魔を従える姫君
気が付くと、私は最初の神殿のような空間に戻っていた。
「……夢オチ?」
「何と言うか愉快な方ですね……まあとにかくこれで適職診断は終わりです」
「お、お祈りされますか?」
「大丈夫です。内定出てますよ」
ランタンさんがそういうと、目の前にウィンドウが現れる。
職業の名前がいろいろと書いてあって、その横におすすめ度が表示されている。どうやらこれが適職診断の結果らしい。
全然戦っていないから当たり前だけど、戦闘職って感じのものは全くおすすめされていない。基本的にはヒーラーとか補助系の職がお勧めとして表示されている。
「……と、まあこれが基本的な職業なのですが。今回エネ様は新たな可能性を導き出しましたので併せてこちらもご覧ください」
新たに開かれたウィンドウに表示されていたのは、城塞騎士と従魔姫という二つの職業。
なにこれ……?
「こちらは条件を満たした者のみが就くことのできる特殊職でございます。基本的な職業は診断の結果に関わらず何に就いても構いませんが、こちらは表示されたもの以外に就くことはできません。基本的にはこちらから選ぶことを推奨いたしますよ」
「えっと、追加課金が必要とか……?」
「そういうのはないです」
それなら安心かな……。
「ちなみに城塞騎士は既に選んだ方が一名いらっしゃいますが、従魔姫はエネ様が初めての適合者となります」
なるほど、もう先客がいるらしい。
ってことは従魔姫一択かな……なんか特別な職業っぽいし、同じの選んだら目付けられそうだし……。
というわけで、従魔姫の方を見てみる。
――――――
従魔姫
伝承の中に語られる、魔を統べる姫。その力を受け継ぐ職業。
恐るべき厄災の象徴として語り継がれているが、その力を正しく振うことが出来れば真逆の結果をもたらすこともできる。
[職業特性]
1:器用値(DEX)への大幅な上方補正
2:通常時の器用値(DEX)以外への大幅な下方補正
3:キャパシティ成長倍率への上方修正
4:モンスターに懐かれやすくなる(テイム成功率アップ)
5:モンスターに優先的に狙われるようになる
6:NPCの初期好感度が低い状態から始まる
[初期スキル]
《テイム》《命令付与》《融合》
――――――
なるほど、テイマー系。職業特性がデメリットもまあまあ大きいというか、明らかに器用値以外に下方修正って防御力とかすごい低くなってしまうんじゃないかって思うんだけど……でもテイマーはすごくいいと思う。
RPGだから仲間を集めないといけないと思うんだけど、莉奈以外と話すのは怖いし……テイマーならモンスターと一緒に戦えるのでその問題は解決できる。
「じゃあ、この従魔姫にします……!」
「かしこまりました。では、魂の書き換えを行いますので少々お待ちを」
ランタンさんから小さな火の玉が飛び出してきて、私の胸に吸い込まれていく。
じんわりと暖かい感覚が全身を巡って、これで魂の書き換えとやらが出来たらしい。
「さて、テイマー系職業に就いた場合、本来は最初の使い魔となるモンスターを選択していただくのですが……今回は既に縁が結ばれているご様子。よろしければこのまま開始させていただきますが、どうなさいますか?」
「え、えっと……? とりあえずおすすめでお願いします……」
「かしこまりました」
なんか美容院でのよくない応対みたいになってしまったけど、なんか既によくわからないことになっているのでこうするしかない。
「それではこれからエネ様の転送を行います。一応キャラメイクなどはまだやり直すこともできますが……」
「こ、このままで大丈夫です」
「かしこまりました。それでは転送を開始します。あちらの世界で分からないことがあれば何でもご質問を。ヘルプメニューからチャット形式でのやりとりが出来ますので、ぜひご活用ください」
ランタンさんがそう言って、くるくると回転する。
それに合わせて足元の魔法陣が発光し――そのまま私は何処かへと転送されたのだった。
今回はこんな感じで進んでいきます。
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