新天地
私は気が付くと陸の上で寝ていた。教授と富士宮さんが心配して見ていたが、取りあえず安心したようだ。嵐はなく穏やかな空、ではないようだ。どうやらまだ近海は大嵐で、ここだけ台風の目の様に晴れているようだ。
「私と富士宮君以外はボートから投げ出された時みんな気を失ったんだ。」なぜ気を失わなかったか聞くと「慣れてるから」としか言われなかった。
そうしてる間にみんな気が付いた。
みんなで『恐竜探検隊』として島に恐竜たちがいるか確かめに出発したのは正午だった。
少し進むと、イオがいた。直人は我を忘れイオに抱き着く。その目には涙があった。
この離島は本当に小さな島だったので、三十分で恐竜二十二体すべて確認できた。全ての恐竜がこの島に無事たどり着いたのは疑問だが、それは永遠に解かれることのない謎だろう。
そうこうしているうちに別れを告げる時がいつか来るはずだった。分かっていた。しかし、いざ別れるとなるととても辛かった。今までわが子の様に育てた恐竜との別れは悲しかった。
教授は時を急がなかった。恐竜との別れの時間を十分にとってくれた。
ところで、恐竜は一頭だけだと絶滅してしまう。生き物だから当然だ。しかし教授が、すべての恐竜、あの恐竜島にいた恐竜すべてをここに連れてきていた。水生恐竜も連れてきていたらしく、島にあった池に放してやった。どうやって連れてきたのか聞くと教えてくれなかった。
とにかく、みんなの気が済んだところで我々は島を離れることにした。まだ浜で恐竜たちは名残惜しそうに見送ってくれた。
あぁ、我が偉大なる恐竜たちよ。君たちはあまりに小さく、あまりに誇り高かった。その日々は刹那の輝きを放っていたことだろう。
もう別れだ。私は君たちと住む世界が違うのだ。君たちと暮らしたいけど無理なのだ。もう君たちに二度と会えないかもしれない。しかし、出会った時から君たちは恐竜だった。小さくても誇り高き恐竜だった。これからもそうであろう。
あぁ、さようなら。私たちの誇り高き恐竜たちよ。力強くたくましく、誇りを持って生きてくれ。それは私たちだけの願いではなく、この青い地球の願いでもあるのだから!
どうでしたか。まだまだ未熟なところはありますが、楽しく書かせていただきました。鶴端と教授のコンビはこれからも出していこうと思っています。読んでくださり、ありがとうございました。またよろしくお願いします。