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ゴブリンたちの採掘場

VR月間1位ありがとうございます!!!

本当は昨日の時点で行っていたのですが、体調が悪くて更新できなかったので……


 スカウターゴブリンの亡骸が煙のように消滅して、ドロップアイテムが地面に残る。

 爪とか牙とか装備みたいなもので、肉とか皮とかはない。あっても怖いけど……。



「ちゃんとドロップアイテム回収したの久しぶりかも」



 今の私の方向性だと《テイム》が可能なモンスターからはあまりドロップアイテムを得られない。

 成功したらそのまま使い魔になるし、失敗しても逃がすからドロップアイテムは少なめになるので。

 ちなみに逃げたときのドロップアイテムは戦闘中に落としたものという扱いになっているみたいで、一部のアイテム……それこそそのモンスターが死なないと回収できないような素材はそもそもドロップしないようになっていたりもする。

 ホーンラビットを撃破したときのドロップアイテムにはツノがあるけど、《テイム》後に逃がした場合はツノのカケラまでしかドロップしない感じ。



『ここまでテイムできるモンスターだらけだったもんな』

『そういえば今どのくらい捕まえてるの』


「全部でですか? えっと……19体ですね」


『いやこの時点で結構多いな』

『というかこのレベルでそんなに仲間にしておけるの凄くない?』

『休眠状態にしておくにも上限があるんだけどな』

『DEXがめちゃくちゃ高い説』

『なんなら同時に4体召喚できるキャパシティ値が既におかしい』



 召還状態にできるモンスターの数には限りがある。それがキャパシティ値で、これはDEXで基本的な値が決まったりするみたい。

 モンスターごとにコストが設定されていて、その合計がキャパシティ値を下回っていないといけない……みたいな感じ。


 私の場合は職業補正でかなり拡張されているらしく、今のキャパシティ値は75。

 ちなみに今のメンバーのコストはアリスとカイルが両方5でサクが10、アルルは初期使い魔だからかコストは0で、合計20。つまりまだ55も空きがある。

 とはいえ、使い魔への経験値分配は完全な頭割りなのでこれ以上増やしてもレベルアップが遅くなってしまうだろうし、今は4匹で様子を見てる。



 さて、ゴブリンの素材も回収し終わったし先に進もう。

 先を警戒しながら谷の底を進むと、先の方の少し横幅の広くなった空間にモンスターがいるのが見えた。



「またゴブリン……? 巣になってるのかな」


「うーん、食料とか手に入らなそうだし巣には向いてなさそうだけどね」


「どっちにしろ、今回は《テイム》はお休みかな……カイル、ここから《鎌鼬》で攻撃できる?」


「ピィーッ」



 カイルは少し静かに鳴いて、勢いよく翼を振るう。するとその軌跡に沿って刃のようなエフェクトが生成されて、一直線にゴブリンの方に向かって突き進んでいった。

 普通の攻撃は距離が長くなると威力が落ちる。特に魔法だとその減衰が結構厳しかったりするみたいだけど、《鎌鼬》は距離に応じたダメージ減衰がほとんどないみたいなのでここからでも結構なダメージを与えられるはず。

 突き進んでいった風の刃はそのままゴブリンに直撃し、その身体が後方に吹っ飛ばされる。



「――ェッ」



 遠いのでよく聞こえないけどゴブリンの声だ。

 目視出来ていたのは一匹だけだけど、他にもまだゴブリンはいたらしい。攻撃に気付いたゴブリンたちがこちらを見ながら戦闘態勢を取った。

 戦闘状態になったことで遠距離でも見れるようになった種族名表示を見てみる。

 敵グループはマイナーゴブリンが三匹、スカウターゴブリンとソルジャーゴブリンが一匹ずつという構成みたい。マイナーゴブリンってなんだろう……。



「よし行こう! 《戦術指南(タクティクス)攻撃策(オフェンス)》!」



 リーナのバフと共にサクが先頭になってゴブリンの群れに突っ込んで、大きく爪を振るう。

 通常攻撃だけど種族特性でMPが消費されることによって結構なダメージが出ているみたい。食らった三匹のゴブリンのうち二匹が吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。

 さらにそこにアルルの《銀炎》とカイルの《天風(あまかぜ)》が重なって……ものの数十秒でゴブリンの群れは片付いたのだった。



『瞬殺過ぎる』

『推奨レベル大きく超えてるわけじゃないと思うんだけど』

『群れるモンスターって基本的にプレイヤーが数的不利になる前提で作られてるからテイマーがいるとすぐに溶けるんだよな』



 数のアドバンテージがあるのはテイマーの明確な強みだと思う。その分本体が弱いわけだけど……。



「というかサク、思ったよりもダメージ受けてるみたい……アリスに回復してもらわないと」



 サクは基本的に先頭に立って突っ込んでいきたがるので、その分ダメージを受けやすい。今回の戦闘も一番最初の攻撃の時に残った二匹から攻撃を受けてたし、そこまで防御力が高いわけでもないので思ったよりも削れてしまっていた。

 回復形態になったアリスがサクに《ミルキーヒール》をかける。

 その間にドロップアイテムを拾いながら周囲をちょっとだけ探索してみると、その辺りの壁……というよりこの辺り全てがそんな感じだけど、壁がかなり黒くなっていることが分かった。

 さっきまではもっと普通に岩壁って感じだったはずだけど……。



「ん……これなんだろう?」



 こつんと足に何かが当たって下を見ると、そこにはツルハシが落ちていた。そしてそのすぐそばに背負うタイプのかごがあって、中には黒い石が大量に詰まっている。

 見た感じ、黒い壁と同じ材質みたい。素材アイテムになっているみたいなので一旦インベントリに入れて説明を読んでみる。



――――――

アードン鉄鉱石


不純物が多く、脆く欠けやすい粗悪な鉄。

アードンは採掘された土地の名などではなく鉄の等級を表すものであり、この鉄が最低等級であることを示す。

人間は見向きもしないが、鉄の鋳造技術を持たないゴブリンなどがそのまま削り出して武器にすることが多い。

――――――



 なるほど……鉄だったんだ。じゃあこの辺は採掘場みたいな感じなのかも。この辺りの横幅が広いのは鉄を削ったからかな。

 さっきの戦闘にいたマイナーゴブリンのマイナーは、知名度が低いみたいな意味じゃなくて鉱夫の方のマイナーだったみたい。

 この谷はリーナの言う通り巣にするには適していない場所だけど、ゴブリンにとっては武器などに使う鉄を採掘する場所になってるのかも。そういえばエリア名も鋼鉄の谷だった。



「エネちゃん、そっち何かあった?」


「うん、ツルハシとか色々。採掘場だったみたい」


「あ、そういうことだったんだ」



 ドロップアイテムを拾い終えて、サクもHP全快になっていたので私たちは更に奥へと向かうことしたのだった。



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[一言] い、いつのまに十九体に…!?
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