出逢いは突然に
寒い日に星が綺麗に見えると言うのは生まれてこの方、今初めて信じた。
空は黒と青が混じったグラデーションで、誰しもが足を止めて空を見上げるだろう。
昨日雪が降ったために回りは一面雪に覆われていて見ているだけでも身体に寒さが伝わってくる。
息を小さくはいてみると口からは白い煙。
流石に凍え死にそうだったために、止めていた足を踏み出した。
踏み出したと思った瞬間空から強い風が俺のもとに吹き荒れた。
「っうわ」
首に巻いていたマフラーが飛びそうになったのを押さえて、また首に巻き付ける。
「危ない、これマフラーこれしかないんだ」
と、一人で呟いた。
呟いて、空に文句を言ってやろうと上を向いた瞬間のことであった。
空から何かが降ってくる、俺のいる位置向かってあり得ないくらいの速度で落ちてくる。
気づいて目を見開いた時にはもう既に遅かった。
×
降ってきた異様な物体を避けることが出来なかった俺はなすがままに物体の下敷きになった。
落ちて来たものはどうせ隕石か宇宙のゴミ程度だと思って、自分上からよけた。
「…ん?」
感触があった。確かに硬い、臭いと言うのは感触に含まれるのだろうが、俺が触れたものには隕石の冷たさ出はなく、人間の温かさであった。
自分の上から急いで引きずり下ろして温かい物体を 確認する。
隕石には顔があった、実質隕石ではない。人間の顔は、女だった。
長い金髪に、綺麗な白い肌髪には星のヘアピンをつけている。
まさに人目見れば美少女と誰もが言うだろう。
「なんだ…この女」
美少女の頬に触れて起こしてやろうと思い、手を伸ばした直後。
美少女のつけていた星のヘアピンが急に光だした。
「まぶしいっ…」
手で目を隠すと、辺りが当然のように真っ暗だった。
光が消えたかどうかはわからないが、とりあえず目を開けてみる。
ゆっくりと目を開けると、さっきまで美少女の髪についていた星のヘアピンが消えていた。た
「あれ…どこいったあのヘアピン」
少女の髪を掻き分けて、探してみたものの、どうやら光と同時に消えてしまったようだ。
「ん…」
掻き分ける手を止めた。視線を彼女の瞳へと移すとそこには綺麗な海を写した青の瞳が俺をじーっと観察てしている。
「うわっ…起きてんのかよ」
俺が美少女の前で手を振ると、美少女は俺を叩き落とした。
「触んないで、地求人の癖に」
ふいっと顔を俺の目から話した美少女は、何やらご機嫌がよろしくないようだ。
はぁ、とため息をついた俺をにらみつけて強い口調で問いかける。
「あんた、ピンに触ったの?」
「触ったっつうか、光って消えた」
俺が慌てて答えると美少女は静かな声で言う。
「あれは、私がつけていないと朝が来なくなるの」
立ち上がりながら美少女は俺を見ないでスカートをはらいながら話す。
人と話すときは、目を見て話せと言われなかったのかと俺は少し不貞腐れてみた。
「あんた、ピン探しなさいよね」
「は?」
「探さかったら…呪ってやる」
神様、仏様。なにか俺は悪名高いことをしたでしょうか?
このときから俺の平凡人生は終わりを告げた。
『星少女と俺 1話完結』