第一話の1まで
今回のはとても短く、また、続きはいつになるかわからないためそこを注意して読んでください。
〈序章 ~メールでのやり取り・・・~〉
「お姉さま、聞いてた話と違うんですけど・・・」
お姉さまお姉さま、この勝手に動く道具たちは何ですか。それに水が謎の固い物質から出てくるんですけど、どういうことですか。もしやこれがほかの者たちが騒いでたでんきとやらで動くきかいと、てつとやらでできたじゃぐちなんですか?
お姉さま、もしや私をだましましたか?この世ではまだこんなものできてないと聞いていたんですけど・・・。どういうことですか(がおー)。
も、もしやこれが試練とやらですか?この道具たちの使い方を調べてこいと?
わかりましたお姉さま。この月詠、精一杯頑張らせていただきます!
ただ・・・もしよければなんですが・・・だれか、このきかいとやらに詳しいものを一人送ってくださいませんか(泣き)。
というか、お父様に頼まれた夜世界を置いてまで私がすべきことなのですか?もしそうでもないというのなら直接お父様に言いつけて・・・。
「返信 妹よ、落ち着け―」
妹よ、落ち着きなさい!
そんなきかい?とやらにあわてる必要はありません。わからないなら使わなければいいのです!
あなたの試練・・・ではなくて仕事とはあなたのことを理解してくれる良きぱーとなーを見つけて、今のこの世の現状をよく調べることです。
あと、今回することの意義はあなたに何日も使って説明したではありませんか。
あと、お父様に言いつけることはやめて頂戴・・・ね。本当にお願いお父様だけは・・・。
「返信 お姉さま最高です!」
お姉さま、無理にこの世以外の言語を使おうとしなくていいんですよ・・・。
そんなことよりお姉さまお姉さま、なんなんですかこのきかいたちは。とてつもなく便利じゃないですか!お姉さま、この月詠、お姉さまからの試練しっかりと果たします。
それではお姉さま、また一月後に。
追伸 お父様に言いつけるかは考えておきます(にやにや)。
「返信 月詠?ちょっ、ちょっと待って?」
そ、そんなこと、べ、別にいいじゃない・・・。というかあの言葉はこの日の本の国以外のところの言葉です・・・。というか、あくまでも私たちがお父様に言いつけられたのはこの日の本の国と付随する二つの世の統治・・・だったわよね?あ、あとこのことって私あなたに言ってなかったけ?あれ?
というか、月詠?お仕事って・・・言ったわよね?あ、あとそのきかい?たちの使い方私に教えて・・・ね?
あ、あと、お、お父様には言いつけないわよね?ね?
〈第一話 ~いい匂いにのする異国風のお店に勤めます~〉
1.どうか私に働き場所を・・・
(ふふ・・・このくらいの仕返し・・・はね。)
私、伊邪那岐お父様の次女、月詠こと夜月みことは天照お姉さまに半強制的に現世に送られ、無事到着したという報告を終えた。
「それにしても、お姉さまったらいつも急なんだから・・・。
しかも私が夜世界を治めてるからってこんな真夜中に送らなくてもいいじゃない。これじゃあ何もすることができないわ。ほんとにもう・・・っていけないこんなことしてる暇ないんだった。
とりあえず、どこか働ける場所でも見つけなきゃな・・・。う~んとりあえず誰でもできそうな簡単な仕事はないかしら。」
私は夜世界の宮でお嬢様生活・・・ではないものの、この世でいう高官のような生活をしていたものの、たびたびお姉さまに(強制的に)現世に送られてたため、ある程度の家事はできるのである(ふふん♪)。
あ、ちなみに高官っていうのは昔の朝廷に仕えていた人のことね。今の時代の官邸の大臣とかのことじゃないから。有名な人だと・・・清少納言さんとかかしら?
まぁ、そんなことはどうでもいいとして・・・
「めんどくさいから、明日起きてから考えよう!」
ということになりましたとさ・・・。
うん、どうしようかしら。ごはんが・・・ないわ・・・。
「はぁ・・・そういえば、これからは私がこういったもの用意しないといけないのよね・・・。」
まぁ、こうなってしまったからにはしょうがない。とりあえず外にいこう!
「とは、思ったものの・・・暑い・・・。」
そういえば、今は夏だったわね。夜世界にはない暑さだからさすがに堪えるわ・・・。
「うぅ・・・こんな調子じゃあ今すぐにも昇天しちゃう・・・。お姉さまごめんなさいお勤め果たせそうにありません・・・。」
・・・って本当にやばいわ。これは洒落にならない・・・。お腹もすいてきちゃったし・・・、あれ?目の前が真っ暗に・・・。それにさっきから足が動かない・・・。あれ?私・・・死んじゃう?
「おぉーい・・・おぉーい・・・。」
何かしらこの声・・・。お迎えかしら?でも、こんな声は聞いたことないわね・・・。あぁ・・・もうそんなことどうでもいいわ、お姉さま今会いに行きます・・・。
「あ、おい、おい・・・。やばい、気絶してる・・・。とりあえずうちに連れてくか?いや、救急車呼ぶほうがいいか?でもこいつ何も持ってないっぽいしな・・・。」
あれ?死んでない?というか・・・私謎の何かに連れていかれようとしてる?
「ご・・・ごは・・・。」
「うん?もしかして、おい!おい!聞こえるか?うん?何か言ってる?何だ?」
「ごはんを・・・ください・・・。」
「・・・・・・え?」
「ごはんを・・・くださいませんか?」
「お、おぉ・・・。っておいおい。おーい・・・。」
ここで私の意識は完全に途絶えましたとさ。めでたしめでたし・・・じゃないわ!
「うん・・・、あれ?ここは・・・どこかしら?」
目を覚ますとそこはおいしいにおいの染み付いた大きな長い椅子の上だった。
「お、目を覚ましたか。体調はどうだ?」
「ふえ?あれ?あなた・・・どなたですか?というかここはどこ?え?え?」
「落ち着け、おまえもしかして覚えてないのか?」
「何を・・・ですか?」
というか、やばいのです。何ですかこのおいしそうなにおいは、お腹が鳴り始めています。
「おまえ倒れてたんだよ。うちの前で・・・。って聞いてるか?」
「ふえ?何をですか?そんなことはどうでもいいのです。何ですかこのいい匂いは。私もうお腹がすきすぎてあなたのことを襲ってしまいそうなのです・・・。がおーなのです・・・。」
「そういえば、お腹すいて倒れてたんだったな・・・。もう少しだけ待ってくれ。もう少しでできるから。」
待てと言われたら待つしかありません。襲いたい気持ちを抑え込んでおとなしく(動かないとはいっていない)待っていると、とてもいい匂いのする味噌汁より色の濃い具の入った茶色の汁が出てきた。
「何かしらこれ!とてもいい匂いする!あ、ご飯もいただけないかしら?」
「お、おぉ・・・というかそれ知らないのか?ただのビーフシチューなんだが・・・。」
びーふしちゅー?何かしらそれ初めて聞くわね。そんなことよりも食べちゃっていいかしら。ご飯ないけどいいわよね?というかもう我慢できないわ。いただきまーす!
「う~~ん!なにこれ・・・おいしい、おいしすぎるわ・・・。今の現世ってすごいわね。さすがお姉さまが見てきた世・・・。こんなにいろいろなものが入ってきてたのね・・・。」
「ご飯は・・・いらないのか?」
「え?いるけど?」
「いやだって・・・もう全部なくなってるじゃん・・・。」
「え?」
彼に言われて器を見ると確かにすでにびーふしちゅーとやらはなくなっていた。
「あれ?もうないの?おかわりは・・・いただけないかしら?」
「いや、それはいいんだが、おまえなんであそこに倒れてたんだ?」
「何でだっけ・・・。あぁ!そうだ!働く場所探そうと思って外を歩いてたら倒れちゃったんだ!」
そのことを思い出したとたん、私の背中をいや~な汗がつたった。
「え?ということは・・・今仕事探してるのか?」
「う、うん。まぁ、そうですけど?」
「ふむ・・・おまえって何ができんの?」
「うん?と言いますと?」
「いや、実はちょうど人を雇おうと思ってたんだが・・・。」
「ふむ・・・それすなわち?」
「できることによっては雇ってやるぞ。」
「う~ん、私のできることね・・・大抵の家事はできるわよ。」
「接客は?」
「う~ん・・・やってみないことには・・・。」
と、その時、
『ぐ~~~~~~~~~。』
「「・・・・・・・・・・・・。」」
まぁ、私のおなかがなりましたとさ・・・(とほほ・・・)。
「・・・とりあえず・・・おかわりとごはんくださいませんか?」
「・・・わかった。」
それからしばらく、私はご飯をたんまり食べた後(具体的にはご飯3杯と、ビーフシチュー2杯にぷりんとかいうおやつ2つ)面接と、仕事の説明を受けていた。
「とまぁ、やってもらいたい仕事はこんなもんかな。」
「やること結構多いわね・・・。もともと何人くらい雇う予定だったの?」
「うーん・・・そこまで収入はないから・・・一人だけかな、雇うとしたら。」
「最初からこの仕事量、全部一人に任せるつもりだったのね・・・。」
「いや、そこまで人は来ないはずだから俺も大抵手伝えると思うが・・・。ってか今まで俺一人で切り盛りできる程度しか来てないからな。」
「それ・・・言ってて悲しくならない?」
「いや、田舎で始めたばかりの店にそんなに人いっぱい来るわけないだろ・・・来てほしいけど。」
「そ、そう・・・。でも、人雇おうとしてるってことはそれなりに人来るようになってきたってことよね。」
私が聞くと、彼はしばらく考えるように腕を組み、あごに手を当てると、
「いや、そうでもないかな。」
と言った・・・って、
「いやいやいやいや、ならどうして雇おうと思ったのよ!」
と、私は驚いで思いっきり大声をあげてしまった。だが、彼はそれに動じず冷静に、
「うーん・・・疲れたから・・・かな。」
と、答えた。
「えぇ・・・。ならどうしてお店やってるの?」
「えぇっとだな、ちょっと長くなると思うが・・・。」
彼は、こう前置きをすると、この店を始めたきっかけを話し始めた。
「もともとこの店は俺の祖父母がやってたんだが、10年前に祖母が、3年前に祖父が亡くなってだな。俺は祖父母が好きで、それに料理も好きだったから祖父母の後を継いで店を始めたんだが・・・、始めてから1か月たってようやく気付いたよな。俺は料理することが好きなだけで、一人でお店を切り盛りすることは好きじゃないということに・・・。
まぁ、祖父母の頃の常連さんや、新しいお客、祖父母の貯金があるから、もうそろそろ人を雇おうかなと思った頃に無職のあんたが来たから雇おうかなと思った感じかな。」
「ふ~ん、つまり私はちょうどよく来たってことね。なるほどなるほど・・・。」
「まぁ、そういうことだな。というわけでだ、ここまでしてやったんだ、働いてくれるよな?」
「もちろん・・・と言いたいところだけど、一つ質問いいかしら。」
「一つだけか?いいぞ。」
「時給はどのくらいかしら。」
と聞いた瞬間、彼は頭に?マークを何個も付けたような顔をした。
「・・・もう一回言ってくれないか?」
「だから、時給はどのくらい?」
「あぁ・・・考えてなかったな・・・どうしよう。」
「え、ちょ、ちょっと、考えといてよ・・・。それで、どのくらいなの?」
「うーん・・・その日の売り上げの2割でどうだ?」
「2割?少ないわね・・・3割でどうかしら?」
「うむ・・・2.5割で手を打たないか?」
「2.5割ね・・・。いいわ、それで手を打ってあげる。それでいつから働き始めればいいのかしら?」
「今日。」
「え?も、もう一回いいかしら?」
「働き始めるのは今日から。」
「・・・・・・。」
「じゃなきゃ、これ作ってねぇよ。」
「はぁ・・・わかったわ。そういえば、名前言ったっけ?」
「ん・・・。あぁ、名乗りあってなかったな、俺の名前は田村武だ。今日からよろしく頼むぞ。」
「夜月みことよ。よろしくね。」
かくして私の現世生活は順調なスタートを切った。
その夜・・・。
「う~~つがれだ~・・・。」
私は働き疲れた体を引きずって、家に着くとベッドに思いっきり飛び込んだ。
「久しぶりぶりに店で働いたけどこんなに疲れるものだったかしら・・・。というか、なんで今日に限ってこんなに人が来たのかしら・・・。」
おかげさまで私の体はボロボロですと心の中でぼやきながらも、お風呂に入った。
「まぁ、残ったご飯を夕食としていただけただけ良しとしましょう。」
こうして、私の現世生活一日目は終わった。