星少女と俺の平凡生活の崩壊
神様に抗うようなことをしたことがないはずの俺に何故天罰がくだったのかは言うまでもない。
神様の気まぐれに俺はたまたま当たってしまったに過ぎないんだと自分に言い聞かせて、目の前にいる美少女をどうしたらいいのか頭を悩ませる。
「というか、なんで星のヘアピンが無くなっただけで朝が来なくなるんだ」
内心半分以上この美少女に騙されているんだと冗談半分に聞いたことは、謝る。
とりあえず巻き込まれる前に立ち去りたい。
「は?いいから探しなさいよ、本当に呪うわよ?」
呪われるのは流石に嫌だが、これ以上関わりをもってはいけないと思い、その場からダッシュで立ち去った俺がいた。
──なんて男らしくない。
×
ヘンテコな星少女から逃げ切った俺は近くのスーパーの前まで来ていた。
まだ夕食を食べていないため、適当に弁当でもかって済ませることにした。
あんなことがあったあとでまともに料理するやつはいるだろうか。見てみたい。
「(本当に最悪だ)」
と、いまにも口に出しそうな勢いで心の内で自分に語りかける。
本当に変なやつだったと今考えるだけでも疲れが込み上げてくる。
「ねえ、このチョコタコってなに?」
「ぁあ、それか。たこ焼きにソースじゃなくてチョコをたっぷり…」
誰と話しているんだ俺、話しかけられた方をぎろりと見る。
眼鏡をかけているが、眼鏡越しの俺の目は怖いと思う。
「なんでいるんだ」
「だから言ったでしょ?呪うって」
俺が持っているカゴにチョコタコを入れる星少女、何を勝手にいれてるのかは知らないが聞いたらめんどくさそうだからやめた。
そのまま、弁当と飲み物を買ってレジを済ませる。
スーパーをでると同時に、俺はチョコタコを袋から取り出し、星少女に渡す。
「まぁ、これを買ってくれたから教えてあげる。星のヘアピンのこと」
星少女は空を見上げながら語りはじめる
『─星のヘアピンとは、夜から朝に変えるために必要なもの。もう1つ太陽の指輪と言うのもあるが、所有している者と星少女はなかがよくないため滅多に顔をあわせない。星のヘアピンは所有者と共に備わってなければ発動しないため、持っていないと地球が夜のままになる』
語りながらも、モゴモゴとチョコタコを食っているのが五月蝿い。
星少女は口の回りをチョコまみれにしながら俺に言った。
「あそこで変な着地をしなきゃ地球は無事朝きたのに。あんたのせいでもある」
「俺のせいかよ!そのチョコのついた口でよく言えるな」
ポケットからティッシュをとりだしガシガシと口を拭いてやる。
拭いてやってる俺の腕まで食べ物と間違い、噛みついている、馬鹿にも程がある。
「とりあえず、時間が立てばわかる」
チョコタコを食べ終わった星少女はそう呟くと風のように消えていった。
「なんなんだあいつ…」
俺はいなくなった星少女を気にもせず、家に帰った。
×
夕食を食べながら独り暮らしの小さな部屋のなかで考える。
星少女のこと、朝が二度と来なくなること。確かに意味がわからない。
あんなヘアピンのために朝が来なくなると言うのは漫画の話じゃないのか、と正直思っている。
でも空から降ってきた星少女の説明はうまくいかないが超能力ということにした。
頭を使って考えいるうちに、目蓋が下がってきて寝てしまった。
×
時は朝7時。
一回伸びをして、のそのそとベッドからでる。
昨日、星少女に言われた事が気にかかり、窓を開けてみることにした。
シャッと勢いよく開けた目の前に広がっていたのは
「よ……?…る」
目の前にはまだ街灯がついている夜の世界があった。
頭の中に走馬灯としてかけぬける星少女の言葉。
考えていたら脳内に誰かの声が届いた。
『だから言ったでしょ?一緒に探して』
この声はしつこい星少女だ。
今日は普通に学校へ行って、家に帰ってくるという平凡な生活をしようと考えていた俺にとってはなんとも言えない屈辱だった。
星少女のおかげで今日も平凡生活が崩れていくのであった。
『星少女と俺 2話完結』