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水兵蜂起!不穏な知らせ・・・

 水兵命令に従わず!環境改善を要求


新聞の見出しは宮廷内を不安に包むには十分過ぎた。政治家の間では様々な意見が出ているが……


「他の部隊を差し向けろ」


といった強行派


「一時的なものですぐ収まるだろ」


といった楽観派から寧ろこれを機に軍内部の膿を出し切ろうとする改革派など挙げればキリがない。だが政治に直接は関わらない魔術師にはどうでもいいと考えている者がほとんどだった。いや、魔術師に限らず大抵のものはそうだ。


「師匠、これどうなるんでしょう?」

「……考えるだけ無駄。出来ることがないからね」


キリもこの調子だ。だが無気力ならざるを得ないほどこの国は保守的で腐敗が激しい。帳簿の数字と実際の数が合った試しなどない。予算を得るために弟子の数を水増ししているなどざらだ。そんな有様でははじめは高い志を持っていたものもすぐに現実を見てあきらめ辞めてしまう。無駄に高い理想が無い者が長続きする場なのだ。


「ちなみにことの発端は……食事が腐ってた?それだけ?」


ヨハンナは新聞を驚きながら読んでいる。だが男は全く驚かない。


「食の恨みは怖いよ。特に娯楽が食事しかない軍だと……まずいな」

「そうなんですか?」

「ちょっとした事ですぐに喧嘩になったからな……」

「あれ?師匠は海の従軍経験ありましたっけ?」

「いや……無いな」

「また本の読みすぎで現実とごっちゃになってますね。確かに魔術戯作は五感全てを騙してくる潜在的現実ですが区別はつけてもらわないと」

「海軍関連は読んだ事ないのに。何とごっちゃになったんだろ?」


魔術戯作とは近頃著しい進化を遂げた絵本の様なものだ。読者諸君には最早現実との違いがわからないVRゴーグルを想像して頂ければありがたい。


そして男の表情は急に変わる。


「あれ?港に軍が行くなら帝都の戦力は空っぽ?」

「元々近衛師団以外は東に出払ってます」

「あそこの将軍は強いしまだ続くな」


今この国で起きている反乱は1つではない。少し前に帝国の東、僻地を担当する東部軍管区が自体権拡大を求めて内戦中……軍人が地方政治をしていたり帝国も直接統治のノウハウが無かったりとグダグダだが。


「開戦理由は暗殺失敗と聞いたが……」

「何してるんですか……」

「特設部隊が将軍を家ごと爆破したとか」

「それで失敗って逆に何を?」

「庭で寝てたらしい」

「流石にダサすぎます」

「こんなくだらない理由でいないから魔物退治の仕事がこちらに……最悪」


この世界には魔物がおり出現すると大抵は猟師が、手に負えないと軍が出向く。だがその軍は出払っている。今回の反乱で更にいなくなる。そうなると彼ら魔術師が駆り出される可能性は高かった。


「久々の戦いでしょうか?」

「なんで嬉しそうなの?」

「色々作ったものを試せるからですよ」


少女は恍惚とた笑みで呪文が刻まれた銃剣や術式の書かれたノートをちらつかせている。


「ほかにも作ってたのか……また指を吹き飛ばされるのは御免だ」

「同じ轍は二度も踏みませんよ。私が死ぬまで改良は止まりません!」

「時にはやめる選択も必要だ。昔窒息しかけたことは忘れてないぞ」


男は色々酷い思い出が蘇ったのか顔が引きつっている。いや、遡れば男はこれら試作品のせいで他にもひどい目にあっていた。敵を無力化する術式なるものを使われ窒息死寸前に陥ったのは序の口だ。


「あれは用量を間違えて猛獣にすら簡単に効くものでしたから……最新版ならたとえ満員の劇場で使っても誰一人死にません」

「そんなのを俺にも使ったのか……」

「風向きが急に変わった事故ですよ」

「その後真っ先に自分の解毒をしたのも覚えているぞ」

「二次災害を防ぐためにまず救助者の安全を確保するのが鉄則で……そもそも任務が生捕りなのが悪いです」

「あれは生捕りじゃない、半殺しか拷問だ」

「ちゃんと治したじゃないですか……」

「体は治っても精神が持たねえよ」

「精神……ですか」


少女は黙ってしまった。今まで物理的なことしか見ていなかったことに気がついたのか考え込んでいる。


「そこの二人、魔物の討伐命令だ」


男の上司が話しかける。予想が当たったのだ。


「アナトラ事務次官?直接来るとは何事?」

「二人ということは私にもでしょうか?」

「多発的に色々起きて人手が足りないんだ。回線は不通、直通電話も輻輳を起こしているから直接来た」

「場所は?」

「複数のアンデット出現との打電。おそらく北の例の森から湧いたのだろう。得意の炎魔術と……確か変な道具を作る娘だよね?それでどうにかしてほしい」


北の森。それは帝都から少し北の外れにある曰くつきの森だ。理由は不明ながら定期的に様々なゾンビが出てくるため周辺の村も皆寂れてしまった。


「わかりました」

「変な道具って酷いですよ」

「それ以上に上手く形容する言葉はない」


そういうと二人は準備をするため席を立つ。


「久々の実戦はアンデット……物理攻撃は効くのでしょうか?」

「あのあたりだとゾンビとかだろ?効くさ」

「なら一気に吹っ飛ばすやつを準備しますね」

「俺まで吹っ飛ばすなよ?」

「……大丈夫です」

「その間が怖いよ……」


二人は森を目指して出発した。

当初は名無しのキャラに名前がついたりと今後の展開は私にも分かりません。

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