⑩ 出迎えはヤツラ
間もなく、正面から近づいて来る、集団の飛行物体が有った。それは飛行機型と空飛ぶバイク型。
またまた爬虫類族の征服者たち…アラハバキだ!
アメリカ海軍が、イキナリ一斉射撃をする。
おー、おー、先制攻撃か。勇ましいな。でも通常兵器の攻撃は、恐らく無駄だな。そんな感想を持ちながら、サン・ジェルマンは、少し離れてその様子を眺めた。
案の定、全ての物理的な攻撃は、ヤツラの電磁防壁の前では無力だった。6機の雷撃機は成すすべも無く、トラクタービームで捕まり、赤い森の奥深くへ連れ去られてしまったのである。
最初の事件の確認は終了した。コレを防ぐ事は、歴史改変になるので許されない。
例え捕まった彼等が、アラハバキの奴隷にされる事が、分かっていたとしてもだ。彼はリセットボタンを押して、ひとまずこの場から撤退した。
次は記録上、"魔の三角地帯"最後の事件現場だ。
並行宇宙No.xxxxxx
西暦2020年12月28日
時刻15時00分
北緯25度00分
西経70度00分
サン・ジェルマンは、以上の座標を入力すると、次の時空へ、黒いビートルを跳ばした。
現場に到着すると、眼下の海上には、マコ社製の大型フィッシングボートが航行していた。あれがバハマのビミニ発で、フロリダのレイクワースビーチ行きの便だ。確か20名程が乗っているはずだった。
やがて海上に黒い穴が出現し、船はそこへ吸い込まれて行った。もう二度とコチラには帰って来ない。それが史実である。
サン・ジェルマンは、ビートルとって置きの装備、空対海中ミサイルを使う事にした。
狙うは海中深くにある、クリスタルピラミッドだ。
それこそが、アラハバキが設置した、ポータル制御装置だった。
彼は、レーダーで狙いを定めると、迷わずソレを撃ち込んだ。海中深くまで到達したソレを、電磁防壁が阻む。だが、そんな事は織り込み済みだ。ただちに電磁波で防壁を相殺し、突破。目標まで到達し、爆発した。
かくして、コレ以降、この海域での船舶・航空機の失踪事件は、無くなったのである。
このような暴力的な振る舞いは、本来の彼の主義に反するのだが、これ以上のアラハバキによる、ニンゲン世界の蹂躙を防ぐため、仕方がなかったのである。
「これでまた、私がアラハバキに狙われるポイントが、加算された訳ですね。」
伯爵はそんな独り言を呟いて、ニヤリと笑った。
「さあ、取り敢えず戻って、一息入れますか。」
そして彼は、コンソールパネルのリセットボタンを押し、一路、名護屋テレビ塔の、地下駐車場を目指したのである。




