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リリ参上!

「「「ちっさ?!」」」 思わず言い争いをしていた剣士と取り巻き達とも声を合わせて突っ込んでしまう。


目線を下にやると女性のエルフが立っていた。

身長は小柄な中学生くらい。小学生と言われても信じてしまうかもしれない。


ショートカットでとてもボーイッシュだが耳が長く、エルフらしい美人な顔立ちをしている。エルフのイメージはすらっとした美形だが、それをそのまま子供にした感じだった。


「失礼しちゃうなーー! リアルはもっと大きいんだけど、カプリコーンの悪戯でちっちゃくされちゃったんだよーーー! そりゃボクも楽しそうだからノリノリだったけど!!!」と怒るチビエルフ。


(あれ?カプリコーンってヴァルゴさんと仲が良かった管理者じゃないっけ?)


「で…で? いきなりなんだよ、チビっこ! あんたには関係ないだろーが!」少し毒気が抜かれたようだが、気を取り直しスゴむ逆毛。


「いやいや、ボクはその狼君を探してたんだよー!

やっと見つけたと思ったら、そしたらなんか、ノーマナーノーマナーって礼儀知らずの権化が絡んでるでしょ? つい黙っていられなくなっちゃった。」


「あぁ? 誰が礼儀知らずの権化だって?!」


「え?そこまで言わないとわからないの?」

アザとく首を傾げて指を顎に煽るチビエルフ。


「もう許さねえ!!! そこまでバカにしてきたんだ! 覚悟は出来てんだろうな!チビ!」


「チビチビ言うな!! 『リリ』って名前が見えないのーー?!いや、あんたなんかに名前は呼んで貰いたくないけど!!」


(なら名乗らなきゃいいのに…)当事者から一転傍観者になってしまったヒビキ。


「うっせえ!そこまで挑発しといて逃げるんじゃねえぞ!【決闘】だ!!」そう逆毛が叫んだ瞬間、システムログに


ーーープレイヤー【ブロット】がプレイヤー【リリ】に【決闘】を使用しました。ーーー


と流れる。


「ルールは【HPオール】・【アンティ:アイテム+シルバーオール】だ!」と叫ぶ、推定ブロットさん。


「へー!強気だね!!いいよー!受けてあげる!」とリリが言う。


「【決闘】はなんとなくわかるんですが、【HPオール】とか【アンティ:アイテム+シルバーオール】ってなんですか?」傍観者ヒビキが恐る恐るリリに尋ねると、


「【HPオール】はHP全部なくなってデスするまで対決。降参もできるけど、デスしたらデスペナもきちんと発生するね! 【アンティ:アイテム+シルバーオール】は負けたら勝った方にアイテムとシルバーを全部取られちゃうルールだね!」とリリが答えてくれる。


「ええ?! そんな危ないルールダメですよ?! リスク大きすぎるじゃないですか!!!」


「だいじょーぶ、だいじょーぶ。 ボクは強いからね!」と自信満々なリリ。


その姿を見て更に温度をあげるブロット。


「おい!! 喋ってないで、さっさと開始承認しろよ!!」


「こんな建物の中でやるの?怒られるじゃん!ボク、オーリンさんのゲンコツもう食らいたくないの!ほら、外行くからね!」と言ってリリがヒビキの腕をとり、引っ張るようにギルドの外に出る。


「わわっ!ちょっと引っ張らないで!」

(力強っ?!)と内心驚くヒビキ。


「待ちやがれ!」とブロット達が追いかけてくる。


ギルドの外に出て道の上で対峙するリリとブロット。


「今なら謝れば半額で許してやるぞ?」


「いや。ボクが謝らなきゃいけない理由はないかなあ?それにボクが勝つのになんで逃げなきゃいけないの?」


「もう謝っても許さねえからな!」とブロットが剣を抜いて襲い掛かる。


側から見ているヒビキの視点では、武器も構えていないちびっこ女性エルフに襲いかかる男性。


警察案件だ。


そんな光景を裏切るように、リリはニコニコとしながら、

「んー…【決闘】開始のマナーも一応あるのに、それも守らないなんてホント紳士じゃないなあ。」


振り下ろされた剣をスルッと避ける。


「なっ!!」 


「不意打ちなのに、遅い遅い!」ストっとブロットをかわして、背後に立ちながらまだ武器も構えないリリ。


「舐めんなぁああ!!! 『疾風斬』!!!」

その舐められている態度に、怒りに我を忘れたようにブロットがスキルを使い攻撃する。


ブロットの身体が一瞬光り、ヒビキには目で追えない速度でリリに肉薄する。


(危ないっ!!!)とヒビキが思わず目を覆いそうになった瞬間。


「相手の隙を作ってないのに大きなスキルなんか出しちゃって…対人初心者さん?」とそういうと、“拳”を握りしめ、振り下ろされた剣をスルッと避ける。


「なっ!!」 振り下ろした剣が空振り、スキルの硬直で体が止まるブロット。


その硬直した隙に、ブロットの脇腹目掛けてリリが拳を振るう。


「『ファーストストライク‼︎』」

振りがコンパクトな割にズシンという重い音が響く。


「グフっ」ダメージを受け更に硬直するブロット。


「『セカンドブロー‼︎』」

硬直しているブロットに下から上に突き上げるように拳を振るうリリ。


当たった瞬間【ダウン】が発生し、ブロットはスタンする。


「スキルはきちんと隙が小さいやつとかで【スキルチェーン】とかで繋いでいかないと。おねーさんからの特別授業だよ!」


「お、おねーさんって身長じゃ…」 「『ファイナルストレート‼︎』」  「グボァ!!!」


余計な事を言おうとした口を塞ぐように胸にリリのストレートが決まり、ブロットのHPが全損する。


光とともにブロットの身体が消え、システムログに


ーーー【決闘】が終了しました。 勝者【リリ】ーーー


と流れる。


(うわぁ…強い…)ヒビキが感心していると、決闘を見ていたプレイヤーの人達から


「おい、あれベータテスターの【夢幻姫】だろ?なんでこんなとこで決闘してんだ?」


「【夢幻姫】って決闘ランクランカーだっけ?」


という会話が聞こえてくる。

その会話を聞いて、ブロットの仲間はコソコソ逃げていく。


(すごい有名な人だったんだなあ。でもそんな人がさっき『俺を探してた』って言ってたけど何の用なんだろう。)と、にこやかに手を振りながら歩いてくるリリを見ながら思うのだった。


お読みいただきありがとうございます。


もし、宜しければ今度の励みになりますので感想を頂けると嬉しいです!

豆腐メンタルなのでキツくない範囲でご指摘頂けると!

今後ともよろしくお願いします。

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