薄明光線1話
薄明光線。それは、太陽が雲に隠れているとき、雲の切れ間から光が漏れ、光線の柱が放射線状に地上へ降り注いで見える現象。
夏への扉が開かれようとしている6月の下旬。
雲一つない綺麗な青空がどこまでも広がっている。
大空をセスナ機が横切った。
心地よい風が吹き、木々が揺れる。
「なんて平和な世界なんだ」僕は心の底からこう思った。
「この平和が世界中どこに行っても変わらなければいいのに」
そんな事を思いながら家のドアを開けた。
土曜日の昼間だが、家には誰もいない。
父も母も仕事に出ていていないのだ。
真っ暗な部屋で、一人だ。
台所に行き冷蔵庫のドアを開けたが何も入っていない。
「ちくしょー昼飯もねーのかよ」いない母に呟いた。
「今日は昼飯なくていいや。てかなにしよ」
こんな平和な日にいったい何をしようというのだろうか。
勉強かぁ?そんな事しようとは、思わない。
僕は今年、高校生になった。
高校生になって、はや二ヶ月。時の流れは早いものだ。
この時期は、学校の勉強が急に難しくなり分からなくなったり、いろいろな事に悩む時期である。
特に恋愛に関しては…
僕には、今好きな人がいる。
高校生にもなれば、本気の恋というものをする。
小学校、中学校で付き合っていた奴らは今の時代多いもので、モデルと付き合ってたなんて話をよく耳にするが、所詮は、オコチャマ恋愛だ。
とは言ったものの、僕は偉そうにいえる程の恋愛はしていない。
中学の間でできた彼女は、二人。
彼女がいたことだけでも奇跡である。
何を隠そう僕は、恋愛が下手で、最短では三日で別れた事がある。
まぁツイ〇ターのユーザー名が、「老人ホーム予備軍」というくらいなのだから。
♪せいかく~よけ~ればいい~そんなの嘘だと思いませんかー
まさしくその通りだ。まったく…自分が嫌になる。
そんな僕が、久しぶりに恋におちた。
光の矢がグサッと…
名前は、環奈。
彼女は、高校に入って初めて話した女子である。
出席番号が、近かったこともあり、授業の班活動の時も一緒だった。
なんて幸せなんだろう。心の底からそう思っている。
ダメだ!ずっと彼女のことばかり考えてしまう。
「それにしても暇だから昼寝でもするか」
ブーブー(携帯のなる音)
誰だよせっかく寝ようと思っていたのに。
「あーあの機械オタクかぁ」
機械オタクというのは同級生の三郎の事だ。
彼とは、中学校からの付き合いで僕の事をよく知る人物だ。
そしてコイツこそ、僕が環奈に好意を抱いていることをこの世で唯一知っている超重要極秘人だ。
ピッ(メールを開いた音)
「お前は、いつになったら環奈に告るんだ!6月中にしろ。しなきゃ罰ゲーム!」こう書いてあった。
なんて奴だ。あいつこそ恋愛経験がないくせに…
まっ、こういう事言ってくる奴だけど憎めないんだよなぁ。
僕はテキトーにメールを返信した。
「さ~てそろそろ昼寝といこうか」僕以外いない部屋で呟いた…
初めまして!
私、たくみ師匠と申します。
この度、小説を初めて投稿させていただきました。
ありがとうございます(笑)
青春ものを書くのは初めてですが、こんな青春を送りたいなぁという妄想を膨らまして書いていきますのでどうかよろしくお願いします。
投稿頻度は月一を予定しています。
次回もお楽しみに!