2-1. ソウルジェムとは何か
本章では、魔法少女システムの中核装置である
「ソウルジェム」について定義を行う。
ソウルジェムは、単なる魔力の貯蔵装置ではない。
作中描写から観測できる機能を整理すると、
ソウルジェムは以下の三要素を同時に担う複合装置である。
一つ目は、人格情報の格納である。
契約後、魔法少女の肉体は本体ではなくなり、
思考・記憶・人格といった個体情報は
すべてソウルジェム側に移行する。
これは、肉体が損傷しても活動が継続できること、
ソウルジェムが破壊された瞬間に即座に死亡すること、
肉体とソウルジェムが分離可能であることから確認できる。
二つ目は、制御システムとしての役割である。
魔法の発動、身体能力の強化、武装の生成と維持などは、
肉体側ではなくソウルジェム側で統括されている。
魔法少女が無意識下で魔法を使用できる点や、
意図せず魔力を消費してしまう点から、
ソウルジェムには半自動的な制御機構が存在すると考えられる。
三つ目は、エネルギー変換・蓄積装置としての機能である。
ソウルジェムは、外部から供給される
特定のエネルギーを蓄積し、魔法として放出する。
このエネルギーは作中ではしばしば
「穢れ」「濁り」と表現されるが、
それ自体はマイナスの概念ではなく、
システム上で定義された一種のエネルギーである。
重要なのは、
ソウルジェムは使えば濁るのではなく、
存在しているだけで濁っていく点である。
これは、魔法行使による消費が
濁りの進行を加速させる要因である一方、
通常の生活行動そのものも
エネルギー発生源になっていることを示唆する。
つまりソウルジェムは、
人格を保持しながら活動する限り、
必然的にエネルギーを蓄積し続ける装置であり、
完全に無消費の状態は存在しない。
この性質こそが、
後にグリーフシードという回収機構を
必須とする理由につながっていく。
本節の到達点は以下の通りである。
ソウルジェムとは、
人格情報・制御機構・エネルギー変換装置を
一体化した中核デバイスであり、
魔法少女とは「それを搭載した運用個体」である。
この定義を基盤として、
次節ではソウルジェムの濁りと限界、
および破綻時に何が起こるのかを扱う。




