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ヴァンパイア/ジェネシス(勘違い)  作者: H&K
第六章 黄の愚者編
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第107話 「シュトラウトランドでボクたちは出会った」

VG107


 エンリカたちの工房、「ドワーフの穴」に来て数日が経った。工房の宿舎に寝かされたヘルドマンは時折意識の覚醒を見せるものの、基本的にこんこんと眠り続けており状態は芳しくない。γが言うには失われた心臓の部分に人工心臓を彼女自身が再建している最中だという。ただ、愚者としての能力が殆ど失われており、酷く時間の掛かる道のりだそうだ。今現在は魔の力の循環を人工心臓の代わりに見立てて生命維持をしている状態だという。ただ魔の力の総量そのものが著しく減衰しており、心臓の再建が先か力尽きるのが先か、という状況であることも確かだ。


「アルテ殿、お食事をお持ちしましたぞ。シュトラウトランドの黒パン、お久しぶりではありませんか?」


 ベッドに横たわるヘルドマンをぼんやりと眺めながら過ごす毎日、こうして定期的にエンリカが食事を運んできてくれる。彼女は工房の仕事をこなす傍ら、こうして俺たちの面倒をよく見てくれていた。


「——今日は目覚められましたか?」


「いや、昨日から眠り続けている。魔の力の総量がもう殆ど残されていない。もう、祈るほかない」


 出来ることは何でもやった数日間だった。イルミの血液から作られた魔の力を凝縮させた製剤を飲ませたことはもちろん、γが持っていた魔の力を分け与えることもした。レイチェルと俺の魔の力(いや、太陽の力か?)は特殊すぎて使えなかったが、「ドワーフの穴」にいる職人たちの血を少し分けて貰って与えることまでやってみた。しかしながらどれも焼け石に水と言うべきか、彼女の身体を回復させる一助になったとは到底言いがたい。


「レイチェル殿から聞きましたぞ。——娘さんだそうですな」


「今の今まで忘れていたけれどもな」


 俺の隣に腰掛けたエンリカもヘルドマンの様子を見守り始めた。彼女は自分の分の食事も用意していたのか、懐からサンドイッチのような食べ物が入った包み紙を取り出してそれを口にし始める。


「黒の愚者として世界最強の一角をつとめられていたのだから、その父親であるあなたはやはりただ者ではなかったようだ」


 エンリカの言葉に「どうだろうな」と自虐的な声が漏れた。


「我が娘を傷つけた男に傷一つつけられなかったよ。こんな情けない男が父親なんてこの子が可哀想だ」


 自分でも少し引いてしまうくらいには情けない声色だったように思う。こんな時こそ呪いボディにフォローして貰いたいのに、今この時ばかりはそっぽを向かれっぱなしだ。


「いいえ、情けないなどと言わんでくだされ。聞くところによればロマリアーナが誇る人類最強の男が相手だったそうではないですか。それを相手にしてアルテ殿は五体無事で生きている。十分すぎる戦果だとは思いますが」


「だが殺せなかった。一刀両断した筈なのに生きていた。馬鹿を見ただけだ」


 駄目だ、と思いつつも今ばかりは否定の言葉しか出てこない。たぶん、自分が思っている以上に参っているんだと思う。折角異世界で見つけることの出来た、自分と血の繋がった家族を守れなかった事実が重くのし掛かってくるのだ。それにユリが赤の愚者に挑むと告げたとき、無理にでも止めていればこんなことにはならなかったという後悔もある。

 記憶を少しばかり取り戻せたことに舞い上がって、彼女のことを最後まで見てやれなかった俺の完全な失態だ。


「……なればこれからもう一度挑まれれば良い。舐められたら徹底的に叩きつぶす。それが私の見てきたアルテ殿の流儀だったように思いますがな」


 そんなヤクザな生き方してきたかな。いや、してきたかも。

 ただ今この時ばかりはもう疲れてしまったというのが本音だ。あの男に逃げられたとき、クリスの姿を見失ったとき何か気力の糸が切れてしまったのは確かだ。


「一度義手をお預かりしましょう。レイチェル殿が整備されていたからほぼ問題ないとは思いますが、念のために、ということもありますから」


 エンリカの小さな手が器用に俺の義手を切り離していった。彼女は俺の分の食事をそのままに部屋を後にしていく、

 残されたのはこんこんと眠り続ける死人のような娘と、情けない父親にも慣れない無様な男だけだった。



01/



「その様子だと相変わらずだったようだな。一度折れた心というのは中々どうして厄介だ。元に戻そうと思って戻るものじゃない」


 工房の一角でレイチェルは何かしらの設計図を描いていた。上質な羊皮紙に羽ペンと定規を走らせている。その横ではイルミが何かしらの実験器具を操作しながら、自身の血の精製を淡々と続けていた。


「まさかアルテ殿のあんな様子を目に掛かるとは。トーナメントに参加しておられた頃と全くの別人で酷く焦りました。あの頃はまさしく剥き身の刀身のような方でしたが、今は間違いなく迷い苦悩する人ですな」


 義手を作業台に置きエンリカが言葉を零す。レイチェルは動かしていた手を止めそちらに視線を向けた。


「ここを出てから色々あったんだ。どれもこれも彼の肉体と精神を苛むようなことばかりだった。心が摩耗し続けていたとしても可笑しくはない。ただ、それだけならまだよかったんだが、アルテは少しばかりの安寧を手に入れてしまった。私たちにとっても青天の霹靂ではあったが、ヘルドマンが娘だと言うこともわかったからな。すり減った心を解きほぐす幸せが一瞬だけあったんだ。ただそれがあんなことになった。つかの間の安寧が一瞬で奪われたとなれば気が狂っていても不思議じゃない」


 いや、もともと彼は狂人か、とレイチェルが呟きを漏らす。イルミはそんなレイチェルに鋭い視線を向けた。


「莫迦にしないで。アルテは確かに狂人よ。でも今回のことはそれとは関係がない。あの人の不器用な優しさがあの人自身を苦しめているのよ」


 エンリカとレイチェルが目を剥いてイルミを見た。そして「たぶん一番成長されましたな」「間違いない。この子が一番人間らしくなった」と二人して耳打ちをしあう。イルミはそんな二人を無視したまま言葉を続けた。


「私は家族というものに対して思い入れは全くないわ。私を地下のあそこに鎖で縛り付けた人たちに親愛の情なんて持てないし。けれどもそれが人々にとって大切なものであることくらいは理解しているつもりよ。アルテはずっと孤独を生きてきていた。いつも本当の意味ではどこか独りぼっちだったから。そんな人がようやく一人じゃないと見つけたんだもの。きっと嬉しかったんだと思う。だからこそ、奪われたときの怒りと悲しみは想像するに余りあるわ」


 レイチェルの言を補足するような言葉にイルミ以外の二人は頷き会う。三人の共通見解としてヘルドマンはともかく、アルテが直ぐに再起するのは難しいだろうという結論が芽生え始めていた。


「じゃあさ、もうこの際聞いてしまおうと思うんだがイルミはあの二人が親子関係にあったことをどう思う? 君は誰が見てもアルテを愛し、アルテのために生きている。ただ君の血縁関係にある赤の愚者もまたヘルドマンと親子関係の可能性が高い。つまり君の——お姉さんとアルテの子供がヘルドマンという現状についてイルミはどう考えているんだ?」


「奪うわ」


 少しばかり早口で問いかけ方が不自然すぎたかも知れないとレイチェルは反省していた。だがこれから旅を続ける上で有耶無耶にすることはできないと相当覚悟を決めて臨んだ質問だった。ただレイチェルの覚悟とは裏腹にイルミは即答して見せた。


「偉そうに姉面して、アルテのことをほったらかしにしているあの人なんて関係ない。私は姉からアルテを奪うわ。黒の愚者——ヘルドマンについてはまだよくわからないけれども、父と子であることを弁えているのならちょっとは大目に見てあげる」


 赤い瞳の決意は固かった。


「過去は過去。今は今よ。私はあの地下牢獄から救い出してくれたアルテと共に生きると決めているの。愚者の討伐という偉業を見せてくれた彼を愛すると決めているの。だから正直どうでもいいわ。今更アルテから逃げ出した負け犬の姉なんて興味がない」


 それに——とイルミは薄く笑う。


「いうなれば少しやんちゃで寂しがりな姪っ子ひとりくらい、一緒に愛してあげることくらい吝かじゃないわ。私、あの子のことそう嫌いじゃなかったみたいだし」


 恐ろしい女だと、声には出さずともレイチェルとエンリカ、それぞれが共に抱いた感想だった。



02/



 衣擦れの音が一つした。視線を上げればこちらを見つめる弱り切った赤い瞳が見える。

 久方ぶりに目を醒ましたユリは小さく笑っていた。


「よかった。お父さんは無事だったんだ」


 口調が幼かった。ただそれを指摘できるほどこちらに余裕はない。何か欲しいものはないか、と問えば「大丈夫だよ」と笑みを零す。

 そしてごめんなさい、と消え入りそうな声で呟いていた。

 こちらが何かを告げるよりも先に、淡々とユリは言葉を紡いでいく。


「油断したつもりはなかったし、確実に殺したと思ったのだけれど向こうが一枚上手だったみたい。アレは多分蜃気楼だ」


 交戦したであろう「人類最強」の男についてユリは私見を述べる。体調を鑑みれば止めなければならないのだろうが、彼女の頭脳に助けられてきたことを思い出せば口を噤まざるをえなかった。

 そして彼女が最後に語った「蜃気楼」という言葉を掘り下げるべく問いかければ、掠れた声でユリは答えを返した。


「本体は別の所にあるってこと。どんな原理かわからないけれど、あれは別の場所にいる人間をこちらに投影しているんだと思う。だから私の術が効いても投影し直せば全ては元通りって訳。しかもたちの悪いことに質量まで再現できるみたいだからこちらは一方的に殴り続けられる」


 頭の良い子だと思った。こんな状況でも分析をやめない。こちらが少しでも有利に立てるように振る舞うことを辞めない。

 こうなっても勝ち筋を拾おうとすることを諦めようとしない。


「ただ本体は間違いなくお父さんよりも弱いから直接叩けば何とかなると思う。——次はもう負けないから」


 一瞬だけユリの瞳に力がこもっていた。やはり彼女は世界最強の一角を担い続けた人物なのだと、こういうときに再認識する。

 ただ、その後に続けられた言葉に対しては咄嗟に父親として接してしまっていた。


「夢うつつだけれども聞いてたよ。サルエレムに向かうんだよね。私もそこに連れて行って欲しいな」


「それは駄目だ」


 思ったよりも厳しい口調になってしまい、こちらが焦る。ユリは瞳だけで「何故?」と問うていた。

 俺は絞り出すようにそれに答える。


「お前の身体は旅路に耐えられない。サルエレムに向かえば何故今の状況が好転するのかわからないが、お前は連れて行けない」


 まごうことなき本音だった。けれどもユリは至極落ち着いた調子でこちらを諭すように口を開いた。


「——私、自分の心臓が何故取られたのか何となくわかるんだ。もし、私の推測が当たっていれば私自身が彼の地に赴かなければ何も解決しないと思う」


 そうか。頭の悪い俺にはさっぱりだよ。何故お前は心臓を取られなければならなかったんだ?

 言葉は呪いのせいで殆ど絞り出すことが出来なかったが、ユリはしっかりと俺の疑問に答えてくれた。


「母さ——私は赤の愚者から青の愚者と白の愚者の心臓を与えられていた。緑の愚者は自分で食べた。そうすることでそれぞれの愚者の能力を私は行使することができていた」


 ユリは青の愚者の氷の権能を自在に操っていた。白の愚者の権能がどうなっているかはわからないが、緑の愚者はひょっとして遠隔で魔導人形を操る力か? それはつまり他の愚者の力を心臓を通じて取り込んでいたということになる。

 何となく、ユリの言わんとすることがわかってきた。


「あの心臓はね、私を含めて4人の愚者の力が込められた心臓だった。何か世界の理すら書き換えようとする大きな事をしようと思えば最高の生け贄になる。——で、私がサルエレムに行かなければならない理由だけれども」


 ユリは静かに天井を見上げる。呼吸が苦しいのか、暫く息を整えようとしている様子が見受けられた。もう喋らなくてもいい、と声を掛けようとしたが、彼女がこうして伝えんとしていることを聞くのもまた義務のように思えた。


「そんな物騒な心臓な訳だからちょっと変な術式を刻んだり、刺激を与えたりするとそれぞれの権能が暴走する可能性がある。つまり下手に扱うことが出来ないんだ。多分今は黄色の愚者が押さえ込んでいるからなんともないけれど、その頸木がなくなったら誰かが押さえ込まなければならない。そんなことが出来るのはもう誰かわかるよね?」


 愚者でなければ扱えない代物、というわけか。ユリが言っていることは恐らく本当だ。この世界を維持する機構の一つとして愚者が存在していることはノウレッジから聞かされている。そんな彼らでなければ心臓を制御することができないのは道理に適っているのだろう。


「……そんな顔をしないで、お父さん。こんな生き方を選んだのは私だから。もういい年した娘に責任なんか感じないで」


 まだ彼女に父親呼ばわりされることには慣れない。だが「責任なんか感じないで」と言われたとき、胸を刺したこの辛さはそういうことなのだろう。親らしいことなど何も出来ないばかりか、つい最近までそれに気がつかなかった愚か者でも情というものは確実に存在しているのだ。


「——必ずお前のことは助ける。お前の願い事は何でも叶えてやる。サルエレムにも何とか連れて行ってやる。だから責任がないなんて悲しいことを言ってくれるな」


 ユリの視線が再びこちらに向けられた。揺れているように見えるのは恐らく見間違いじゃない。けれども彼女はその瞳をそっと閉じ、再び天井へと顔を向けた。


「少し、休みます。アルテ、あなたも休んで下さい」


 ——ヘルドマンは静かに息を吐き出し、それから何も言わなくなった。意識はあるのだろうが休息が必要ということなのだろう。これ以上長居するのは彼女の為にならないと考えた俺は、静かに部屋をあとにした。



03/



 トーナメントを見に行かないか。

 

 工房に顔を覗かせて開口一番、レイチェルにそんなことを言われた。機械油だらけの手をボロ布で拭いながら彼女は言葉を続ける。


「ボクたちが去った後も競技そのものは盛んに行われているらしい。むしろ以前より参加者が増えて盛り上がっているそうだ。お前と白の愚者の戦いは絶対的な恐怖を振りまいていたが、それだけでなく人々の心に何かしらを刻みつける佳いものがあったのかもな」


 慰められているのは何となくわかった。細かい気遣いができる彼女のことだ。情けない俺を見て何とかしなければならないと考えてくれているのだろう。

 あとは俺がそれに乗っかるか乗っからないかだが、これもまた情けないことに、どちらも選ぶことが出来ないのが正直なところだった。レイチェルの気遣いを無駄にしてはならないという気持ちと、ヘルドマンを置いてはいけないという葛藤。その二つがせめぎ合っていて俺はまともな返答一つ返せないままにその場に立ち尽くしてしまったのだ。


「……すまない。問いかけ方が悪かったな。ボクが気晴らしで見に行きたいんだ。けれども元競技選手としてそこそこ顔が売れてしまっているボクは不埒な輩に絡まれる可能性もある。ゴリアテのないボクはただの人間だ。あとはわかってくれるよな?」


 優しすぎて涙がでそうになる。いや、呪いのせいで微塵も涙腺は動いていないけれど。

 ただここまでされてしまえば妙な固辞はレイチェルに恥を掻かせることになる。俺は彼女の提案に対して首を縦に振った。


「そうか。ならイルミ、少しばかりアルテを借りていくぞ」


「——一応、私はあなたのことを信じているからレイチェル」


 短いやり取りもそこそこに俺はレイチェルにそのまま連れ出される。

 義手は外したままなのでこちらは隻腕、レイチェルはつなぎ姿のままだったがそれを気にするような雰囲気でもなかった。

 残された生身の腕——左手をいつの間にか引かれていく。少し先を歩くレイチェルの顔はこちらからは見えない。


 暫くは二人して無言で街中を進んでいたが、ふとした拍子にぽつぽつとレイチェルが口を開き始めた。


「ボクはさ、君のことを情けない奴だとか駄目な奴だとは思わないよ。だって今まで頑張りすぎていただろう? だからさ、そう気に病むなよ」


 街中の雑踏をずいずいと進んでいく。白亜の建物たちは月明かりに照らされていつか来たときのように美しく輝いていた。

 あの時もこうして二人して、街中で話をした気がする。


「白の愚者を倒してからしか知らないけれど、君はもう神話の世界の人間だよ。緑の愚者を命がけで倒してくれたときなんか、本当に夢みたいだった。炎の巨人だって殺して見せたし、黒の愚者をあそこまで追い詰めた。人類最強だって一度は真っ二つにしたんだろう? だとしたらお前はもう人類最強だ」


 レイチェルは振り返らない。彼女のこちらの左手を握りしめる力が少しずつ増していっているのはたぶん幻ではなく現実だ。


「君には怒られるかも知れないけれど、今回のことはある意味で必要な経験だったと思っている。何故ならボクたちが君も普通の人だと知れたから。娘のことを心配して苦悩するただの人だと知れたから。これまでが余りにも強すぎたし、それに慢心してそのままサルエレムに向かっていたら取り返しのつかないもっと大きな敗北を味わっていたかも」

 

 不意に振り返った彼女の双眸が濡れているように見えたのも見間違えなどではないだろう。

 理由はわからない。けれども彼女もまた、何かしらに悩み、何とかしようとしてくれている。俺は自然とそんなレイチェルの瞳をじっと見ていた。

 いつの間にか互いの足が止まり、雑踏の中向かい合っている。


「ヘルドマンを絶対に助けよう。そしてボクたち全員、誰一人欠けることなくここにまた戻ってこよう。クリスだって何か事情があるのかも知れない。適うならば彼女だって連れて帰ろう。あんな別れだったけれど、彼女から受けた恩は嘘じゃないはずだ」


 心の何処かでどうしたものか、と思っていたクリスのことまでレイチェルは口にしてくれていた。本当に頭が上がらない。

 俺が思いを口に出来ない分、彼女が様々な事を代弁してくれている。


「君が心折れてまだ歩み出せないとしてもボクとイルミがその手を引いてみせるからさ。だからもう少しだけ旅を続けようよ。君が自分を責めなければ気が済まないのなら、その分ボクたちが君を赦し続ける。——だって」


 レイチェルがこちらに近づく。彼女は静かにその額を俺のそれにくっつけた。


「こんなにも愛しているんだから」


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