表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/14

第5話 名聞き


ーー緑のギルドーー


 俺を見るや否や、嘲笑が響いた。


「お! ブーメランのガキじゃん! 生きて帰って来たのか!」

「どうせ、坊やのことだから、ゴブリンにでも遭遇して逃げ帰って来たんでしょうよ。うふふ」

「腰に差してるブーメランで最強伝説ですか……プププ!」


 はいはい。言ってろよ。


 俺はそんな奴らを無視して受け付けに行く。

 受付嬢は俺の帰還に安堵の表情を見せた。


「ああ、マワルさん無事帰って来たんですね! 良かったぁあ」


「まぁ、なんとかね」


「逃げ帰ってくることは恥ずかしいことじゃないですからね。生きてる方が重要なんですから」


「は?」


「トーナリ山の薬草採取は継続して挑戦していただければいいですよ」


 俺はカウンターにドシンとリュックを置いた。その隙間から薬草がはみ出る。


「薬草採って来たけど足らない?」


「は!? ええ??」


「採れるだけ採って来たからさ」


 ギルド内が騒つく。


「おい、あのブーメランのガキ。クエストを達成したっぽいぞ」

「え? あいつ単独だろ?? どうやって??」

「マジか? まさかブーメランで戦ったのか?」


 受付嬢は涙ぐむ。


「ゴブリンに遭わなかったんですね。マワルさんついてますよ」


「え? ああ、ゴブリンなら3匹と遭遇したけど?」


「ええ!? 3匹も!? さ、最悪じゃないですか!? 初心者の死亡率第一位がゴブリンとの戦闘なんですよ!」


「ああ、そうなんだ」


「ははは……。でも良かったですよ無事逃げることができて」


「いや、倒したけど?」


「ええーーッ!! た、たった1人で3匹のゴブリンを倒しちゃったんですかーー!?」



 その悲鳴でギルドは騒ぐ。


「おいおい、あのガキ。やりやがったぞ」

「初心者が1人でゴブリンを倒すなんて凄くないか?」

「守護武器のブーメランで倒したのか??」


 俺の横に男が立つ。

 その顔は静かに怒っているようだった。


「冒険者が守護武器以外でモンスターを倒すなんてな。運命神バーリトゥースへの裏切り。王都の恥だ」


 なんだコイツ?

 この立派な身なり。腰にぶら下げた剣。

 そういえばどこかで見た顔だな……。


「あんたどっかで会ったっけ?」


「私は剣士のケンゼランド。酒場で会っただろ」


「ああ! 同じ等級の!」


 俺の守護武器がブーメランと知るや、パーティーに入れる話を反故にしやがった奴だ。


「マワル。お前はとんだ恥知らずだな。守護武器以外でモンスターと戦った」


「は? 俺は守護武器で戦ったんだぞ?」


「嘘をつくな! どうせ、剣でも使ってゴブリンを倒したのだろう!?」


「なんでそんな嘘つく必要があんだよ! 俺はこのヴァンスレイブを使ってゴブリンを倒したんだ!」


「ヴァンス……。なんだそれは?」


「こいつの名前だよ。このブーメランが名乗ったんだ」


「な! おま! な、名前を聞いたのか!?」


 ギルドに戦慄が走る。

 数人が俺の周囲に集まってきた。


 なんだなんだ? 

 俺、何か変なこと言ったか??


 ケンゼランドは震える。


「ま、まさか……お前。【名聞なきき】ではないよな?」


「そんなの知るかよ。ただ、このブーメランが喋って、名前をヴァンスレイブだと言っただけだ」


 受付嬢はカウンターから身を乗り出した。


「それが【名聞き】なんです! 守護武器と会話ができる者! その者の守護武器は戦うほどに強くなる、最強の武器です!!」


 こいつが……? 

 そういえば、初めは頼りなかったけど、レベルが上がってスキルを覚えたら頼り甲斐が出て来たな。


 受付嬢の言葉に俺の周囲には人だかりができていた。

 ケンゼランドは高笑い。


「ハハハーーッ!! 嘘つきにもほどがあるぞマワル!! ブーメランの【名聞き】などありえんだろうがぁあ!!」


「だから嘘じゃないって。喋るんだからさ」


「おいおい、いい加減にしておけよ。この王都ハジマールの人口は100万人。そのほとんどが守護武器持ちだ。しかし、誰一人として【名聞なきき】ではない!! つまりは噂! あんなものは作り話にすぎんのだ!!」


「だーーかーーらーー。嘘じゃないって。本当に喋んだからさ。なぁ、ヴァンスレイブ」


『うむ。我は話すことができる。主は嘘つきではない』


「な! 喋るだろ?」



しぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。



 あれ? 

 みんなには聞こえてないのかな?


「んじゃあ、自己紹介してくれ」


『うむ。我の名はヴァンスレイブ。主の守護武器である!』



 静寂は続いた。


『主、すまない。どうやら我の声は主にしか聞こえないようだ』


 はいーー!?


「あ……。えーーと。こいつの声は俺にしか聞こえないみたい……」






   大   爆   笑。






「ぎゃはははーーーー!! ウケるぅうう!!」

「ここまで注目させてそれかよーーーー!!」

「だから、坊やはお笑い芸人になりなさいってーー!!」


 ケンゼランドは俺の肩をポンと叩いた。


「マワル。嘘はほどほどにな! ククク」


 そう言って胸のバッジを見せつけて去って行った。


 ……いや。嘘じゃないんだけどなぁ。

 それにしても、あいつのバッジ。Eのマークになってたな。

 今朝までは俺と同じFマークだったのに、昇級したのか……。


 受付嬢は微笑んだ。


「私は信じてますよ」


「あんがとな。んじゃあ。クエストクリアの手続きをしてくれ」


「はい」


 F級クエスト、【トーナリ山の薬草採集】クリア。

 クリア報酬は1万エーンになった。


 余った薬草は保存。それでも余った分は売却した。


「等級を上げるには昇級テストが必須なんだよな?」


「ええ、そうですね。でもテストを受けるには必要条件があるんです。マワルさんの場合。あと2回、クエスト達成が条件となりますね」


 よぉおし、あと2回ね!


 俺はギルドの掲示板に行き適当なクエストの張り紙を剥がした。


「ドンドンクリアして、昇級すんぞ!!」


『うむ! その意気だ主!!』



 ケンゼランドなんか追い越してやる!







==================================

==================================




現在の状況【読み飛ばしてもストーリーに影響はありません】





名前:マワル・ヤイバーン。


冒険者等級:F級。


守護武器:ブーメラン。


武器名:ヴァンスレイブ。


レベル:3。


取得スキル:

戻る(リターン)

双刃(ダブルブーメラン)


アイテム:薬草。


所持金:1万3千エーン。NEW

面白い、続きが読みたい! 

と少しでも思ってくれた方は、広告↓にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、

評価してもらえるとありがたいです。

創作意欲のモチベーションが上がって書き進められますので是非よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

広告下にある↑↑↑の



☆☆☆☆☆評価欄を



★★★★★にしていただけると作者の創作意欲が増します!

面白いと思っていただけましたらご協力お願いします。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ