ポッキーゲーム
美佳ちゃんは、大学2年のお姉さん。
私は、高校受験を控えた中学3年生。
近所でいつも遊んでくれてた美佳ちゃんに、母が頼み込んで私の家庭教師をしてもらっている。
いつも口うるさい母だけど、今回は美佳ちゃんを家庭教師にしてくれたことを感謝している。
美佳ちゃんは、小さいころから、私のあこがれの人だから。
「でね、ここにxを代入して・・・。」
「美佳ちゃん。」
「なあに朱音ちゃん。」
私は、美佳ちゃんにぐっと顔を近づけた。
「美佳ちゃん、ポッキーゲームってしたことある?」
「え?ないよそんなこと・・・。」
顔を赤らめる美佳ちゃんは、やっぱり可愛い。
「大学生でしょ?合コンとかでやらないの?」
さらにぐっと顔を近づけると、美佳ちゃんはさらに耳まで真っ赤にして、顔をそむけた。
「大学生でも合コンしてる人なんて一部だよ!朱音ちゃん、どうしたの急に・・・。」
私は、バッグからポッキーを出すと、美佳ちゃんに差し出した。
「やってみたいから、やろうよ。」
「ええ!?」
美佳ちゃんは、おどろいた顔で、ポッキーを受け取ろうとしない。
まあ、予想していたことなので、私は、ポッキーの箱と袋を開けて、一本取り出すと、美佳ちゃんの口に突っ込んだ。
そして、そのまま、美佳ちゃんの口のポッキーを勢いよくかじった。
パキッ。
「待って、朱音ちゃん、ポッキーゲームってそういうものじゃないから!」
「なーんだ。やっぱり知ってるんじゃん。」
私は、いるをくるっと回し、そのまま、ベッドに腰かけた。
突然美佳ちゃんが、私の腕をつかんで、ベッドに押し倒した。
「あんまり大人をからかうと、朱音ちゃんのファーストキス奪っちゃうからね?」
と言って、おでこにキスをすると、
「さ、勉強の続きだよ。」
と、ニコッと笑って、椅子に戻った。
私は、あまりに突然のことに、顔が熱くて動けなかった。
「高校に受かったら、そういうことも教えてあげようかな?」
なんだか美佳ちゃんが、知らない人に見えた。
妙に悔しくて恥ずかしくて、私は、美佳ちゃんの唇を奪った。
「中学生だと思ってなめないで!美佳ちゃんよりずっと大人だもん!」
美佳ちゃんは微笑んで、
「じゃあ、志望校に合格したら、本当のキスをしようね?」
本当のキスって何だろうと思いながらも、美佳ちゃんに馬鹿にされるのが悔しくて、無言のままうなずいた。
今日は、朱音ちゃんの家庭教師の日だった。
朱音ちゃんはいつも可愛い妹のような弟のような存在の子。
でも、朱音ちゃんに突然迫られて動揺した。
可愛いと思っていたけど、中学生ってもう結構ませてるんだな・・・。
志望校に合格したら、本当のキスなんて言っちゃったけど、本当のキスなんて私も知らないよ・・・。
困ったな・・・。
あんな年下の子に、こんなに心を揺らされるなんて、家庭教師失格だな・・・。
朱音ちゃんのことが頭から離れないよ・・・。
高校に合格したら、私たち二人の運命は大きく変わるかもしれない。
でもそれはまだだれにもわからない。
完