初戦闘!
とりあえず、私たちは一度フィールドに出てみることにした。
ゲームをはじめて最初に訪れる村……つまりさっきまで私たちがいた村はほとんどチュートリアルみたいなものらしく、まずは次の街に行かないといろいろ始まらないらしい。
というわけで外を目指して歩いていると、こんなコメントが目に入った。
『アルルってどんなスキルがあるの?』
「あ、えっと……こんな感じですね」
――――――
《銀炎》
炎を吐いて攻撃する遠距離火/光属性魔法。
消費MP10
《閃爪》
接近して鋭い爪で二度切り裂く攻撃。
リキャストあり
《銀翼の守護》
範囲に効果のある防御魔法。
MP15消費。リキャストあり。
【翼休め】
接地時、HPの自動回復速度が上がる
【共鳴】
魂が深くマスターと結びついた状態。
ステータスの一部が常にマスターに加算される。
【銀の威光】
相手を威圧し、ステータスを弱体化させる。
――――――
詳細を見たのは私も初めてなので、少し見てみる。
括弧の種類が二つあるけど、上三つはアクティブスキルで、下三つがパッシブスキルになっているみたい。
基本的には物理攻撃はMPを消費しない代わりにリキャストタイムがあって連続使用できず、逆に魔法攻撃は連続使用できるけどMPを消費する……っていう風に説明に書いてあった。
《銀翼の守護》はMP消費とリキャストが両方あるけど、これは例外って感じなのかな。
「物理と魔法両方持ってて防御まで出来るなんて……アルルは優秀だね……!」
「キュイっ」
私の肩に乗ったアルルを撫でる。
その様子を見て、リーナが羨ましそうに呟いた。
「良いなあ〜……」
『リーナちゃんもテイマーやりたかった系?』
『テイマー良いよね〜。普通に強いし』
「いや、モンスターになってエネちゃんにテイムされたかったなって」
「そっち……!?」
『そっちかよ!』
『気持ちはわかる』
『よしよしされたいな』
コメント欄にその気持ちを理解できてる人がいて怖い……まあ私も動物になりたいと思ったことはあるけど。
「えっと……とりあえず今日は、次の街に向かうまで……だよね?」
「うん! 初配信だし、とりあえずお試しでって感じだからね」
『そっかー』
『明日以降もやる感じ?』
「え、あ、そう……だよね?」
「もちろん! そろそろ夏休みだし、どんどんやっていくよ〜」
……と、そんな話をしていると、私たちの行先を塞ぐように序盤の敵としてはおなじみのモンスター、スライムが現れた。
このゲームのスライムは緑色で顔はなくて、中心に石みたいなのが入っているみたい。
ぱっと見の可愛らしさはないけど、でもこのぷよぷよしてる感じはそれはそれで可愛いと思う……!
「リーナのバフって、使い魔にも効果あるのかな……?」
「多分大丈夫だと思うけどせっかくだし使って確かめてみよっか!」
そう言ってリーナは手に持った銀色の杖をアルルに向ける。
「《戦闘指南:物理攻撃》!」
リーナがそう詠唱すると、アルルを中心に一瞬赤いオーラが揺らめいた。
アルルの状態を見ると、攻撃バフがかかっている。使い魔にも問題なく使えるみたい。
じゃあ、このまま攻撃してみよう。
「アルル、《閃爪》……!!」
「キュイィッ!」
私の言葉にはアルルは元気よく返事して、素早く宙を飛んでスライムに接近すると左右の爪を交差させるように閃かせた。
スライムの身体にはXのような傷が出来て……そのまま塵になって消えていった。
「ワンパン……」
スライムが相手とはいえ、こっちもレベル1だし少しは残るかなって……これはアルルが強いのかリーナのバフが強いのか、どっちなんだろう?
まあ本当にスライムがHP1とかだったって可能性もなくはないとは思うけど、とりあえずリーナのバフが私の使い魔にも効果があるということが知れてよかった。
なんて考えつつ、アルルが褒めて欲しそうにしていたのでとりあえず撫でておいたのだった。
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