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第14話 2人の陰謀

〜〜ケンゼランド視点〜〜



ーータクラーミの酒場ーー


 私はヤーリーと2人だけで酒を飲んでいた。

 互いに片頬に赤い手形が付いている。


「くそっ!! どうしてああなったんだ!? 私は変態ではない!! 」


 ヤーリーは天井を見上げる。


「でもさぁ。アイアちゃん……可愛かったよなぁ……」


「まったくだ。あんな美少女。王都バジマールでも見たことがない」


「ブーメラン野郎の癖に生意気だよなぁ。それにあいつ、モドリ村出身らしいぜ」


「何? あんな所の出か! 貧相な土地を所有する貧乏村じゃないか!!」


「かはは。だよなぁ。貧乏村出身のブーメラン野郎が、なんであんなに可愛い子を仲間にしてんだろうな?」


「ヤーリー。お前の父親は王都に使える騎士だったよな?」


「ああ。ランサーゴ家は王から叙爵(爵位を授けられること)されているがなぁ。所詮は士爵だからな。男爵のお前ん家とは格が違うよ」


「私だってそんな大したことはないさ。こうやって冒険者をやっているのが何よりの証拠。しかし、マワルとは圧倒的に差があるぞ」


「うむ。俺達は良家だからな」


「そうだ! 私達は良家だ!! あんな貧乏村の出身者とは血筋が違う!!」


「そうだ、そうだ!!」


 なのになぜだ!? 

 あんなクソ野郎が美少女と快適に冒険をこなしているなんておかしいじゃないか!!

 しかもギルドで噂されるほどの快進撃。あの最弱武器のブーメランでだ!!


 何かないか?

 マワルを絶望の淵に追い込むような算段はぁああ?

 そしてアイアさんが私のパーティーに来る方法は??


「マワルの奴、F級クエストも簡単に達成してるみたいだぜ。倒せない敵はいないのかね? アイツ、益々調子に乗るよなぁ」


「それだ!!」


 アイツはブーメランで負け知らず。あのアイアさんが騙されているのはそのせいだ。

 強敵に遭遇させてアイツが大敗すればアイアさんからの信頼が落ちる!


 C級クラスのモンスターにでも遭遇させれば大敗を喫すだろうが、万が一にも勝ってしまうということもありうる。

 ならばB級。兆が一でも勝機は無い方が望ましい。


「マワルを強いモンスターと戦わせてやろうじゃないか」


「お、いいね! 大敗した姿を見ればアイアちゃんは失望するかもな」

 

「ククク。そういうことだ」


 マワルが大怪我を負えばアイアさんは冒険ができなくなる。

 そこで私が優しい言葉をかけてパーティーに誘えば変態は返上。私の株はグーーンと上がり、彼女が仲間になるという寸法だ。



「ロントメルザの塔を知っているか?」


「ああ、なんでもS級モンスターのダークドラゴンが封印されている恐ろしい所だろ?」


「ククク……」


「は? まさかダークドラゴンを復活させてマワルと戦わせようってんじゃないだろうな?? 流石に無茶だぞ。マワルもぶっ殺されるがこの大陸も滅んじまう」


「なーーに。流石にそんなことはしないさ。その塔の周辺には恐ろしいモンスターが徘徊しているんだ」


「ああ、なんでもB級クラスのモンスターがウヨウヨいるらしいな」


「そんな奴を1匹。1匹でいいんだ」


「つ、つまり……。B級クラスのモンスターを捕まえて、そいつをマワルと戦わせるってことか?」


「ククク……。捕まえるってのは俺達では難しいからな。上手く誘導してマワルと戦わせてやるのさ」


「おいおい最高じゃねぇか! プププ! マワルはE級の冒険者。B級のモンスターといえば等級が3つも上だぞ! そんな敵に勝てる訳がねぇぜ!!」


「奴の絶望した顔が目に浮かぶなぁあ!」


「ぎゃはは! 堪んねぇなおい! あいつ、再起不能になっちまうぞ。最悪死ぬんじゃねぇか!?」


「ククク! ブーメランなどと最弱武器でいい気になっているからそんなことになるのさ!」


「でもさ。マワルが負けた後はどうするんだ? アイアちゃんが殺されちまうぞ? B級モンスターなんて俺らにも手に負えないしな」


「お前の父上がいるだろう? その力、頼めないか?」


「おお! 確かに! 王都のハジマール騎士団ならB級のモンスター1匹くらいはなんとかなる!!」


「そこは任せてもいいか?」


「おう! オヤジに頼んでみるぜ! B級モンスターを倒せば騎士団の功績になるはずだ。断りはしないだろう」


「計画は整ったな」


「ククク……。ケンゼランド、お前は悪だな」


「ヤーリー。お前もな」


「「 ガハハハハハハーーーーーー!! 」」



 俺達の笑いは酒場に響いた。



◇◇◇◇


 

〜〜マワル視点〜〜



 俺はアイアの昇級テストに付き添っていた。




ーーハジマール平原ーー



「いいか? マワルはあくまでも観客。アドバイスはもっての他。応援すらも許されないのだぞ」



 試験官のチェックさんは俺に対して眉を寄せた。

 俺が呑気に歩いているのが気に障ったのだろう。

 この人は俺のことをブーメラン君と言ってバカにしていた人だ。

 C級の冒険者で、この試験官の仕事がクエストとして成立しているようだ。


 にしても、応援すらダメってのは厳しいな。

 華奢なアイア1人でテストをクリアできるだろうか?


 テスト内容はゴブリン1体を倒すこと。

 俺の時と同じだった。


 アイアは緊張でぶるぶると震える。


「や、やるぞぉお……」


 うーーん。応援してやりたいがなぁ。声すら出せんから……。


 俺は親指を立てて励ましのジャエスチャーを見せた。


 アイア! がんばれ!!



「あは! マワルさん! 私、がんばります!!」


 

 それに応えるように彼女も親指を立てた。



「こら! お前達! そういうのもダメだぞ!!」


「ちぇ……。けちぃ」


「これは神聖なテストなんだ。テストの結果は運命神バーリートゥースにもきっちり報告するのだからな!!」


「はいはい。でもまだ始まってないからいいでしょ? ゴブリン見つかってないしさ」


「まったく……。テストが始まってそういうのが見えたら彼女は失格になるからな。気をつけろよ」


 うーーん。なんか緊張してきたぞ。

 自分なら余裕なんだけどな。アイア1人ってのはやっぱり心配だ。


 

 ──1時間後。

 3体のゴブリンと遭遇。

 試験官であるチェックさん達が2体を仕留めると、残り1体をアイアが倒すことになった。


 さぁ、アイアの昇級テストがはじまる!


 アイア、がんばれよぉ!!




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現在の状況【読み飛ばしてもストーリーに影響はありません】

*今回変化なしです。




名前:マワル・ヤイバーン。


冒険者等級:E級。


守護武器:ブーメラン。


武器名:ヴァンスレイブ。


レベル:6。


取得スキル:

戻る(リターン)

双刃(ダブルブーメラン)

回転遅延(スピンスロウ)

絶対命中(ストライクヒット)

魔力感知(センシング)


アイテム:薬草。図鑑。


昇級テスト必須アイテム:

白い角。黒い牙。緑の甲羅。



所持金:4万5千エーン。



仲間:僧侶アイア・ボールガルド。

オバケ袋のブクブク。

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