ようこそ、恐竜島へ
我々三人を乗せたボートは波に激しく揺られながらも何とかニューブリテン島へ着いた。と思ったら…
「ここは俺たちしか知らん無人島、フウチョウ島さ。」
へ…?ちょっと、言っていたことと違うじゃないか!「そんなの聞いてませんよ!」私が怒鳴ると教授が、「いやぁ、すまん。どうも歳のせいでちょっとボケてるんだ。」と笑って言った。いやいや、教授はまだボケる歳じゃないよ!…まぁ、それは置いといて。
「二人しか知らない島?」
「そうだ。だから誰にも言うなよ。」富士宮さんがそう言った。
しばらく進むと大きな木が現れた。枯れ木のようだが何かおかしい。
すると、一気に鳥がバサバサと飛び立った。なんとフウチョウの大群だ。大群が木に止まっていたのだ。しかしその時、朽ちていたその木が富士宮さんめがけて落ちてきた。
「危ない!」私がそう叫ぶと富士宮さんは、その運動神経でなんとかかわした。
「坊主、一つ借りができたな。今度俺がピンチになったらこの坊主に救ってもらわんとな。」しかし、冗談じゃない、と私はそう思った。
その後雨が降り始め、天気は荒れ始めた。しかしあの二人は次の島もボートで行くというのだ。もちろん反対したが、聞き入れられなかった。
案の定、海も大荒れだった。冷たい海水が何度となく体に掛かって痛いくらいだ。
「大丈夫か。」教授がそう言って何とかうなずいて見せた。あいにく、極度の寒さと疲労で話す力もない。冒険初心者にこの嵐はきつすぎる。私は心の中で幾度となく母の名を呼んでいた。
しばらくして私は目が覚めた。ぼんやりとしていた人影は長井教授と富士宮さんだった。心配そうに私を見ていたが、取りあえず安心した様子だ。ここはどこだろう。考えようとすると頭がズキズキして痛い。どこかにぶつけたようだがよくわからない。
「あの後なんとか無人島に着いたんだが、上陸する時荒波に襲われてな。君がボートから投げ出されそこの石に当たったんだ。」そう言って教授は近くにある石を指さした。
「だが、激しくぶつかった割には大ケガはなかった。せいぜいたんこぶくらいだ。」そう言えば、なんとなくそんな記憶がある。
「嵐は止んだが、我々も疲れてるし、お前もその状態じゃ無理そうだ。今日はここに泊まろう。なぁに、食料と水は一週間分はあるさ。」
しばらくして私はだいぶ良くなったので、テント張りを教授に任せて、二人で島を見ることにした。海辺はみな岩だらけで足場は悪い。中心には大きく丸い岩があって、その岩が島の大部分を占めているらしい。しかもかなり高い。そして何より小さい。周囲の長さは10キロあるかないか。とても小さい島である。岩の上には草があるらしいが他は、海辺の物しかないようだ。と思っていたら、何かが我々の頭をかなりのスピードでかすめた。が、富士宮さんの綱には敵わなかった。かかったのはとても奇妙な物だったが、その頭部を見たとたん、とてつもない考えが頭に出た。そんな事ありえないと思ったが、どう見てもそうなのだ。ただ、それを小さくしたようだ。
「それで坊主、こいつは何だ?鳥じゃないが、コウモリか?」そう富士宮さんに尋ねられ、私は誰もが信じがたいことを言った。
「これは…翼竜プテラノドンだ!」