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「サン・ジェルマン並行宇宙を行く」(セーラー服と雪女 第22巻)  作者: サナダムシオ


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⑱ 正和の世界線

 次の瞬間、伯爵の黒いビートル、犬王のアダムスキー型UFO、そしてネッシーは、別の世界線のネス湖上空に現れた。


 そのままゆっくりと、トラクタービームで彼女を水面に戻す。

 すると、周りに水飛沫が起きて、ナニかが集まって来るのが見えた。


 ネッシーの仲間たちだ。

「あんなにたくさん…素敵。良かった。もう、寂しくないわね。」

 由理子が呟いた。


 ココは、同じネス湖でも"正和"の時間軸。

 環境の整った、言わばネッシーの天国なのだ。


「アヌビス君、ありがとう!」

 由理子は犬王に、心からの感謝の気持ちを述べた。

「なんの。お安い御用だよ。」

 彼は照れながら、そう言った。


「じゃあ私は元の時空に戻って、物体転送装置を回収して来ます。由理子さんは預けるので、二人でデートでもして下さい。」


 サンジェルマンがそう言うと、由理子も頷いて見せた。そして彼女は、助手席のドアを開けると、犬王の円盤に、ヒラリと飛び移った。


 犬王はもう、尻尾ブンブンだった。

「伯爵め。アジな真似をしよるわ。」

 でも、セリフだけは尊大だった。


 その後、一人と一匹が、どんなデートを楽しんだのかは、敢えてココには描写しないでおこう。


 とにかく由理子は、犬王に、感謝の気持ちを表したくて仕方がなかった、という事だけは、ここに付け加えておきたい…つまりはウィン・ウィンなのである。


 さてサン・ジェルマンは、無事に元の時間軸に戻って来た。そして、せっせと4機の物体転送装置を、回収したのである。


 これらは何を隠そう、客人扱いの、テスラの助言を得て完成させた、優れモノなのである。ソレを使い捨てになど、出来る筈もなかった。


 そう言えばテスラは、つい先日、同じようなモノを、雪子のリクエストで、製作するのを手伝ったと言っていた。


 多分、天草四郎の現場で使用した、例のアレの事だなと、伯爵には見当がついた。(第21巻 参照)

 しかし、コッチの装置の方が、レベルが一つ上なのである。何しろ、並行宇宙を超えるのだから…。


 やがてサン・ジェルマンは、一足先に、テレビ塔の亜空間レストランに、無事に戻って来た。彼はコーヒーでも沸かして、一息つこうと思っていたのだが…そこには、村田京子が来て待ち構えていた。

 彼女は今日も、トレードマークの黄色いワンピースを着ている。


「お仕事でお疲れのところ悪いんだけど、ワタシも新車デートに誘っていただけないかしら?」

 もちろん伯爵には、断るという選択肢は無かったのである。

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