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水仙と椿  作者: 桜葉奈義


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3/9

03

翌日、祖父母との晩餐の日。

妃月はピンクの着物。両親もそれぞれに着物を着て祖父母たちを迎えた。

「いらっしゃいませ。お爺様、お婆様」

「うむ」

「妃月、久しぶりですね」

ニッコリと笑うと祖母はニッコリと返し、祖父は機嫌がいいのか悪いのかわからない顔をしていた。妃月は祖父母が大の苦手であった。

祖父は威厳のある人でめったに笑わないので子供の時から怖いと思っていた。

祖母は普段は優しいが祖父同様に厳しい面がある。現在は別邸で隠居しているものの、当主である妃月の父親よりも権力が強い。

父の意見より祖父の意見がより優先される。

隠居したなら口を出さないでほしいものだと常々思っている。


「椿も元気そうでよかったわ」

「……はい。素敵なお着物ありがとうございます。似合っていますでしょうか?」

「ええ、とっても優美な貴女にピッタリだわ。ねぇ、お爺さん」

「ああ」

祖父は妃月の時とは打って変わって優しく微笑んだ。


「さすがはどこの馬とも知れぬ女の子供。取り入るのは泥棒並みに上手いことですわね……」

母親は小声で呟く。

妃月が椿を気に入らない理由のひとつ。

それは祖父母が椿を可愛がっていること。

妃月ではなく椿を。


少し前に汐倉家と親戚を巻き込んだ大騒動があった。内容は妃月と椿のどちらを次期当主にするかと、揉めた。

両親や親戚はなんの迷いもなく満場一致で妃月を推したのだが、祖父母は妃月ではなく椿を推した。

祖父の意見には逆らえないのだが、さすがに両親や親戚が説得し、妃月が次期当主に決まった。


妃月としては完璧な自分と地味でどんくさい椿を選ぶ祖父母の神経がわからない。

推した理由が「控えめながらも申し分のない美しさと一族をまとめるに相応しい魅力を持っている」からだという。

しかも最終的には折れたものの渋々だったそう。


食事が始まった。椿も妃月の隣に同席させ、普段は喋ることを許さないが人前では許している。

祖父母は両親と妃月にも目もくれず椿ばかりと話す。

椿も祖父母のことが大好きなようで笑ったりと、楽しそうだ。

(本当にムカつく……)


「ところで父さん、今日はどうしたんですか?食事会をする時は一ヶ月前に予定を決めるじゃないですか。昨日、突然に明日来ると連絡が来た時にはびっくりしましたよ」

父親がイライラした妃月と母親に察して、申し訳なさそうに口を挟んだ。父親もまた祖父が苦手なのだ。

「ああ、そうだったな。今日は椿と妃月に話があって来たんだ」

祖父は優しい表情からキリッとした真剣な眼差に変わった。


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