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小竜記  作者: シダ丸
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フウチョウを求めて

 空港で私と教授は、教授の知り合いだと言う鳥類学者を待っていた。

待つこと10分。人ごみの中から「おーい」と言いながら走ってくる人影が。教授と走ってきたその男は親しそうに握手した。日本人だが、チョコクッキーのように肌が黒く、身体も教授や私よりも大きい。歳は教授と同じくらいだろう。

「鶴端君、紹介しよう。彼が鳥類学者の富士宮大樹ふじのみやだいき君だ。」教授はニコニコとそう言った。「そういうことだ。鶴端君、よろしく!」彼は私の手を力強く握りしめた。見た目は鬼のようだが愛想が良く、私はとっても良い印象を受けた。

 そして私達一行は、ジャングルのある島の北東部へ向かった。そこは熱帯特有の植物が生い茂り、あちこちから虫の羽音や鳥の鳴き声が聞こえてくる。

 突然先頭を行く富士宮さんの足が止まった。かがみ姿勢になるように彼は指示した。気になって藪から覗くと、鳥がメスへ躍ってアピールしている。フウチョウの一種だ。

「カンザシフウチョウだ。」富士宮さんがそう言った。その口ぶりはどこか楽しそうだ。が、オスのアピールをメスは冷たく跳ね除けどこかへ行ってしまった。オスはうなだれている。まるで勇気を出して告白したのに振られてしまった高校生男子みたいだ。そしてなぜか富士宮さんもうなだれていた。

 しばらく歩くと大きな川に出た。「ふん、これなら泳いで渡れる」と富士宮さんが渡ろうとすると「待て」と教授が止めた。「ワニがいる。」見ると川には確かにワニがいた。あの大きさだとイリエワニのようだ。渡る方法を探すとうまいことに川に掛かる倒木があった。しかしワニに見つかればこんな木は盾にもならない。私たちは逃げるように走った。渡り切ったとき、木から大きなヘビが落ちてきた。我々を狙っているらしい。ヘビが襲い掛かる!とその前に富士宮さんがヘビの体を押さえていた。なんという力だろう。だが、私はハッと我に返ると、そこの木の枝を折ってヘビの首を抑えた。「いやぁ、でかいヘビだ」富士宮さんが感嘆したように言った。「こいつは何ヘビだ?」「おそらくミドリニシキヘビだ。」教授は冷ややかに答えたが、喜んでいるのが私にはわかった。

 さらに進むと海に出た。本当の目的地はこの先の島だ。「長井君、ゴムボートを出してくれ。」富士宮さんは高らかにそう言った。「でも…教授、そんなゴムボートでは…」しかし教授は「大丈夫。」と平然とした様子だった。

 こうして大海原に我々はこのゴムボートで挑むことになったのだった。

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