第61話 「ドキドキ! 初めての学園生活!」
いつか必ず殺してやると誓った。
殺せるだけの力を手に入れた暁には、その四肢を全て凍てつかせて砕いてやると呪った。
あれからもう、随分と長い時間が経つ。
太陽の毒で焼かれた喉は完治し、竜種を冷気で屠ることが出来るくらいには力を蓄えた。
まだ己の実力が完璧だと思ったことはない。
どれだけ力を付けようと、あの狂人はそれを超えてくる理不尽さがあることも知っていた。
けれども、けれども。
この冷たい身を焼き尽くす復讐の炎が、彼女の理性を徐々に焼き切ってくる。
まだ時期尚早だと諫めてくる理性が、煉獄の熱に耐えきれないのだ。
「狂人アルテ」
かつてはこの山の主だった竜種が棲んでいた洞穴に声が木霊する。
巣の主は美しい、氷のオブジェとなって壁に縫い付けられていた。
哀れ、二代目青の愚者に挑んだ老龍はあっさりとその一生を無様な形で終えていた。
「狂人、アルテ!」
怒声と共に、炎の燐光にもにた冷気が世界を覆う。老龍の亡骸が砕け散り、体内に蓄えられていた莫大な量の魔の力が、声の主に吸い込まれていった。
氷結の暴風が過ぎ去ってみれば、洞窟に存在するのはたった一人の少女。
ティアナ・アルカナハート。
狂人に復讐を願った少女が、ようやっと、それに見合った力を手に入れた瞬間だった。
/
魔導教院エンディミオン。
それは魔の力に通ずるものならば一度は訪れてみたいと考える、知の集合体。
都市全てが学園であり、学びの世界は無限大。この世界のあらゆる学問がひしめき合い、研鑽し合う場所。
されども格式は決して高くなく、それに見合う実力と見識があれば誰でも自由な探求が許される社会。
そんな秩序と摂理に守り通された世界に、彼女は飛び込んでいた。
「イルミリアストリス・A・ファンタジスタです。Aは家名の略語らしいですが、諸事情により家名を失念しています。よろしくお願いします」
ぺこりと、流れるような銀髪が礼に沿って垂れ落ちる。
血のような赤い瞳は流麗に伏せられ、身に纏った装いはきらきらと輝いていた。
そして銀の髪の隙間から覗く両耳には、月のように光を反射する銀のイヤリングが嵌められている。
「はい、というわけで『魔導力学科』に転入してきたイルミさんです。同じ学問を志すものとして仲良く、けれども全力で研鑽し合うように。科のルールやしきたり、その他もろもろは皆さんが教えてやって下さい」
イルミの紹介を告げたのは、エンディミオンに存在する科の一つである、「魔導力学科」の主任講師である男だ。
名はキャスバブル・ノウレッジ。
ニコニコと笑みを絶やさない、穏やかな雰囲気を纏った好青年だった。
「本来ならばこの時間は本科の座学を行いますが、折角の転入生です。これよりオリエンテーションの時間とし、皆様で交流を深め合って下さい」
それだけを足早に告げると、ノウレッジは教室を後にした。
「魔導力学」の講義、および研究が行われる教室にはイルミを除いて、五人の生徒が取り残されている。
「おい、転入生なんて聞いていたか?」
「んにゃ、月報にも名簿にも名前はなかったよ。ノウレッジ先生のいつもの悪い癖だね。面倒くさがりの」
ノウレッジが教室を去った瞬間、そこかしこでひそひそと話し合う声が聞こえた。
その中でもイルミに一番近いところで言葉を交わし合う男女がいた。それぞれイルミよりも若干年上の少年と少女だ。
二人は少しばかり、イルミの突然の出現について話し合っていたが、彼女がじっとこちらを見ているのに気がついて、慌てて自己紹介を取り繕った。
「あ、えと俺はアズナブル・ディライト。皆からはアズナって呼ばれている。イルミリアストリスだっけ。これからよろしく」
アズナは栗色の髪をした長身の少年だった。アルテよりも頭一つ分大きいと、イルミはそんな事を考えていた。
「あー、あたしはハンナ・レイラッド。一応副室長を務めてるんだ。何かわからないことがあったら私に声を掛けて」
対するハンナは逆だった。黒い髪にイルミと同じくらいの身長。つまりはそれほど背が高くない。
自分より年上だと言うことを考えてみれば、同年代の中ではそれなりに背が低いのだろう。
アズナとハンナはそれぞれイルミの元へと近づき、手を差し出した。
それが握手を意味していることに、イルミは中々気がつかなかったが、クリスから教えられた「学友に対する礼儀や態度」を思い出して、静かに手を握った。
「……兄様、自己紹介をしているよ。あっちにいかなくていいの?」
「……姉様こそ、新しい友人をつくるチャンスだよ。もしかしたら僕たちの研究を手伝ってくれるかも」
「でもこんなマイナーな科に転入してくるなんて、何か裏があるのかも」
「怖いね。姉様」
「怖いね。兄様」
あー、とイルミの前に立っていたアズナが頭を掻いた。そして先程から彼らの後でぶつぶつと声を零す二人組をそれぞれ指さした。
「あいつらはエリーシャとカリーシャ。エリーシャが双子の姉で、カリーシャがその兄だ」
アズナの矛盾を孕んだ紹介に、イルミは首を傾げた。
普通、双子ならばどちらかが妹、もしくは弟だからだ。
アズナもイルミの疑問が当然だと言わんばかりに、自己紹介を補足した。
「あの二人はどちらが先に産まれたか知らないんだ。だからどちらも相手のこと兄と姉って言っている。ついでに対人恐怖症で、君に対して色々と無礼があるかもしれないが大目に見てやってくれないか」
言われてイルミは二人を見た。
無機質な赤い瞳に見定められて、双子は「ひっ」と声を漏らす。
イルミのそれよりは若干灰色よりの長髪の銀髪を持つ方が姉のエリーシャで、短髪の方がカリーシャなんだと、何となく理解した。
「あ、あとあの後ろでふんぞり返って、挨拶する気もない奴がヘイン。ヘイン・カーマイルだ。あんなでもロマリアーナ王国の王位継承第8位だ。少々気むずかしい奴だが仲良くしてやってくれ」
イルミがそちらに視線を向ければ、長机に足を投げ出してこちらを見ている金髪の青年と目が合った。
青年――ヘインは「ふんっ」とイルミを見て鼻で笑った。
「栄えある『魔導力学科』に転入してくるものだから、どんな才人かと思えばただの田舎臭いちんちくりんではないか。ノウレッジの奴が転入生と言ったときにはそれなりに期待したものだが、全くの外れだな」
イルミに対する余りにもあんまりな台詞に様子を見ていたハンナが「アホなこと言ってんじゃないわよ!」と食ってかかっていた。
けれどもそういった罵詈雑言に対して何処吹く風――正確にはアルテに対するものを除く――な彼女は割とどうでも良い、とすぐに視線をヘインから外していた。
彼女からしてみれば、別に誰彼と馴れ合うつもりは毛頭なく、己が魔の力を磨けるような人とだけ関わり合えば良いとそう考えていたのだ。
だからこそそんな態度を受けたヘインが怒り狂うまでそう時間は掛からない。
「貴様、新人のくせに礼儀の一つも知らんのか。貴様を育てた親の顔が見てみたいものだな」
ヘインからしてみれば、ちょっと生意気な転入生に科内の力関係を見せてやるつもりだった。
ちょっと嫌味を言ってやり、あちらが反論してきた時に一気に叩く。
それが彼なりの処世術であり、コミュニケーションの手段だった。
ただ相手が悪かった。
それに相手の逆鱗を的確に踏み抜いてしまう運のなさもあった。
イルミにとっての保護者は何人かいる。
姉のように面倒を見てくれたレイチェルと、それほど関わった期間が長いわけではないが、牢獄から救い出してくれたクリス。
そしてこの世界で唯一、全身全霊を持って愛し尽くそうとした男、アルテである。
誰が罵られたのかはどうでもよかった。
ただその対象にアルテが入っている可能性があったのがいけなかった。
「アルテの悪口を言うな」
言葉は僅か一つ。けれども動作はそんな生やさしいものではなかった。
彼女の影がぐにゃり、と歪んだかと思うと、そこから牙が生えてきた。いや、正確には鋭い牙を幾つも携えた狼が二匹生えてきた。
それもそんじょそこらの成人男性の数倍の体躯はあろうかという、巨大な狼である。
そして、その狼が「ぐるる」と牙を剥いたかと思うと次の瞬間にはヘインに飛びかかっていた。
室内にいた全員が、訳のわからないままに、ただ、ヘインの無残な死体だけは夢想した。
ただヘインにとって、たった一つ幸運だったのはイルミがそれなりの分別をすでに身につけていたことと、こういった事態をクリスが予想していたことである。
彼女はエンディミオンに向かう前のイルミにこう言った。
「学園というのは、君の気に入らない人種が必ずいるところだ。それは性格であったり、態度だったりするだろう。また、アルテのことを悪く言う人間だっているかもしれない」
直ぐさま「殺すわ」と返してきたイルミにクリスは己の額を押さえながら続けた。
「たがそこで短絡的になるのは良くないことだ。何故ならそこで取り返しの付かないことをしてしまえば君は学園にいられなくなる。そうしたらアルテの送り出しの言葉も全て無駄になるぞ。だから我慢するんだ。どれだけ腹が立っても、危害だけは加えてはならない。――それに、他人がどれだけアルテを貶めても、君は彼の素晴らしさを認めるんだろう? ならそれでいいじゃないか。君だけが彼を愛することが出来るんだから」
その説得方法は効果てきめんだった。
事実、二匹の狼はヘインに食らいつく寸前で止まっていた。
敬愛するご主人様が待て、と命令したからである。
大人しくなった狼たちを、自身の影に戻らせると、イルミは腰の抜けたヘインの前まで歩いてきてこう言った。
「次、アルテの悪口いったら許さないから」
短いけれども、余りに実感の籠もった言葉に、その場にいた全員が、彼女の保護者について触れることは禁忌なのだと瞬時に悟って見せた。
/
一度グランディアに戻りましょうか。
イルミがエンディミオンに旅立って二週間弱。レイチェルとその赤い魔導人形に支えられながらリハビリを続ける毎日。
様子を見守っていたヘルドマンがそう嘯いたのがそのタイミングだった。
「……確かにこの足ではサルエレムに向かうことは難しい。一度グランディアの設備の整った施設で本格的にリハビリに専念した方が良いかもしれないな」
レイチェルの言葉に、俺もほぼ全面賛成だった。
身体が回復し次第、俺とレイチェルだけでも聖地サルエレムに向かうつもりだったが、四肢の回復の兆しは一切訪れず、悪戯に時間を使ってしまう毎日に焦りを感じていたのだ。
なら、彼女の言うとおり、施設も整い、生活基盤も構築しやすいグランディアに戻るべきなのかもしれない。
「一応、領主の許可は既に得ています。外出などは相変わらず制限されますが、今のあなたなら問題ないでしょう。生活費も聖教会が管理するあなたの報奨金がありますし、そう悪い話ではないと思います。身体が回復すれば、再びサルエレムを目指すことも可能でしょう」
結論が出るまでそう時間は掛からなかった。
レイチェルもヘルドマンの提案に納得したし、俺も反論はなかった。
グランディアへの帰還のタイミングについては、ヘルドマンとクリスにはレストリアブールでの戦後処理があるということなので、それが一段落し次第ということになった。
ならばと俺とレイチェルは来たるべき帰還に向けて細々と荷造りを進めることになった。
ただ一つ。
一つだけ心残りがあるとすれば、エリムとの再会が果たせなかったことだが、面会も許可されず、レイチェルも「しばらくは距離を置いた方がいいかもしれない」と遠回しに反対してきたので、四肢が回復した時にそれは持ち越しとなった。
正直なところ、謝罪をするべきなのか、真実を話すべきなのか、決めかねているというのもあり、頭の冷却期間が欲しかったというものもある。
けれども、本音を言ってしまえば、
初めて出来た友人をこんな形で喪ったと言うことを、認めたくなかったのだ。
/
イルミのエンディミオンでの生活は、凡そ順調に始まったと見てよかった。
対人スキルをこれまで磨いてこなかった彼女だが、幾度となく死線を潜り抜けてきた所為か何とも言えない凄みを普段から醸し出しており、寡黙だがなんだが凄い奴、という地位を得るまでそれほど時間が掛からなかった。
何より、アルテという超絶コミュ障を毎日相手していたので、常人相手のコミュニケーションスキルは決して低くはなかったのだ。
「――という感じかな。ここのルールは。取りあえず他人の研究の邪魔をしないことだけ守っていれば、大体は寛容だから」
初日から使い魔を召喚して、同じ所属の生徒を脅すという暴挙をしでかした彼女だったが、 相手が相手だったこともあり、それなりには科になじめていた。
今現在はハンナに連れられて、科内のルールや備品の扱い方。その他研究施設の案内を受けていた。
「本当は室長のヘインがしなきゃいけないんだけれど、ほら、あいつ完全にご立腹だからさ。まあ、そのうち怒りも収まるだろうし、しばらくは私たちと行動してればいいよ」
毒にも薬にもならないようなアドバイスを受けながら、イルミはエンディミオンの校舎を歩いていた。
都市全体が学園と言っても、科や研究室事に施設が割り当てられており、「魔導力学科」は島内の北側にある校舎を拠点としている。
比較的古いそこは、殆どが石造りの建物で、魔導具を利用した照明が夜の廊下を照らしていた。
「日中の出歩きは特に制限されていないけれど、自己責任ね。体調が悪くなって医務室に運ばれたら治療費は自己負担だから。昔、ヘインのアホが太陽の毒を遮断する魔導理論を発明した! って言って飛び出していったけれど、一時間も経たないうちに担架で運ばれてたわ」
当初はその行動を畏れていたくせに、アルテはやっぱり凄かったんだな、とイルミは勝手なことを考えていた。
「門限等はとくにないけれど、卒業に必要な単位だけは取らなくちゃいけないから、あんまり講義をさぼると何年もここにいるハメになるからほどほどにね」
あらかたの施設案内を終え、二人は北側の校舎――通称「北棟」のロビーに戻ってきた。「北棟」の他には東西南北に対応した棟と、中央の大講堂、そしてそれらの隙間を埋めるように様々な実験施設が乱立している。
「ところでさ、さっきの魔の力、あれどうやってるの? 使い魔の使役は昔からある古典的な魔術――あ、魔術っていうのは魔の力の行使のことね――なんだけど、ああいった不定形の使い魔なんて聞いたことがないよ」
ちょっと昔までのイルミならば知らないわ、と一言で斬り捨てていただろう。
けれども良くも悪くも、アルテとの旅で人と関わることを覚えていたイルミは、少しばかり考えるようなそぶりをしてこう返した。
「姉が、姉が別れ際に私の影に縫い付けていった。だから方法とかはない。魔の力を食べさてあげれば、いつでも呼び出せる。何度でも」
言葉と同時、イルミは無言のまま狼たちを呼び出した。
イルミの髪の色と同じ毛並みをした二匹の獣は、主と共にいたハンナを興味深そうに見つめ、やがてその匂いを嗅ぎ始めた。
生きた心地をしなかったのはハンナである。
「あ、あの、これ大丈夫なの?」
「……私が命令しなければ自分から人は襲わない。触ってみれば?」
そう言えばアルテはあんまり触りたがらなかったな、とアルテのことばかり考えているイルミである。
対するハンナは恐る恐るといった風に狼の額を撫で、「ばうっ」と喉を鳴らされて大層ビビっていた。
「そ、そう言えばお姉さんと別れたっていったけれど、お嫁さんにでも行ったの?」
質問は狼の恐怖でパニクったハンナが思わず口走ったものだった。
普段の彼女ならば、死別の可能性も考慮して流していたような話題だ。けれども時折牙を見せてくる獣を見て、彼女はそういった分別がつかなくなっていた。
けれども、幸いなことにその話題はイルミにとってはとくにタブーでも何でもなく、アルテですらまともに聞いたことのない姉の話を彼女の口から聞き出すことに成功していた。
ただし、姉がこの世界でなんと呼ばれているのかは伏せた上で。
万が一、アルテの耳に入ってしまったら、の時のことを考えてのことである。
「昔は一緒に暮らしていたのだけれど、姉はやらなければいけないことがあるって言って、自分の信じぁ――部下に私を預けていった。今はこの世界の何処かをふらふらとしているのだと思う」
なんだか複雑な過去を持っているんだな、というのがハンナの感想だった。
ただ、ここエンディミオンではそんな人種はごまんといるので、それ以上深く追求することはなかった。
そしてちょっとした欲目がでた。
もう少しくらいなら、この不思議な転入生のことを聞いても良いだろう。
そんな欲目だ。
「なるほど。ならもう一つ聞いてもいい? ここっていろんな研究科があるんだけど、なんでウチみたいな弱小マイナーな科に来たの? 明日の研究費もままならない、学園都市の爪弾きもの。それが私たちなんだけれど」
完全な好奇心からの質問だった。
ハンナの言う通り、「魔導力学科」というものは歴史だけは古いものの、言い換えてしまえばそれだけで、施設設備も、担当講師も微々たるものだ。
そんな科にわざわざ転入してくる人間がどんな動機を抱いているのか聞いてみたかったのだ。
この質問に関しては、イルミは即答した。
何故ならこの科を選んだのはヘルドマンでも、クリスでもなく、彼女だったからだ。
「だって、この科はここで唯一、魔の力を使った人の殺し方を研究できるから」
ハンナはすぐには答えなかった。
ただ沈黙を保ったままじっとイルミを見つめる。
けれども対するイルミもまた、ハンナをじっと見つめた。
根負けをしたのはハンナだった。
「……なんというか、そんな雰囲気はあったよね。一目見たときから。こういう嫌な予感は当たるんだよな-。あたし。――うん、そうだよ。ここは『魔導力学科』 魔の力を現実に反映させてそこで発生する事象を研究する科。ただし研究目的は自由」
はあ、と大きめの溜息をついた彼女は続けた。
「ウチの生徒は大体が誰かしらをあの世に送りたくてここに通っている。ただその相手が余りにも強すぎるから、魔の力を使って効率よく殺す方法を研究しているんだ。例外はアズナくらいじゃない。彼は父親の研究を継ぎたいとかそんな理由だった筈」
私はね、親の仇の吸血鬼を殺したいんだ。だから吸血鬼を効率よく殺す魔の力――もっと言えば太陽の毒について研究している。どう? 幻滅した?
ちょっとばかり投げやりな、ハンナの言葉。
けれどもそれは、彼女がこの世で最も愛する男の行動原理と全く同じものだった。
だから驚くほど自然に、イルミを知るレイチェルやクリスならそれこそ驚いてしまうほど、彼女は親愛にも似た表情を見せていた。
「そんなことないわ。私も吸血鬼を殺すためにここにきたから」




