月の謎解き
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さて、新たな仲間も加わったところで、いっしょにどんどん森の奥へと進んでいきたいところなんだけど……
「ちょ、ちょっと待って……流石に両肩は重い……」
『なんかすごいことになってるwww』
『懐かれてるなぁ』
『そういう童話ありそう』
『それなんてブレーメン?』
今の私は右肩にアルル、左肩にカイルが乗っている状態だ。アルルだけなら問題はなかったけど、両肩に乗られると流石に厳しい……。
ついでにこの状態だと自分も混ぜてほしいのかアリスが頭の上に乗ってこようとするのでさらに身動きが取れなくなる。かわいいけどSTRが貧弱な私には荷が重いなぁ……。
「あ、モンスター……」
「「「!!」」」
モンスターを知覚した途端、三匹は一斉に戦闘態勢を取った。
こういうところすごく頼りになるからあまり強く言えないというかなんというか……どうにかしてSTR鍛えられないかな、という方面で考えるしかなかった。
――――――
さて、モンスターを倒しながら黒葉の森を進むと、ある程度歩いたところで遺跡のようなオブジェクトがちらほらと見えてくるようになった。
「なんだろう、これ……」
進むごとに遺跡の要素は多くなっていって、そのうちに円形の広場のような空間が見えてきた。
広場は私の背と同じくらいの高さの壁で円形に囲まれていて、壁には月を象った模様の描かれたいくつかの石板が埋め込まれている。
上を見上げてみれば、地上から伸びた柱に支えられて同じく円形の枠のようなものがあった。
広場の入口には三日月型の石板と謎の文字で書かれた大きな岩がこれ見よがしに置いてある。恐る恐る近づいてみると、岩から青白く文字が浮かび上がってきた。
[宙に在りし瞳、民を睨視し事を促す]
[然し我らは眠らぬ民なれば、夜影を歩きて事を為す]
[その瞳を閉じよ。見つからぬよう]
「抽象的だね……」
まあでも、これくらいなら何となく想像はできる。
少し考えてから入口の壁にあった三日月の石板を押してみると、ズズズズと引きずるような音が頭上から聞こえて、広場の一部に影が落ちた。
その形は今押した石板に描かれている月の形と一致していて……
「えっと……多分だけど、形を組み合わせて天井を閉じればいいのかな」
宙に在りし瞳は太陽とか月みたいなものを表してるはず。
その瞳を閉じよって書いてあるので、広場の壁の石板を操作して天井を閉じればいいってこと……かな。多分。
パズルは得意なので早速やっていこう……と、その前に念のためアリスとカイルには休眠状態になってもらう。
岩に『夜影を歩きて事を為す』と書いてある以上、影になってないところを歩くとアウトな可能性があるので仕方ない。アリスとか目を離した隙に突っ切って行っちゃいそうだし……。
メニューから休眠状態にすると、アリスとカイルは光る球体になって紋章へと吸い込まれていく。
これでよし。
というわけでパズルを解いていく。影に沿って歩いて石板を押して、日光を避けつつ新たに出来た影を歩いて別の石板を押す。
それぞれの石板は相互に作用していたりしてなかったり。途中で法則性に気が付いてからはサクサク進んで、あと少しのところまで来た。
ただ、ここから先が分からない。
「なんか……あと三日月形があれば行けそうなんだけど……」
入口の石板も三日月形だけど向きも位置も違う。
正直これ以外にルートがない気がする……と、そこまで考えて、配置に一か所不自然なところがあることに気付いた。
ここに石板があったら全部綺麗に並ぶはずなんだけど……と思ってよく見てみると、絡まったツタの中に石板があるみたい。
これどうしたらいいんだろう? 燃やせば一発だと思うけど、そう簡単に燃やすのは難し……いや、アルルがいた。
「アルル、お願い」
「キュイっ」
任せろって感じでアルルは宙に浮かび上がって、口から火球を放った。
ツタはすぐに燃え上がって、石板が露わになる。そこに表示されていたのは私が探していた三日月と全く同じ図形で、それを押すことで天井が完全に塞がった。
同時に別の場所からゴゴゴゴと地響きのような音が鳴って、広場から続く新たな道が出来上がる。
「よし……っ」
『ナイス~』
『結構あっさり解いたな』
『俺ここめっちゃ時間かかって結局wiki見たわ』
「これ夜だったらどうなってたんだろう……」
『夜でも影分かりやすくなってるから大丈夫だった』
『というかここだけ月の光が明るくなってる感じだったな』
「あ……そうなんですね」
とりあえず周囲の安全を確認して、それからアリスとカイルを召喚する。
両肩と頭部にモンスターの乗ったフルアーマー状態になって、私は更に森の奥へと進んでいくのだった。
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