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見習い天使の海斗くんとの最後の日

五部分目が書けました。


ストーリー展開もなく会話中心です。


次の六部分目で完結です。


宜しくお願いします。

「ふっははは!」


私は涙を拭って何だか可笑しくなり笑った。


「海斗くんが私の赤ちゃんになって生まれ変わるの!?全然ロマンチックじゃないよ!」


私は笑いながら海斗くんを見つめた。


「笑い事じゃないよ。僕は莉乃ちゃんの側に生まれ変われるかは本物の天使になって願いが叶うかも分からないけど、僕にとってはかなり夢のような事なんだ」


海斗くんは少し怒ったように言った後に唇を噛んだ。


「ごめんなさい。海斗くん…」


私は海斗くんに謝った。


「いや、莉乃ちゃん…僕こそ怒ってしまってごめん。でも僕はこの願いを叶えたい。見習いでも天使と地上界の人間がキスをした事で魂の絆は結べるんだ。

ちょっとロマンチックでは本当にないかもしれないけどね!ははははっ!」


海斗くんも笑ったので二人で微笑み合った。




そしてお昼ご飯をまたご馳走になり、その後また海斗くんの部屋で話をした。


「海斗くん…私のお父さんが私の心の声やお母さんの心の声を死んだら聞こえるようになったって言ってたけど、海斗くんも聞こえるの?」


私は少し真剣な顔でお父さんが不思議な事を言ったことを尋ねた。


「うん、亡くなった人や天使や妖精や色んな神様はその人に意識をすると聞こえると思う。

僕も莉乃ちゃんの心の声が聞こえるよ。

最上界の神様は僕は見られるレベルじゃないし、最上界の神様は次元を超えていて何でもお見通しで光の存在らしいよ」


「そして……地上界にはサイレントサイン…という仲間達が存在するんだ…」


海斗くんは少し言いづらそうに最後の言葉を言った。


「サイレントサイン?」


私は海斗くんが大切な事を言ったのを何となく分かっていたので少し小さな声で尋ねた。


「うん…サイレントサインの仲間達はまだ僕も把握出来ていないのだけれど、莉乃ちゃんと正義くんの心の声を意識したら聞いている人間達なんだ」


海斗くんが言った。


「私の心の声を聞いている人達がいるの!?」


少し私は怖くなっていた。


「サイレントサインの仲間達は莉乃ちゃんと正義くんの秘密を知っていて遠くから見守っているだけだけど、段々と姿を二人の前に現して来るはずだよ。

莉乃ちゃんも見に覚えが少しはあるけど不思議な事もあるな〜と思うだけで忘れていってる事もあるんだ」


「莉乃ちゃん……本当のお母さんとお父さんを意識を体から抜け出してまた見に行く?」


海斗くんが私に尋ねてきた。




「うううん…よしとく。

私はお父さんとお母さんの子で十分だし、私を捨てたのか知らないけど私はいつか看護婦になってお母さんを助けたいと中学校になって思ってるし」


私は今、一生懸命自分の為に働いたり美味しいご飯を毎日作ってくれているお母さんを裏切りたくなかった。



「うん、僕もそれでいいと思う。

でも莉乃ちゃんの本当のお母さんとお父さんは案外近くにいて二人共サイレントサインで…莉乃ちゃんのお母さんの心を覗いた時に、莉乃ちゃんにいつか伝える…と聞こえたよ。

そして莉乃ちゃんの本当のお母さんとお父さんは莉乃ちゃんを捨てた訳ではないから安心してね」


海斗くんは優しい瞳で微笑んでくれた。


私は案外近くにいる、と言った海斗くんの言葉を考えたけれど誰かは分からなかった。



「あ!そういえば!」


私は思い出した。


「サイレントサインの仲間達の事を考えていて、家族で大晦日に紅白歌合戦を観ていて女性の歌手の服をあーして、こんな服なら可愛いのにって思ったら、次の女性歌手の服が私の想像した服と同じだったね!あれは偶然かな!?」


私はその時の紅白歌合戦での服の事が驚いたので少し気になっていたのだ。


「多分、サイレントサインに莉乃ちゃんの思考が聞こえたと思うよ!

莉乃ちゃんはデザイナーにもなれそうだね!」


海斗くんはそう言ってふっと笑った。


「莉乃ちゃんが団地のグラウンドで遊んでいる時、夕方になると決まってUFOが西の空に出ていたよ。

莉乃ちゃん達はコウモリが飛ぶまで遊んでた。

僕は莉乃ちゃんと話をしている男子達に焼きもちを焼いていたけど、僕の友達は本や音楽だった」


海斗くんは懐かしそうに言った。



「そういえば、私…UFOの大群を見た事がある。

家から少し離れた広い公園で上を見たら頭上全体に雲が無くて遠い空にまあるく雲があるのが不思議で空をずっと見ていたら粒々の黒い物が空に沢山あって、本当に西の空だった!」


私は興奮して言った。


私と海斗くんは見つめ合った。




「晩御飯食べんさ〜い!」


遠くから海斗くんのおばあちゃんの声がした。


「は〜い!」


二人で声を合わせて答えた。




おばあちゃんの用意してくれた夕飯を食べてからお風呂に入って


「莉乃ちゃん、疲れたろう。

部屋でもう休むといいよ。

その間に大天使ウリエル様の所に行ってくるから」


海斗くんは右手で私の肩をポンっと優しく叩いて


「莉乃ちゃん。

おやすみなさい」


にっこり私に微笑みかけて立ち去っていった。



私は中々眠れなかった。


ー今日、私ファーストキスしたんだ

ーキスって気持ちいいなっ

ーあ!私の心の声、聞かれてるから気をつけないと!

ー恥ずかしいな、心が読まれるなんて…


少し興奮していて目を閉じて


ー明日、地上界に帰ったらお母さん心配してるだろうな

ー地上界ではどのくらいの時間が経っているのかな


私はその内寝入っいた。





パチッ


起きると海斗くんがベッドの横に立っていた。


「か、海斗くん!」


私は驚いた声を出した。


「ごめん。中々起きて来ないから部屋で目が覚めるのを待っていたのさ。

これだよ!!」


海斗くんは右手のひらを大事そうに開けて見せた。


手のひらには石?のような透明で少し光った物があった。


「大天使ウリエル様が莉乃ちゃんの為に作ってくれたアムニファンの愛の光だよ!」


海斗くんは優しく私に言った。


「これを莉乃ちゃんが口に入れたらアムニファンの愛の光は溶けて、身体中に浸透して行ってこの世界から地上界に行ける。多分来た場所に戻ると思う」


寂しけれど海斗くんとお別れだ

私はお母さんの元にも早く帰りたかった。


「海斗くん、ありがとう…まだ伝えたい事あるけど、今は言葉が見つからない…赤ちゃんに生まれて来てね!」


私は笑った。


海斗くんも笑った。


海斗くんは私の左頬にキスをして


「元気でね。じゃあ、口を開けて!」


石のような飴を口に入れられて舐めた瞬間!!


私は身体中の力が抜けて気が遠くなり頭の中がグルグル時計回りに回転をしているのを感じながら、その後体が重くなり下の方へと吸い込まれ引っ張られているのを感じていた。




ー私…海斗くんの事…忘れ…な…い

ーお母…さ…ん!


私はそう思いながら下の方へと重たく吸い込まれていくのを感じていた。

読んで下さりありがとうございます。


次の話で完結します。


また宜しくお願いします(о´∀`о)

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