8-7 本章の整理
本章では、
鹿目まどかに生じた神化現象を、
人格的変質や象徴的昇華としてではなく、
魔法少女システムにおける
構造的な処理結果として整理した。
第6章および第7章で示した通り、
魔法少女システムは、
世界状態の変化および再配置を前提とすることで
内部処理を成立させている。
しかし、
鹿目まどかの願いは、
特定の世界状態を変更するものではなく、
状態遷移そのものを否定する性質を含んでいた。
この時点で、
能力拡張および再配置といった
既存の内部処理は成立条件を失う。
その結果として選択されたのが、
内部で保持できない状態を
外部へ配置するという処理である。
この外部化により、
鹿目まどかは
世界状態の一要素ではなく、
世界状態を成立させる条件側へと移行した。
本章で再定義した神化現象とは、
能力の極大化や概念化を意味するものではない。
それは、
内部処理不能状態に対する
回避的な遷移であり、
構造上の位置変更として理解されるべきものである。
この整理により、
神化は物語の終点ではなく、
魔法少女システムと世界構造の関係が
新たな段階へ移行した結果として位置づけられる。
次章では、
この外部化された存在を
再びシステム内部に取り込もうとする試みが、
いかなる矛盾を生むのかを解析する。
【あとがき補足:8-7について】
8-7では、第8章全体で行ってきた整理をまとめている。
本章で扱った鹿目まどかの神化は、
人格の変化や象徴的な昇華として説明されるものではない。
また、能力が極端に強くなった結果として
位置づけられるものでもない。
第6章・第7章で整理した通り、
魔法少女システムは、
世界の状態が変化し、その変化を前提として
内部の説明が成立する構造を持っている。
個々の出来事や人物は、
その枠組みの中で扱われてきた。
しかし、鹿目まどかの願いは、
特定の出来事や状態を修正するものではなく、
魔女化が起きるという前提そのものを
世界の成り立ちから外す内容であった。
その結果、
鹿目まどか自身は
世界の中の一要素として扱われる位置を離れ、
世界が成立する条件の側に置かれることになる。
本章で用いている「神化」という言葉は、
超越的な存在への変身を意味していない。
世界の中で説明される対象ではなくなり、
成立している状態そのものとして
扱われる位置へ移行したことを指している。
この整理によって、
神化は物語の終着点ではなく、
魔法少女システムと世界構造の関係が
別の段階に移った結果として位置づけられる。
第8章は、
鹿目まどかが「何者になったのか」を語る章ではない。
彼女が世界の中で説明される存在でなくなった、
という一点を確認するための章である。




