表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/41

神殿探索!


 棄てられた神殿に入ってから数十分。私たちは敵を倒しながらどんどん内部を進んでいた。


 いま相対しているのはスケルトンソルジャー三体とスケルトンアーチャー二体の合計五体。……今サクが一体かみ砕いたので合計四体になった。

 この時点でもかなり敵の数が多いけど、実はこれでも減ったほうで、最初はゴースト系のモンスターとゾンビ系のモンスターもいたのでさらに多かった。

 比較的弱いモンスターが一度にたくさん出てくるのがこのダンジョンの特徴みたい。

 それがなんかパニック系のホラー映画みたいだってついつい言ってしまってリーナを余計怖がらせてしまうことになったのは反省してます……。


 ……さて、サクの通常攻撃で倒せるラインならもうまとめて焼き払えるかな。

 サクにこっちまで来るように指示を出して、アルルの攻撃範囲内に味方がいなくなったことを確認。



「アルル、《銀炎》!」


「キュイ――!」



 暗闇に圧倒的な光量が迸り、うねる銀色の炎が敵を蹴散らす。閉じた空間の中では炎からまともに逃げることもできず、炎に包まれたスケルトンの群れが残り少ないHPを散らして消滅した。

 今回のダンジョンは特にアルルとの相性が良いみたい。《銀炎》が火属性と光属性を併せ持っているので、このダンジョンに出るモンスターには常に高いダメージを出すことが出来ている。地形に合わせて形状が変わる炎系魔法というのもこの屋内系ダンジョンには適していた。


 ただ、アルルが特に目立つというだけでもちろん他のメンバーも負けてない。

 サクの《クレセントスクラッチ》もMPがあれば光属性攻撃になって大ダメージが出るし、同時に多数の敵が出るこのダンジョンではカイルの攪乱が上手くこちらの被弾を減らしてくれる。アリスも回復役が板についてきて、暗闇からの不意打ちで削られたHPの回復やゾンビ系モンスターが付与してくる毒の解除など、パーティの維持に大きく貢献している。

 そこにリーナのバフが加わるので、なんかもう向かうところ敵なしという感じだった。少なくとも道中は苦戦しそうにない。



「アリス、サクの回復をよろしく」



 アリスがぴょんと飛び跳ねてからサクの回復を行う。その間にリーナと一緒にドロップアイテムを回収することにした。

 スケルトンが落とすのは骨ばかり。たまに手に入る霊晶ってアイテムはレアドロップなのかな……どういうものなのかはわからないけど、インベントリにはまだ空きがあるのでどんどん回収していく。


 ちなみに、もしかしたら可能性あるかもと思ってテイムを試してみたりしたけど、当然の如く全て失敗に終わった。

 というか、なぜかテイムでダメージが入っているような動きがあって驚いた。普通のモンスターに対してはもちろん、ゴブリンに試して失敗に終わった時もこんなことにはならなかったはずだけど……。

 ただ、これには一応心当たりがある。


 ゴブリンは厄災の霧に侵されていなくとも人間を襲うためテイムからの使い魔化が出来なかったけど、ここのモンスター……ゾンビやスケルトンやゴーストは、厄災の霧自体は体内に存在しているのが見える。

 ただ、動物系モンスターが厄災の霧にやられて凶暴化しているのに対し、アンデッド系モンスターは元がそもそも動かないものなので、もしかしたら厄災の霧がないと存在できないのかもしれない。

 そう考えるとテイムで霧を払おうとするとダメージが入るのも辻褄が合うし、つまりアンデッド系モンスターはどうやっても仲間にはできないってことになる。

 幽霊とか結構デフォルメされてて可愛かったから仲間にできたらいいなーと思ってたのでちょっと残念……。まあそういうのはネクロマンサーの特権かな。このゲームにネクロマンサーがあるのかは知らないけど。



 さて、そんな調子でこの棄てられた神殿を進んでいくと、途中で行き止まりの道にあたった。

 途中で分岐があって右側のルートを選択したけど、どうやら行き止まりだったらしい。

 分岐ってどのくらい前にあったんだっけ……と考えていると、少し調子を取り戻したらしいリーナが壁を指さして口を開いた。



「ここ、なんか嵌められそうな穴があるよ!」



 見てみると、確かに壁の一部が四角形に窪んでいた。

 ランタンの明りを近づけてよく見てみると、窪みから伸びた線のような模様が壁全体を巡るように刻まれている。ここ以外の壁にはそんな模様はなかったし、多分ここに何かを嵌めると壁が開く……みたいなギミックだと思う。



「じゃあさっきの分岐で左に行けばいいのかな……?」



 そこの分岐以外に怪しいところはなかったし、私たちは一つ前の分岐へと戻ることにした。分岐までの敵は片付いているのですぐに到着し、今度は左側のルートへと入ってみる。

 右ルートは怪しい壁まで結構距離があったけど、左ルートは入って二度角を曲がったところで終点が見えた。

 

 終点は大部屋のようになっていて、奥にはこれ見よがしな宝箱。そしてその前には宝箱を守るように一体のモンスターが立っていた。

 宝箱に入ってるのはあの壁に嵌め込むためのアイテムだろうし、それを守るモンスターはこのダンジョンの中ボス枠……のはずなんだけど……



「えっ、ラ、ラスボス…………?」



 ……宝箱の前に立ちはだかっていたのは、巨大なドラゴンだった。

 ドラゴン型のモンスターってもっと後にちゃんとしたボスとして出るものじゃないの……?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ