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「サン・ジェルマン並行宇宙を行く」(セーラー服と雪女 第22巻)  作者: サナダムシオ


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⑯ 救出許可

「…まあ、だから、これからナニをするべきかは、分かっているのです。」

 サン・ジェルマンは言う。


「どうするの?」

「彼女を、もっと良い環境の場所に、引っ越しさせるんですよ。」

「…なんでオンナの子だって知っているの?」


「ああ、これはまた、口が滑りました。実は私、個人的な興味から、以前、ネッシーについては調査済みなんですよ。」


「それじゃあ…。」

「でも、以前より確かに環境が悪くなってますね。水が随分澱んでいる。恐らくこれまで地下で繋がっていた、海や川との水路が、塞がってしまったのでしょうね。」


「…まず、どうしたら良いのか、教えて!」

「由理子さんに、まず頼みたい事は…。」

「なに、なに?何でもするわ。」


「猫王子…いや、犬王を呼び出して下さい。」

「アヌビス君を…どうして?」

「彼の許可が必要なのです。」


「…?」

「一つの命を、別の世界線に移動させる許可をね?」

「よく分からないけど、取り敢えず呼ぶわ。」

 由理子は、左腕のリングのスイッチを押した。


 次の瞬間、目の前の空に、銀色のアダムスキー型UFOが現れた。間違い無い。犬王の船だ。

 取り敢えず光学迷彩を掛けて、湖畔に降りてもらい、伯爵もビートルを同様にして、隣に着陸した。


「おお、由理子!元気だったかい?おや、泣いていたのか?」

 船から出て来るなり、尻尾をブンブン振りながら、話しかけてくるアヌビス。


「うん、大丈夫。アヌビス君は元気そうね?」

「あの〜、大変申し訳無いのですが…。」

 済まなさそうに、伯爵が、二人の再会話に割って入る。


「なんじゃ、サン・ジェルマンではないか?」

 少し不機嫌になる犬王。

「私の用事で、お呼びだてしてしまって、済みません。」


「何の用じゃ?せっかく由理子と二人切りじゃと思ったのに…。」

「実は早速、例の装置の使用を許可していただきたくて…。」


「まさか今から、他の世界線に行くのか?」

「いや、或る生物を、他の世界線に送りたいのです。」

「なんじゃと!?そんなバカな事を許せるはず…。」


「…ワタシからも、お願い。可哀想な子を救いたいの。」

「由理子お〜。オマエまで何を言って…。」

「お願い。」


 仔犬のような眼で犬王を見つめる由理子。 

「…うん、いいだろう、許す。」

 アヌビスはあっさり折れた。


 ソレを見ていたサン・ジェルマンは、不覚にも笑ってしまった。

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