⑥ 真田雪子
今日も雪子は、冬物のセーラー服を来ている。
彼女曰く、それが最も動き易い戦闘服であるらしい。
「あ、ああ、雪子さんか。どうしてこんな所に?奇遇ですねえ。」
サン・ジェルマンは、やっとの事で、それだけのセリフを言ったのだった。
「知らなかったの?アナタはストーカーの元祖かも知れないけど、私はアナタのストーカーなのよ?そして、この昭和の時間軸も、今や私の庭のようなモノなのよ。」
彼女は、冗談めかした笑顔でそんな事を言うが、恐らくソレは事実であろう。まあ、今回の場合は、完成したてのテレビ塔を、ふと見たくなった、というのが、真相だったのだが…。
「さあ、あんなの、ちゃっちゃと、片付けてしまいましょう?大暴れしても、どうせ電磁防壁の内側の人たちには、見えてないんでしょ?」
「済みません。お手数かけます。助かりますよ。」
雪子はただちに黒雲を呼び寄せ、次々に落雷を炸裂させた。敵機がドンドン落ち込行く。
サン・ジェルマンは、それらが地上に落ちる寸前に、亜空間に抜ける穴を開けて、何処かに飛ばしてしまう。ソレは見事な証拠隠滅の手法だった。
しかし、順調に敵の数を減らしていた、正にその時、サン・ジェルマンの背後から、ふいに現れて、襲いかかったアラハバキが居た。即座に雪子が排除したので、実害は無かったが、危ないところだった。
「アナタも私と同じね。集中すると、後ろがお留守になる…そんなアナタには!」
雪子が言い終る前に、彼女の背後にも、ナイフを持った敵が現れた。
しかし、彼女の背後を護るデバイスが発動し、攻撃を防いだ。
「…今私が使ってる、こんなデバイスの装備がオススメよ。」
「イイですね。そうさせてもらいます。」
「これは360°全天球型バリア。例え、地面の下から攻撃されても、大丈夫。前回の反省から、装備してるの。あの時は、雪村に迷惑かけちゃったからね。戻ったら、杉浦鷹志君に頼んでみて。彼の作品なのよ、コレ。」
「彼も天才ですからねえ。まったく、心強いモノですよ。」
そんな雑談をしている内に、二人でいつの間にか、全ての敵を排除してしまっていた。
「お疲れ様。これからも、油断しちゃダメよ?私のサン・ジェルマン。」
「ありがとうございました。おかげで思ったより早く済みました。」
彼は電磁防壁を解除した。
この時空の自分が、無事に、テレビ塔に入って行くのが見えた。
「良かったわね。じゃあまた、元の時空でね?」
雪子はそう言うと、さっさと消えてしまった。
まったく、彼も、頼もしいストーカーに恵まれたものだ。




