表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/41

厄災の力



『何このイベント!?』

『俺の時と全然違うけどこういう感じなのか』

『特殊職だとこうなるんだな……』

『準特殊だとこの辺はそこまで大きく変わらなかったな』

『まあ職業によるのかもしれないけど』



 コメントが加速していくけど今は反応できそうにない。

 ウィードルさんの後をついて行ってるわけだけど、なんか面接を受ける部屋まで案内されてる時と同じ感じだ。高校受験の時を思い出すなぁ……すごくしんどくなってきた。

 キリキリ痛む胃を押さえながら歩いていると、すぐにある部屋に通された。応接室……って言ってたっけ。かなり綺麗で私なんかが入ってもいいのかなって感じだけど、ソファに腰かけるよう促されたので観念して座る。



「すまないね。最近はウチの人間もみな殺気立っていてね……どれもこれも近頃の魔物の活性化が原因でな」


「活性化……?」


「魔物の凶暴性が増してきている。ここいらではそこまで酷くは無いが、王都の方ではそれはもう酷いことになっているとか」



『汚染個体かな?』

『あれ厄介だよな。普通のより明らかに強い』

『そのくせ経験値は大して変わらないし素材はむしろ使える部分が減るとか酷いわ』



 ちらりとコメント欄の方を見てみると、それらしきことが書いてあった。

 実際にシステム的にも存在していることらしい。



「さて……今はお主の力が知りたい。普段使役している使い魔が他にもいるのなら見せてほしい」


「あ、はいっ」



 アルルとカイルとサクを追加で召喚すると、私の肩からサクの背中にアリスが飛び移った。

 一応他にも休眠状態の使い魔はいるけど、戦闘に出しているのはこの四匹なのでひとまずこれでいいかな。

 ウィードルさんは四匹にそれぞれ目をやって、ふむふむと頷いた。



「ほう……ホーンラビットを出していたのは正解だったな。この狼では更に疑いが深くなっていただろうし、このドラゴンでは……余計厄介なことになっていただろう」



 アルルに関して何か知ってることがありそうな感じだったけど、私が聞く前にウィードルさんは言葉を続けた。



「お主の力は大体わかった。きっと楔も見えているのだろう? それならば話は早い。【進化の儀法】に関してはあとで教えるとして、一先ずは儂の昔話を聞いてほしい」



 ウィードルさんはそう言ってソファに深く腰掛ける。



「もう20年前のことだが……かつて、お主と同じ力を持つ少女がいた。厄災の力を持ちながら、厄災の霧を払う力を持つ存在だ。名をザリア=エトラッド。勤勉で動物に好かれる良い子だった……最終的に力に呑まれたがな」


「え……厄災の力に、ですか?」


「ああ、そうだ。日に日に増していく厄災の力をどうにか封じ込めようとしていたが、最終的に精神を乗っ取られて彼女自身が厄災となってしまった……近頃の活性化は全て彼女が原因だ」



 確か従魔姫の説明には『伝承の中に語られる魔を統べる姫の力を受け継ぐ職業』と書いてあった。『恐るべき厄災の象徴として語り継がれているが、その力を正しく振うことが出来れば真逆の結果をもたらすこともできる』とも。


 力を受け継ぐっていうのはそういうことなのかな……最初にみたときはそこまで深く考えていなかったけど、厄災という言葉がいろいろなところで出てくるごとにこの職業のヤバさが分かってくるというか……。



「私もそうなってしまうんでしょうか……?」


「お主が同じ力を持っている以上、同じ状況に陥ることも十分に考えられる。どうすれば良いのか、正解は儂にも分からない……が、心当たりはある」


「心当たり?」


「ヴェスティアを目指しなさい。ヴェスティアのテイマーギルドは各地のテイマーギルドを統括する本家……儂はもはや年老いてしまったが、ヴェスティアのギルドマスターならばお主を正しく導けよう」



 ウィードルさんははどこからか取り出した紙にさらさらと文を書いて、手紙として封をする。



「推薦状のようなものだ。これがあれば問題ないだろう。それとギルドカードも。触れれば進化の儀法を習得できる」



 手紙とカードを受け取ると、[【進化の儀法】を習得しました]という表示が出た。

 どうやらパッシブスキルのようなので、何か特別なことが必要というわけではないらしい。

 ギルドカードはインベントリではなく別の場所に収納されて、手紙は貴重品として収納された。



「何から何まで、ありがとうございます……っ!」


「それが儂の仕事だからな。というより、それしか出来ないだけだ」




 こうして私は予想以上の戦果と共にテイマーギルドを後にしたのだった。


 進化システムを解放するために向かったのに、厄災と従魔姫に関する話やヴェスティアにいるという統括ギルドマスターに関する話まで聞いてしまった。

 ちょっとまだ飲み込めてない部分はあるけど、ヴェスティアに向かうという目標も出来たしこれから先の動きをある程度考えられるようになったと思う。

 もちろん、リーナの意見も聞くつもりだけど。



「というかリーナの方はどうなってるのかな……」



 気になってリーナの方の配信画面を見てみると、なんか戦場の中にいた。どういうことなの……。

面白い!と思っていただけたら下の「☆☆☆☆☆」から評価していただけると嬉しいです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ