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凛々しい狼には棘がある

短めなので今日中にもう一話くらい更新したいですね



「あのトゲ……適職診断の時の……?」



 黒狼の背中のトゲは、私がキャラメイクの時の適職診断で見たものと同じように見える。

 あの時はトゲを抜くことで適職診断が終わって……多分だけど、それでアルルをテイムすることが出来た。

 そこに関しては確証が持てないけど、銀の竜というところで共通してるし……とにかく、私の想像通りならあのトゲは引き抜くことで霧を解除することが出来る。

 それはつまり《テイム》と同じことをやっているわけで……



「リ、リーナ! このモンスター、もしかしたらテイムできるかもしれない……!」


「え、ほんとに!?」


「うん……! ちょっと筋力とか必要そうだからSTRのバフとかあったらお願い……!」


「なるほど! そういうことなら全力でバックアップするよ~!」



 笑顔でガッツポーズをして、リーナは全体にバフをかけ始めた。

 その間に三匹の命令設定を『妨害』に設定して、これで今できることは全部かな……。



「全体と単体の重ね掛け! 今できる最高の状態だからこれで頑張って!」


「うんっ、ありがとう……!」



 カイルが《攪乱》を使って黒狼の注意をそらしている間に走って後ろに回り込む。

 トゲの場所は首のあたり。さっきはちらりとしか見えなかったけど、今ははっきりと視認できている。……と、同時にメッセージが表示された。



[パッシブスキル【楔視(けっし)の魔眼】を獲得しました]



 楔視の魔眼……?

 内容は分からない……けど、パッシブならとりあえず確認しなくても大丈夫なはず……いやもしかしたらデメリットがあったりするかもしれないけど、どちらにせよ確認する暇はない。


 黒狼がアルルの《銀閃》を食らって怯んだタイミングで走り寄って黒狼の毛を掴み、その身体の上によじ登る。



「よしっ、一発成功……!」



 何回か挑戦しないとだめだろうなって考えていたのでこれはうれしい。

 ……さて、黒狼の背中は人が何人かまたがれるくらいのスペースがあるけど、トゲまでの距離は短い。

 さっさとトゲのところまで行こう……と思ったけど、流石にそんな簡単な話ではないみたいで、背中に異物を察知した黒狼は大きく暴れ始めた。



「ちょ……待っ……っ!!」



 ブンブンと振り回されつつも、掴んだ毛は離さないようにし続ける。

 リーナの筋力(STR)バフのおかげでどうにかなってる……いやこれでもかなり厳しい……!!

 振り落とされる前にどうにかしないと……。


 黒狼の毛を掴んで体表をよじ登って黒いトゲに手をかける。キャラメイクの時と同じように、手を触れると黒い靄が伝染するように私の腕を伝ってきた。

 


「テ、《テイム》……!」 



 思い当って《テイム》を唱えると手を覆っていた靄が消える。一時しのぎにしかならなそうだけど、でもこれ消せるってことは逆に言うと消さないとマズいってことだろうし……。

 テイムで霧を消しながらトゲを引き抜いていく。動かせそうになかったトゲは徐々に動きつつあって、ず、ず……っと段階を踏んで引き抜くごとに黒狼の暴れ方もどんどん激しくなってくる。



「痛いかもしれないけど、ごめん……!」



 カイルを筆頭に、みんなが妨害を重ねて黒狼の動きを最小限にとどめてくれている。

 ……と、ここで黒狼が二足歩行に近い状態で前足を高く上げた。両手を使ってしがみつくようにトゲを抱えて落下しないようにしつつ、顔に迫って来た霧をテイムで散らし――黒狼が前足を勢いよく振り下ろしながら身をよじった瞬間、遠心力によって勢いよくトゲが抜け落ちた。



「わっ……!!」



 抜け落ちたトゲと一緒に背中から頬り落とされた私の目の前でトゲは一瞬で霧散して、それから私の視界を眩い光が覆ったのだった。




[称号『黒葉の森踏破』を手に入れました]


[称号『魔獣を従えし者』を手に入れました]


[称号『新月狼の寵愛』を手に入れました]

実はリーナのバフの効果量は凄い。特殊職ですし。

次回は掲示板回を挟むかもしれません。

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