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牧場主の試練

一通り牧場を見てまわり、現実世界には見たことがない不思議な野菜を見つけた事でヒビキは一回トガリのところに戻ることにする。


あの野菜を育てる方法や、それがどんな味がするのかも気になってしょうがない。


「ただいま戻りました。トガリさん、牧場を見学させていただきありがとうございました!」


家の中に入るとテーブルのところで難しそうな顔をしているトガリがいたため、お礼をいうとしかめ面をしていたトガリは「見ても面白いもんなんぞなかったろうが」とふんっと鼻を鳴らす。


「そんなことないですよ!! あの野菜はなんていうんですか?! あのリズムとってる野菜!」


ヒビキが興奮しながらそういうとトガリは少したじろぎながら、「マンドレコンのことか…?あれは葉っぱを狂ったように振り回してからが収穫時期だ。今はまだおとなしくリズムをとっている時期だからまだまだ先だな」と教えてくれる。


「マンドレコン!!! 味は美味しいんですか?!」

ヒビキはなぜか食いしん坊キャラと化していた。


「いや、あれは魔法薬の材料なんだ。 ワシのツレの婆さんが元々錬金術師でな。 その関係で育てておったのさ。」


(おった?過去形なのか…踏み込んだらよくないのかな…)


ヒビキが少しクールダウンさせると、トガリはテーブルの上の手紙をあごで指し、「ベルランドが言っていたが、坊主がヴァルゴ様と会いたいから牧場を経営したいっていう旅人か?」と聞いてきた。


「あ、はい。ゆくゆくは牧場をやったり、畑を育てたり、魔法薬の調合とかもしてみたいです。」


素直に欲張りな要望を伝えると、「旅人は寿命も長いって聞くし、欲張りな希望だが全部極めることも出来るかもしれんな。」とぼそっと呟く。


ヒビキは(もしかして弟子入りできたり?!それで牧場復旧のお手伝いしたりするのか?!)と今後の流れに思いを馳せていた。


そんなヒビキの様子を見て、トガリはおもむろにこう言った。


「よし、なら二年ほどこの牧場を貸してやろう。」


「え!?いきなり全部管理?!チュートリアル的な弟子入りは?!」 つい叫ぶヒビキ。


その叫びをまるっと無視して、

「実は婆さんと喧嘩中でな。 息子夫婦のところで暮らす暮らさないという言い争いから大喧嘩になってしまってな…。魔物も全部勝手に商業ギルドに叩き売られるし、自分自身はさっさと息子んとこに行ってしまうし、土地とかの権利書はワシのところにあるんだがこのまま思い通りに売るのも嫌でな。」

とそっぽを向きながら話すトガリ。


(えーーーー。奥さんと死に別れたとか、その思い出でマンドレコンだけ育ててるとか渋いお爺ちゃんだと思ったら、まさかの夫婦喧嘩 しかも負けてる!?)


「だからまず二年ほどお前さんに牧場を貸してやろう。そこで立派に経営出来てるようならそのまま牧場を売ってやる。かなり広い土地だからそこそこの値段はしてしまうがな。」


(ふむ。これはかなり自分好みのプレイスタイル。だけど問題としてどうすればいいのか、自由すぎて方向性さえ、わからないのが問題だ…。)


ヒビキが心の中で悩んでいると、

「まあ細かい事は街のファーマーギルドに聞いてみれば教えてくれるじゃろう。大事なのはお前さんのやる気だけじゃ。」とトガリが言う。


その言葉を聞き、ヒビキは「やらせてもらいます!」

と決めるのだった。



お読みいただきありがとうございました。


ちなみに青いニンジンはピーロット。

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