【GL】彼女と彼女
【 まえがき 】
■E★エブリスタからの再掲です
内容はないようなあるような感じ
2013/2/27
「――はい」
「ありがとう」
缶のポタージュを渡され、彼女はフェンスに背中を預けた。渡した彼女は隣に座る。
昼休みの屋上には二人だけ。なぜならここは立ち入り禁止になっているから。それを掻い潜るのは物好きしかいないだろう。
立ち入り禁止といっても、ただの名目上であるが。落下防止で備えられたフェンスは壊れていないし、鍵も閉められていないのだ。だから、入るのは簡単だった。
「はー美味しい」
「ねー」
日の光が降り注ぐ寒空の下の温かい飲み物は格別だと思う。じんわりと広がる温かさはこの時にしか味わえない。
「ねぇ、」
「んー?」
「眠いでしょ?」
くすりと笑う彼女に彼女は小さく頷いた。
「溢れそうだよ、それ。貸してみ」
伸ばされた腕にある缶のポタージュを地面に置いてから、自分のそれも隣に置く。
「はい、肩貸してあげる」
彼女の顔をそっと躯に預けて、彼女は頭を撫でた。柔らかい茶色の髪の触り心地はいい。
「おやすみ」
「んー、おやすみなさい」
それからすぐに彼女は寝てしまった。ご飯を食べたら眠くなるのは道理だが、何時もこれじゃあ少し心配になる。しかし、昼寝に付き合うのは嫌いじゃないので、そこは役得かもしれない。
彼女は幼馴染みであり、少しドジで、でもそこが可愛いと思うのだ。返して彼女は彼女の幼馴染みで、小さい頃から彼女の面倒をみてきた。――といえば聞こえがいいかもしれないが、彼女に面倒をみられていることもあるのでケースバイケースだろう。
小さな彼女に大きな彼女。身長差は十センチ。そしてお隣さんの関係。
時間は過ぎて、五限目開始五分前。
「――二人とも起きなさい!」
「ひゃいっ!」
「んー……ふぁーい……」
彼女達は何時ものようにクラス委員長に起こされました。
end.
2010/11/8
【 あとがき 】
最後までお付き合いありがとうございました。
◆ 執筆時期 ◆
執筆開始 - 終了 : 2010/11/8