1-1. 契約という形式
魔法少女システムは、「契約」という形式から始まる。
これは物語上の演出ではなく、システム上の必須工程である。
魔法少女化は偶発的な現象ではなく、明確な手続きを経て成立する。
作中で確認できる事実は単純だ。
魔法少女は、キュゥべえとの契約によってのみ誕生する。
契約を経ない魔法少女は存在しない。
この契約は、二つの目的を同時に満たす構造になっている。
一つは、エネルギー供給源の確保。
もう一つは、エネルギー回収者の生成である。
魔法少女は、魔法を行使する主体であると同時に、
システムにエネルギーを供給する候補でもある。
契約は、この二つを一度に成立させるための手段だ。
重要なのは、
契約の結果として魔法少女が得るのは、
「一度きりの奇跡」ではないという点である。
契約によって与えられるのは、
願いを叶える能力そのものだ。
能力は一度発動して終わるものではなく、
契約が有効である限り、持続的に保持される。
また、契約内容は対象者の希望を基準に成立する。
キュゥべえは条件交渉を行わない。
提示されるのは、契約を結ぶか否かの選択だけだ。
この形式から分かることは明確である。
魔法少女システムは、対象者の意思を前提に設計されている。
契約は単なる同意ではない。
魔法少女という存在形式へ移行するための、
不可逆な初期化処理なのである。




