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26 初代国王

「今日の主目的ってこの世界の情報あつめだよな? でも思ったんだがどこから仕入れるんだ?」

「ネット小説知識だがいくつか方法が有る。まずは図書館で集める方法でこれが一番手堅い方法だろうな。ただ図書館が有るのかが不明」

「王都や帝都って場所になら有りそうだけど、先輩たちの話だとここはどこぞの貴族の領地みたいだから期待は薄そうかな」

「だな。他には困ってる子どもを助けて教えてもらったりってのがあるが…」

「義務教育が無さそうな世界で学校的な所に通えない子どもに知識を期待できるか? 裕福な子どもなら知ってるかもだけど困ってる場面に遭遇ってあんまり無さそうだし」

「そうだよなぁ。それならまだ酒場で情報収集の方が可能性が有りそうだ」


 ネット小説知識を並べていったがことごとく大樹に反論されていった。フィクションの展開に期待はできそうにないな。


「なので俺たちに有るコネクションを使おうと思う。まぁ上手くいって知識が手に入っても望んでるものより実用的なものになりそうだが」

「ん? 俺たちに使えるコネって何か有ったっけ?」


 これだよ、とブラックボックスからGと記された一枚のカードを取り出して大樹に見せる。そうまずはお金のかからなさそうなギルドに何かないか訊いてみることにした。






 冒険者ギルドに戻るとヤムゴ草を納品して僅かばかりの代金を受け取る。そして対応してくれた受付嬢(マーガレットさんではない)に駄目元でお願いしてみる。


「自分たちは一昨日冒険者になったばかりの新人なんですけど知識が足りてないと思いまして…。それを得る良い方法って何かないですかね?」

「それでしたら冒険者たちに無料で資料室を解放してますのでそちらをご利用ください」


 今案内させますね、と受付嬢は他のギルドスタッフを呼ぶ。そしてその人が案内してくれた。


 資料室に案内してくれたスタッフさんは部屋の付いてる木製の窓を開けると「どうぞお使いください」と言って仕事に戻っていった。


 とりあえず棚を確認すると埃は無いので定期的に掃除されているのがうかがえる。並べられている本の背表紙には文字が無くぱっと見は何の本か判別がつかない。その中から一つ手に取り中を開くと植物の説明が書かれていた。挿し絵も有って分かりやすい。しかし探しているのはもっと別の本だ。


「植物に関する本か。そっちは何が載ってた?」


 大樹も一冊中身を確認してたので訊く。


「こっちはモンスターの図鑑だな」


 持ってた本を棚に戻し他の本の中身を確かめていく。目的の本じゃなかったと知る度にガッカリするが元々望みは薄い。残りの冊数も少なくなってほとんど諦めていたときに面白い本が見つかった。


 それはこの国の歴史が書かれている本で内容に目を走らせていくとすぐにある名前に目が止まった。


「我が友よ、ここを見ろ!」

「何々。『このルガミティア王国の今の在り方を作ったのは、勇者としてこの世界に召喚され、後に国を興して初代国王となった織田信長様の存在があることは間違いない』って織田信長この世界に来てたのかよ!?」


 テンションが爆上がりして島津豊久と那須与一の記録もないか探したが見つかることはなかった。






 一通り調べたらギルドのスタッフにお礼を言って建物から出る。収穫としてはエルフが存在することを知れたのと植物やモンスターに関する知識だ。エルフの集落の場所はわからなかったが存在が確認できただけでも良しとしよう。


 日はまだ落ちていないので宿屋にはまだ帰らない。ギルドを出るときに受付にマーガレットさんが居るのが見えたから市場の場所を聞いてそちらに寄る。そして色々と必要になりそうな物を購入していく。


 明日は血抜きした一角兎を解体して食べてみようと思ってるので塩も購入した。それと胡椒がないか探す。値段は塩と同じくらいだったので高くはないのだろうが現状を鑑みれば節約したいとこではあった。贅沢という文字が頭に浮かんだがこれからの事を考えれば肉の自給自足は経験しといた方が良いと思ったので購入を決めた。タンスの肥やしならぬストレージの肥やしにならないようにちゃんと使い切ろう。


「胡椒が安かったけど中世のヨーロッパでは高価だったって聞いたことがあるんだが。この世界の文明レベルって同じくらいだよな? この国か隣国とかで生産されてんのかな?」

「そうなのかもな。あと高価になった理由は肉の保存で大量に使ってたからってのもある。でもこの世界はスキルやあとはたぶん魔法が在るからそれらで保存してて、使うのは家庭の料理とかでそこまでの需要は無いのかもな」


 宿屋に着くと店主の親父さんから鍵と桶を借りて二階の部屋に戻る。大樹の部屋は向かいだ。宿屋の料金は5日分を先払い(割り引き有り)してあるので部屋は昨日と同じだ。


 窓を開けたときにノックがしたのでドアを開けると大樹が立っていた。ストレージで身体の汚れを取ってもらい自分と大樹が借りた桶にシールドを張る。その中に水と午前中に火を起こして焼いておいた石をブラックボックスから投入した。


「どうやらボックスの中は時間が止まってるみたいだな」


 大樹のストレージも同様で熱を持った石はジュっと一瞬(おと)を立てて水の温度を上げていく。そして湯気が室内の温度も上げていき一部は窓から外へ逃げていく。


 お互い自分の部屋に戻り買ったばかりの布をお湯に浸し身体を拭く。ストレージで身体の汚れは無いのだが昨日も同様に汚れを落としても気分がモヤモヤしたので今日は身体を拭くことにした。


 一通り身体を拭き終わると立ち上がる。火照った身体に窓から吹き込む風が当たり気持ち良い。気分も少しさっぱりした。


 ふと廊下の方を見ると大樹と目が合った。お互い廊下側のドアを開けっ放しで向かいの部屋だからだ。


 どちらからともなくドアの位置に立つ。イギリスの議会にあるソードラインのようにそこを越えることなく、しかし大樹との間に流れる空気は張り詰めている。これから起こることは言葉を交わさなくても互いに理解しているからだ。


 先に動くのは俺。先手必勝!


「サイドチェストォォォ!!」


 下半身は横に向けて上半身は前を向く。右手で左手首を掴み胸に力を入れる。細マッチョ以上に鍛えた我が胸筋を見よ!


 対する大樹は猫背のように背中を少し丸めヘソの辺りで両手で作った拳を合わせ腕で輪を作る。


「モスト・マスキュラァァァ!!」


 モスト・マスキュラーはポーズの総称なので決まった型はない。なので大樹は自分の筋肉を一番良く魅せられると思った今のポーズなのだろう。某オーガの如く背中に鬼のかおを作るために共に鍛えあった仲だから知ってたが俺よりも身長が高くその分ガタイも良いので分が悪いな。ならば───


「ひゃあっ」


 気配がしたのでそちらに顔を向けると小さな女の子がいた。たぶんまだ10才にもなっていないくらいの。てかこの宿屋の娘か。


 その子は目を手で被いながらも指を広げているのでめっちゃ俺たちを見ていた。そして耐えきれなくなったかのように体を翻して階段を下りていった。


「お父さーん、お兄ちゃんたちが裸を見せっこしてるーっ!」


 言い方よ。


 そして下から怒声が飛んでくる。


「部屋で如何わしいことしてんじゃねえぞ坊主ども!」


 してないです。てか親父さん、たぶんあなたの娘さん腐ってますよ?


 飯の時間なので呼びに来たのだろうと察しジャージを来て一階に下りた。



 次の日は二人して体調を崩した。

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