12話 フェンリルの休日③【フェン視点】
「ふわぁぁぁぁぁ♡ 良い匂い♪」
あれからユニちゃんを置いて、僕は一人で街を散策する事にしました。ここ貿易都市ロクサス、別名【水の都】と呼ばれる程、綺麗な街並みで隣国との国境線近くに位置する事もあり、珍しい物や色々な食材や魔道具等も流通しているのだ。
僕は現在、ロクサスの整備された石畳の道を歩きながらとある場所へと向かっています。そう、ロクサスの街と言えば......豊富な海の幸! ビーフジャーキーやお肉も勿論、沢山食べる予定だけど、今日は今巷で流行りの【おしゅし】と言う生の料理も食して見ようと思うの!
「ふふ〜ん♪」
「あらぁ〜フェンちゃんじゃないの♪ おはよ♪」
「あ、マーサさん! おはよぉ!」
僕に話し掛けて来てくれたのは、ジュース屋を営むマーサさんと言う肝っ玉の太いマダムです。この人は僕にジュースをくれたり、色々な事を教えてくれたりと何かと親切にして貰っています♪
「あ! フェンお姉ちゃんだ!」
「フェンちゃん!」
「尻尾モフモフさせてぇ!」
あらあら、困りましたね〜いつの間にか子供達に囲まれてしまったよ♪ ちょくちょく買い物をしに街には訪れて居るので、こうして街の皆さんとも交流をしたり、声を掛けて貰ったり世間話しをする事も僕の楽しみの1つだったりもします♪
「フェンちゃん、大人気だねぇ〜良かったらカシスソーダ飲むかい? 勿論、お代は要らないわよん♡」
「ふぇ!? マーサさん良いの?」
「いいさね♪ 私もフェンちゃんみたいに純粋で明るく可愛い女の子を見てると幸せな気持ちになれるさね♪」
「わーい♡ ありがとう!」
ふふっ......これで飲み物代は浮いたぞぉ♪ 今日は僕がお手伝いで得たお小遣い......ぜぇ〜んぶ使っちゃうもん♪
「ほら、あんた達も飲みな♪」
「わーい♪ おばさんありがとう!」
「ジュース♡」
マーサさん、子供達の分も無料にするとは......流石太っ腹だなぁ♪ 僕はこの街に来てから色々と考えが変わった気がする。義理人情、お互い助け合いながら日々の生活を営んでる人間達を見て、僕の心に大きな変化をもたらしてくれたんだ。マーサさんにも大切な事を色々と教えて頂いた。
「あ! フェンお姉ちゃんのパンツ。可愛いピンク色だぁ!」
「こらこら、スカートを捲ってパンツ見るのは紳士として駄目だよ? アルマくん」
この子たら......直ぐ僕のスカート捲って来るんだからぁ。しかも、大きくなったら僕と結婚したいと世迷言を言うんだから困ったものだよ。
「こら、アルマ! フェンお姉ちゃんに謝りなさい!」
「ううっ......ぐすん。ごめんなさい」
「まあまあ、マーサさん。僕は気にしてませんから」
僕はアルマ君の頭を優しく撫でてあげました。
「フェンちゃんたら......でも、気を付けないと駄目だよ? 最近若い女性を狙った誘拐事件も多いらしいからねぇ.....性犯罪も多いし、世の中物騒たらありゃしないよ。特にフェンちゃんみたいに可愛い女の子は特に狙われそうでおばさん心配だよぉ」
「大丈夫ですよ〜もう、大袈裟何ですからぁ」
「ふん、大丈夫! 俺がフェンお姉ちゃんを守るから!」
ほほう? 私を守るかぁ......こう見えて、僕の正体は氷神狼フェンリル何だけどなぁ。まさか、こんなショタのアルマ君に言われるとはねぇ〜
「ふふ......アルマ君にはまだ早いぞぉ〜つんつん♪」
「――――――!?」
「あれ、アルマ君何処行くの?」
アルマ君が、顔を真っ赤にして何処かへ行っちゃいました。子供扱いして欲しく無かったのかなぁ?
「ほら、新鮮なカシスパイン出来たわよ〜フェンちゃんもなるべく大通りを歩くようにしなさいね?」
「うん♪ ありがとう!」
そうして、僕はジュースを受け取りマーサさんに手を振ってその場を後にしました。
―――――――――
「へい! らっしゃい、らっしゃい!」
「今朝上がったばかりの魔晄イカ、安いよ安いよ! 晩御飯にオススメだよぉ!」
「寄ってらっしゃい! 見てらっしゃい!オークの極上ステーキ、今なら何と銀貨1枚で食べれちゃうぞ!!! ほっぺた落ちちゃうぞ〜?」
おぉ〜ここが噂に聞くグルメストリートかぁ! 凄い! 広大なロクサス湾が一面に広がっていて、海沿いには数多くの美味しそうな匂いを漂わせている屋台が沢山並んでる! じゅるり......お腹が空いてきたよ!
「おじさん! 魔晄イカの串焼き1つちょーだい!」
「あいよ! お、嬢ちゃん別嬪さんやないけぇ! もう1本サービスするから、銅貨10枚でどうや!?」
「良し! 買った!」
「毎度ありぃ〜♪ 熱いからなぁ、ちゃんと冷まして食うんやで?」
「うん! おじさんありがとう!」
さてと......ここからが本番だぁ♪ 今日はめちゃくちゃお腹が空いてるから、屋台のご飯全て制覇出来そうかも! 普段は食べ過ぎない様に抑えて居ますが、食べようと思えばいくらでも食べる事は可能!
「はむ......んんっ♡ おいひっ♪」
僕はそれから肉厚で旨味が沢山乗っている魔晄イカの串焼きを平らげた後に、様々な屋台をハシゴしながらリボルバーマグロのお刺身にステーキ、更には焼き魚に魚介てんこ盛りのシーフードパスタも食べました。そして、僕の手には今! 海鮮パスタと貝のソテーや串焼きが袋の中にビッシリと入ってるのだ♪
え? そんなに食べたら太らないかって......? 今日だけはチートデイなので問題無し! それに僕は太りにくい体質だからね♪
「ふふ〜ん♪ ん? あの子達どうしたのかな?」
建物の隙間から、小さい顔を覗かせて辺りをキョロキョロと見渡している2人の幼い姉妹が居ます。猫耳を生やして居ると言うことは、猫人族かな?
「............」
フェンは察してしまった。2人のボロボロの布切れを身に纏った姿を見て、スラム出身の貧困孤児なのだと......
(この街にも表と裏は存在するんだ。そうえばスラム街もあると主から聞いた事がある。もしかして、お腹が空いてるのかなぁ?)
僕は笑顔で、怖がらせないように2人の幼い姉妹にそっと近付いた。怖くないよ〜と2人の目線に視線を合わせる様にしゃがみ込む。
「お、お姉さん誰......!?」
「ごめんね、怖がらせるつもりは無いんだ。君達お腹空いてるの?」
「............!? す、空いてない!」
「えぇ〜本当にぃ?」
僕が2人の目の前にパスタや串焼きを出してチラつかせて見ると、2人は目をキラキラと輝かせながら涎を垂らしています。特に妹ちゃんの方は、まだアリスお嬢様と近い年齢くらいでしょうに......
「ぐすんっ......おねえちゃん、おなかすいたよぉ」
「ルシア! 食べたら駄目! 毒が盛られてるかもしれないでしょ!」
「ううっ......しょ、しょんなぁ。うわぁぁああああんんんん!!!」
「ちょっ.....ル、ルシア!?」
流石に僕も意地悪だったね。まだ2人とも育ち盛りの筈なのに、こんな痩せ細って......何だか想像するだけで、この子達の境遇が分かってしまい胸が締め付けられるかの様な切ない気持ちになる。
「僕に任せて」
僕はアリスお嬢様の面倒をずっと見て来ているからね。自分で言うのはあれだけど、子供の扱いには手慣れている。ルシアちゃんを抱っこして、まずは背中をさすって落ち着かせてあげよう。ポイントは優しく声を掛けながら背中もトントンとする事が大事なんだ。
「ルシアちゃん〜よしよし♪ 毒何か入ってないからねぇ〜ここにあるご飯好きなだけ食べて良いよぉ〜♪」
何だか口調が主みたいになって来てる気がする。だけど、効果はあったみたい。ルシアちゃんが少しずつだけど、泣き止んでくれたんだ♪
「ぐずっ......んぅ?」
「良い子良い子♪ 僕の名前はフェンって言うんだ♪ ほーら、僕の尻尾やお耳触ってごらん? 白くて毛並みも綺麗なモフモフだぞぉ〜?」
「もふもふさん! もふもふ♡」
どうしよう......こうして近くで見ると、この子めっちゃ可愛いんだけど!?




