莉乃は自分の存在の秘密を知る
一部分と二部分よりは短い文章だと思うのですぐ読めると思います。
宜しくお願いします。
私は座り込んでお父さんとお母さんの本当の子供でない、と海斗くんが伝えた言葉を頭の中で繰り返していた。
「莉乃ちゃん…」
海斗くんが手を差し伸べて言った。
私は海斗くんの手に掴まって立ち上がり23次元という世界を見渡した。
その場所は真理恵と行った世界よりも自然が溢れていて羽根が生えている人達が遠くの方で忙しく飛び交っていた。
「莉乃ちゃん、両手を開いて見せてみて」
海斗くんが言ったので私は自分の両手を開いて見せた。
「莉乃ちゃんの右手にはこのハートの印と右手にも左手にも十字の印が深く二個ずつ刻まれている」
海斗くんは私の手のひらをマジマジと見つめていた。
私は十字の印は知らなかったけれど右手にハートのような形をした黒子のような痣を知っていた。
「これが何を意味するの?」
私はまだ放心状態だったけれど聞いた。
「邪馬台国の女王卑弥呼って知っているよね?」
海斗くんは真面目な顔でまだ私の手のひらを見つめて言った。
「知ってるよ、歴史で習ったよ」
私は答えた。
「邪馬台国の女王卑弥呼は死んでからその魂は分裂を繰り返して、今から約200年前にまた一つになり生まれ変わり、そしてその卑弥呼の魂は死んだ後に今回二つの魂に分かれて、その一人が莉乃ちゃんなんだ……」
海斗くんは私に伝えたが私は複雑過ぎて意味が分からなかったし、私は自分では勉強も運動も中の上くらいはあるけれどそんなに特別感もなく生活してきたしこの先もそうだろうと思っていた。
「そんな…私が邪馬台国の女王卑弥呼と関係があると思えない…」
私は俯いて答えた。
「ああ、今は分からないでいていいよ……それよりも!今気づいたけど莉乃ちゃん、ケサファーの数珠を手首に付けてないね!?」
海斗くんは目を大きくして私の手首を見つめた。
「ケサファーの数珠?」
私は真理恵に初めて天上界に来た時に綺麗な宝石のような数珠を一個手首に付けてもらっていたのを思い出していた。
「私、真理恵という友達と待ち合わせて二回目の天上界に来るつもりでいたけど真理恵が来なくて、一人で見よう見まねのお呪いで霊界に来たのだと思う…」
私は答えた。
「それはいけない…ケサファーの数珠をしていない地上界の人間がこの世界にいたらいけないんだ!
ケサファーの数珠は地球に千個あって、真理恵さんは二個持っているということだね。
ケサファーの数珠をしていない地上界の人間はこの世界の7日以内にこの世界を出ないと本当に死んでしまうんだ!」
海斗くんは唖然として私の両手を両手で包んだ。
「ケサファーの数珠を持てる人達はある一定基準の魔力を持った魔法使いみたいな人達なんだ。
真理恵さんも魔力を持った人だと思う。
真理恵さんの意識にコンタクトを僕が取ってみるよ!莉乃ちゃん、安心して」
海斗くんと私は近くの木で出来たベンチに座った。
「莉乃ちゃん、真理恵さんの苗字は?そして真理恵さんは僕らの団地の近くに住んでいるんだよね?」
海斗くんは優しく横から私を覗き込み言った。
「真理恵の苗字は花園で、花園真理恵さん。団地から300メートル西に住んでる…」
私は伝えた。
すると海斗くんは羽根を広げて意識を集中させていた。
そして20秒ほど経ってから
「ダメだ……花園真理恵さんは…磁波をブロックしていて、思考を読めないし、意識にコンタクト出来ないようにしてある……なんか…怪しい人だな…」
海斗くんは羽根をしまって少し汗をかいていた。
「私…どうなるの?お母さん心配してると思う…」
私は急に心細くなり泣きそうになるのを耐えていた。
「大丈夫!僕の家においでよ!
美味しいもの食べて、お風呂に入って今日は寝るといいよ。
僕の家には母方のおじいちゃんとおばあちゃんがいる。
二人に紹介するよ!
安心しておいで!
おじいちゃんとおばあちゃんなら何か知っているかもしれないし。
莉乃ちゃんは大切な存在だから絶対に天上界の天使達も神様も助けてくれるよ!」
海斗くんは私を安心させてくれた。
「うん!」
私も元気になって海斗くんの家に行った。
ステンドガラスがある玄関で
「おじゃまします」
私は言い靴を脱いで揃えて家の中に入って行った。
「おじいちゃん!おばあちゃん!
ただいまー」
海斗くんは言って、奥から
「お帰りんさい、海斗」
おばあちゃんらしき女性の声がした。
「おばあちゃん、僕の生前の知り合いの山田莉乃ちゃんがまだ地上界で生きているんだけれど、霊界に迷い込んでいて23次元に連れて来たんだけど、ケサファーの数珠をしてないんだ…どうしたらいいかな?」
海斗くんはおばあちゃんに尋ねた。
「ほー地上界の子がケサファーの数珠もせずに天上界に来てしまったのかいねー
それは大変なことじゃ……でも、まー今日の所は今からご馳走を用意するから食べて、お風呂に入って寝るがいいさー」
海斗くんのおばあちゃんは優しく私の方を見て台所へ行き、すぐに豪華な料理が食卓に並んで私は遠慮なくお腹一杯食べた。そして一息ついた時に海斗くんを見ると背中に羽根が付いていなかった。
「海斗くん…背中に羽根がないよ?」
「ああ、羽根は用がない時は消せるんだ」
海斗くんはにっこり笑った。
「莉乃ちゃんは先にお風呂に入るといいよ。体の痛みもすぐ消えるから」
「うん、ありがとう。
背中や腰が痛かった」
海斗くんに案内されて脱衣所とお風呂場を見せてもらった。
「広ーーい!」
私はウキウキしてお風呂場を覗いて言うと声が響いて聞こえた。
「じゃあ、ゆっくり入って」
海斗くんは言ってその場を出て脱衣所のドアがバタンとしまった。
ーはあ〜、お風呂大きくて、こんな大きなお風呂は小学六年生の修学旅行以や家族旅行以来だな〜
私は海斗くんの天上界の家のお風呂で少し泳いだりしてのんびりして顔と髪と体を洗ってまたお風呂に入りお風呂から上がり体を拭いた。
ガラガラガラッ
お風呂場のガラスの扉を開けると
「か、か、海斗くん!!」
私と海斗くんは目が合った。
私はすぐ持っていた白いタオルで胸を隠してまた
ガラガラガラッ
とお風呂場の扉を閉めて中に入った。
ーまな板の胸が見られてしまった。。
ー初めてお父さん以外の男性に!
私は中学一年生の時に初潮があり皆んなより遅れていて中学に入ってブラジャーなる物を母に買ってもらい付けたけれどAカップの胸にはブカブカだったのだ。
「莉乃ちゃん、ごめんなさい。
着替えを急いで持ってきて間に合わなかった。本当にごめん」
海斗くんはどこまでも紳士だった。
「うん」
私は答えて海斗くんは脱衣所を出て行った。
それから私は海斗くんに合わせる顔がないようで着替えたり髪の毛を乾かしながら海斗くんに好きだった、と言われたことなどを考えていた。
そして脱衣所の長い柔らかいソファーに座り眠ってしまっていた。
体が揺らぐのを感じた。
そして宙に浮いているように体がフワフワした。
ーお父さん、お母さん、、
遠い記憶の夢をみていた。
ーそうだ、まだ私が小さい頃いとこの家へ行き蛍を夜見た
ー沢山蛍を見たっけ、そして眠ってしまった私をお父さんが優しく大切なものを扱うように抱っこしてくれて……
莉乃の右目から涙が伝うのを海斗は見ていた。
海斗は莉乃の夢の中を覗きながら唇を噛み締めておばあちゃんが用意してくれたベッドまで運んだ。
『やっぱりケサファーの数珠をしないで天上界から出るのは難しそうだな』
そう海斗は思いながら莉乃に布団を掛けてから莉乃の部屋を出た。
読んで下さりありがとうございます。
次の四部分では何故海斗くんが見習い天使になろうとしているのかや、莉乃ちゃんの存在の秘密の続きを書こうと思っています。




