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小竜記  作者: シダ丸
6/10

押し寄せる混乱

 そして、それぞれの新しい日々が始まった。学芸員やみんなは博物館の運営に恐竜の世話と忙しいながら楽しい日々を送っていた。あの直人も今まではプラテオサウルスに「イオ!」という名を付けてかわいがっている。

 そんなある日。早朝から直人から電話がかかってきた。やけに焦っているが、号外を見ろと言って騒いでいた。早速コンビニへ行き、白羽鳥しろうと社の号外を見た。目を疑った!

「小さい恐竜!?地元博物館で密かに飼育!?」そしてカラー写真でデカデカと載っていたのは龍介とトリケラトプス!記事には、最近奇妙な音や声が博物館から聞こえてきたという近所の住民や来館者の証言。さらに、彼らがとても小さな恐竜を飼育していて、どうやらおもちゃなどではない。本物であるらしい、という事が書かれていた。

 おそらく、夜のうちに記者が博物館に忍び込み、龍介の写真を撮ったのであろう。龍介はうっかりカーテンを閉め忘れていたらしい。

 ふと見ると、マスコミの連中や野次馬までが何か騒ぎ立てながら行進している。私はただならぬ胸騒ぎを感じて博物館へ向かった。

 博物館に行くと、もうみんないた。「マスコミが押し寄せてきているんだ。」館長がむつかしい顔でそう言った。

 その時、「ドン!」という音がした。もうマスコミと野次馬が押しかけてきていた。警官が抑えようとするが、あまり効果がない。扉は閉めてあるが、ガラスなので向こうの出方次第で突破されるかもしれない。と思ったときにガシャン!と割れる音がして、外の連中が中にどどどっと入ってきた。野次馬の一人が強引にガラスを割ったらしい。

 しかし手はあった。すでに全ての恐竜を地下一階の学芸員室に避難させていた。だが、連中はあちこちへ散らばって行った。特に白羽鳥社の記者やリポーターは殺気立っていた。彼らの新聞はここ最近売れ行きが悪く、財政難だった。すなわち、この大ニュースを他社より先に入手して起死回生を狙う腹なのだ。飼育していた部屋も鍵があるにも拘らずこじ開け、恐竜飼育をしていた証拠として報道している。そして地下一階にもその手は迫っていた。恐竜たちは怯え、いら立ちを見せている。ついに、ドーーンという音と共についに野次馬と記者どもがなだれ込んできた。すると驚くのは恐竜の方だ。木戸を突き破り、逃げて行ってしまった。それを見た連中は狂ったように追いかける。

 頭が真っ白になった。最悪の事態だった。

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