借りてもいいんだけど、オーリンさんにこの騒ぎのこと怒られそうだし少し時間あけたいかな! レストランとかも今の時間混んでるかなー?」
うーむむむと悩み始めるリリに、少し躊躇いながらヒビキはこう提案する。
「あー。いきなりあった女性にこういうのもあれですが…それでしたら俺の家に来ます?」
「え?!ヒビキクン、もうハウス持ってるの?!攻略第一線のトッププレイヤー達もまだ持ってないのに!!」と目を丸くして驚くリリ。
「色々とラッキーでレンタルさせていただいているんですよー。そこなら人目を気にしなくても良いと思います。いかがでしょう?」
「うん!お願いできるかなー!あ、PT登録とフレンド登録送らせてね!」
リリは返事を待たずにウィンドウを開き何やら操作を始める。
するとヒビキの目の前にいきなりウィンドウが現れる。
1枚目は《プレイヤー『リリ』からパーティ要請がされました。 許可しますか? YES/NO》と書かれている。
YESを押すとそのウィンドウは消え、2枚目には《プレイヤー『リリ』からフレンド要請が届きました。 許可しますか? YES/NO》と書かれていた。
こちらもYESを押すと、それを見て待っていたリリが、「んじゃヒビキクン! おうちに案内して!」と
嬉しそうに声をかけてくる。
「はい、んじゃこっちです。」と門の方に歩きながら、「それにしてもリリさんはすごいですね。本当にとても強かったです。俺なんかあの剣士のスキルも目で追えなかったのに。」と話しかけると何故かリリは少し不機嫌そうにしている。
「どうされました?」と不思議に思って尋ねると、
「口調! 口調が硬いよ!?フレンド登録したんだからもっと普通に行こう!?」と言ってくる。
「えぇ…?!」
「それに名前もリリでいいよーー。 さんはいらないよ!」
「んー…それもそうですね。なら俺の事もヒビキでいいですよー。」
「んーーヒビキクンはヒビキクンって感じなんだよー! むしろヒビっくん。」
「なにそれ?!」
「決めた!ヒビっくんって呼ぶね! ボクの事はリリでよろしく!」
「こっちは呼び捨てなのにそっちはくんつけるのおかしくないーー?」
「ヒビっくんはくん込みであだ名だからセーフ!」
などとじゃれあいつつ牧場に向かう。
出会ったばかりだが、なんとなく気が合う気がする。
一番大きな要因は明るく無邪気なリリの態度だろう。
ヒビキの一歩引いた間合いをするっと無視して入り込んできている。 またそれが不快な接し方ではないのでとても気安く親しみやすく感じていた。
「で、リリは【夢幻姫】って呼ばれているんだって?」
「む!どこでその呼び名を?! 恥ずかしいな…」
「さっきの【決闘】を見てた人が言ってたんだよー。
ベータテスターですごい強いって。」
「ベータテストは理由があって少し遅れて参加したんだけどねー。 色々あってね! 決闘ランキングは最後の方でお祭りで参加してたんだよー!」
「なんで【夢幻姫】なの? 確かにお姫様みたいに可愛いけど」
「!? ヒビっくんがナンパ師だった!?」
「あ…!?いや、そういう意味じゃなくて!!」
「そういう意味じゃないっていうのもひどい!」
「あはは!ジョーダンだよ! んーなんでそう呼ばれてるのかボクにもわかんないんだよね!」
「よし、今度誰かに聞いておくよ。」
「ええ?! やめてよ!恥ずかしいじゃん!」
そうやって話しているうちに牧場へと到着した。
とりあえずおどけて一礼してみる。
「《グード牧場》へようこそ!」
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