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「サン・ジェルマン並行宇宙を行く」(セーラー服と雪女 第22巻)  作者: サナダムシオ


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3/11

③ 雪女の回答

「そもそも私たちは、そのエネルギーの取り方で、不老不死のカラダを保ち、並行世界を旅する能力を維持して来たの。」

「…なるほど。」


「だけど、ある時期から、ニンゲンと共に暮らしたい、と希望する者が現れて…。」

「ああ、確か北関東の方で、ニンゲンとの間に、10人も子どもを作ったという…。」


「そうよ。良く知っているわね?」

「ええ、まあ、妻に関連する事ですから、私も少しばかり、研究してまして…。」


「…まあ、そういう訳で、ニンゲンと暮らすうちに、ニンゲンと同じモノを食べ、徐々にニンゲン化して行く者たちが現れて…。」


「…その子孫が、すっかりニンゲン化した私の妻、という訳なんですね?」

「その通りよ。」


「ご回答、ありがとうございます。では、もう一つ。」

「次は何かしら?」

「大熊猫…つまり、ジャイアントパンダの件なんですが…。」

「えっ…?」


「…似てますよね?貴女方と。」

「何ですって?」


「明らかにクマの姿、肉食に適した牙と、胃腸などの消化器系の作り…なのに"笹と竹が主食"という矛盾。それにあの、まるでゴリラのように発達した筋肉の、強靭な前足と、掌の構造。何もかもが、チグハグな感じだ。」

「…。」


「ひょっとして…雪女と大熊猫の間には、何かしらの関わりが…?」

「アナタ、ここに居るのが雪女ばかりで、雪男が一人も居ないという事には、気づいてるかしら?」

「…えっ、ああ、確かに。」


「そして、アナタたちの掌の、小指の外側に当たる位置に、ワタシたちはもう一つの指が有る…片手に合計6本の指が。」

 彼女はそう言いながら、右の掌を、顔の前に出して見せた。


「あっ!」

「つまり、そういう事よ。」

「はっ?」


「雪男の成れの果てが、大熊猫なのよ。」

「ええっ!?」


「彼等も初めは、他の生物から生体エネルギーを奪っていたわ。でもやがて肉食になり、それも辞めて、雪の中で、竹や笹ばかり食べ始めた結果、あんな"クマもど き"の姿にまで、退化をしてしまう事に…そのせいで、並行世界を旅するチカラも、今ではすっかり失ってしまったわ。」

「そんなことが…?」


「もちろん、今でも肉食を続けている者も、数少ないけど存在しているわ。彼等は、ニンゲンたちから、イエティとか、サスカッチとか呼ばれ、恐れられている…今やすっかり希少種の野獣ね。」

「おお、なるほど。そうでしたか。どおりで…。」


 サン・ジェルマンは、日頃の疑問が、イロイロと解消したようだった。

「いやあ、ありがとうございます。おかげ様で、大変勉強になりました。」


「なんの、なんの。我が末裔のパートナーの頼みだからね…特別に協力してあげたわ。それで、今後も村田京子の事を、大切にしてくれますよね?」


「ええ、それはもちろんですとも…あの、そろそろ私、お暇してもよろしいでしょうか?」

「ああ、いいとも。ただし、この場所の事は、くれぐれも口外しないように頼む。」


「了解しました。それでは皆様、お元気で!」

 そう言うとサン・ジェルマンは、そそくさとビートルの運転席に戻り、出発地点に戻るスイッチを押したのである。

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