初めてのボス戦!
ちょっと順位が落ちてきてしまいましたが更新は継続していきたいです
ナヴァルーニエ・ヴォルク……何語なんだろう?
長いから黒狼って呼ぶけど、とにかくこれが初めてのボス戦……って、なんかデバフがかかってる……?
私の状態欄に表示されていたのは『威圧』というデバフ。全体にかかってるみたいだけど、パーティリストを見てみるとアルルにだけはかかっていなかった。
若干行動が制限される感じで動きにくさがあるんだけど、使い魔的にはどういう扱いになってるんだろう……?
ただ、ここまでのレベル上げで三匹ともレベルが上がっているし、アリスは《ラッシュクリーヴ》という新しいスキルを入手している。
リーナも一緒だし、強そうな敵だけど倒せるはず……多分。
というわけで、早速《命令付与》を行うためにウィンドウを開く。
私のスキル《命令付与》は使い魔にある程度の命令のもとで自動で行動をしてもらうことが出来るスキルになっている。
これのおかげである程度は自分で考えて攻撃してくれるので、私は一部の大技とかのタイミングを調整したり防御寄りの行動とかをしてほしいときに指示を出すことに集中する感じ。
三匹同時に見ることになって流石に厳しくなってきたので使い始めたけど、特にアルルは自動でも私が指示を出すのと同じくらい良い動きをしてくれるのでかなり私の負担が減らされた。
アルルの命令設定を『攻撃特化』に、アリスとカイルの命令設定を『攻撃(消極的)』に設定して状況を観察する。
アルルとアリスが近接で攻撃を行い、カイルが遠距離から《鎌鼬》での攻撃を行う。
黒狼は今のところ近接攻撃に偏っているようで、多分カイルの飛行高度にまでは攻撃が届かない。ただカイルはMPを消費する技しかなく、まだレベルが低いのもあってMPの自動回復も追いつかないため固定砲台的な役割は持てないので、定期的に近くに戻ってもらってMPポーションによる回復を行う必要がある。
……と、ここでカイルのMPがなくなってきたので一旦こっちに……いや、ここでちょっと大技を使おうかな……?
「アリス、《ラッシュクリーヴ》!」
私の声に反応して、アリスが姿勢を低くする。すると、角が少しずつ熱を帯びているかのように発光していく。
このスキルは物理攻撃でMP消費もないけど、攻撃発動前にチャージ時間が必要というもので、高火力な分隙が大きいという少し扱いづらいスキルになっている。
ただ、そこは組み合わせでどうにかなるので大丈夫。
「ここで……《攪乱》!」
「ピィーッ!」
指示を受けて、カイルが低空飛行に切り替えて高速で黒狼の周囲を飛び回る。
カイルが《攪乱》で相手の攻撃命中率を下げつつヘイトを集めている間に、アリスが《ラッシュクリーヴ》のチャージを行うことでほぼノーリスクで《ラッシュクリーヴ》を発動することが出来るというコンビネーションだ。
煩わしいと言わんばかりに黒狼はカイルに爪を振るうけど、カイル自身のスピードと特性のおかげで攻撃はかすりもしない。紙装甲だから少しでも当たってしまうとかなりピンチになるし、結構ハラハラするんだけど……。
そうしている間にギューンという効果音が鳴ってアリスの角が最大限に発光し、それからものすごい勢いで黒狼へと突き進む。
一瞬でアリスは黒狼のもとに達してその身体に角を突き刺す。一瞬で数回のダメージ音が鳴って、黒狼が怯むのと同時にアリスが後ろに吹き飛んで元の位置に戻った。
黒狼は怒ったようで怯みから立ち直ると狙いをアリスに向けて行動しようとするけど、そこにカイルの《鎌鼬》とアルルの《銀炎》が直撃する。
リーナの魔法攻撃バフも乗っているので結構なダメージになったはず。
黒狼は巻き上がった土煙の中でゆっくりと立ち上がり――突如、闇のオーラが集まり始めた。
「なにこれ……!?」
「あー、大技かも! それか第二形態!」
「ええ……どうしよう」
とりあえず何が来てもいいように全員近くに戻ってもらう。
それから、アルルに向かって指示を出す。
「ア、アルル! えっと、《銀翼の守護》!」
「キュイッ!」
「防御だね、任せて! 《戦術指南:防御策》!」
アルルが私の前に飛んで翼を広げると一回り大きな透明の翼が現れて、それが重なって盾のようになった。
銀翼の守護は範囲防御バフで、この盾の後にいることでダメージを抑えることが出来る。そこにリーナの防御バフが重なってかなり硬いことになっている……と思う。
「オオォォォォーン!!」
黒狼が吠えて、闇のオーラが解き放たれる。
オーラは一瞬で膨張して衝撃波を発生させて……全員の体が大きく揺さぶられた。これだけ防御しててもHPが半分くらい削られているので、そのまま食らってたらワンパンだったかも……。
「回復は任せて! エネちゃんは攻撃!」
「わ、分かった! カイル! アリス!」
リーナがいちばんダメージを受けたアルルを回復をしている間に、アリスとカイルに攻撃行動をとってもらう。
とりあえずこの調子なら倒せるはず……そう考えた私の視界に、黒狼の背に刺さった黒いトゲがちらりと映った。
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