予期せぬ客
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その後も、マカリスターは何かと絡んで来ようとしていたが、敵の筈のキャローリンが上手い具合に邪魔してくれたのお陰で事なきを得た。
授業が終わり、何時もの様に、私室で寛いでいた。今日一日で、思い知った。面倒臭い人達に絡まれるリスクを考えると、1日も早く卒業したい。
「ねぇランにリーネ。私が早期卒業したら貴女達困るかしら?」
まだテス達が来ていないので、1年生組の二人に尋ねてみる。
「システィーナ様なら、早期卒業もあっという間ですね」
ランは困った様な笑顔で言った。
「主の為さる事に、異を唱える事は致しません。私も努力して早期卒業を目指すまでです」
リーネは勇ましい。
私が早期卒業する事は、簡単だろうが、私が居なくなった後、リーネはまだしも、ランが心配だ。下級貴族で高位王族の庇護を受けるなど、妬まれるに違いない。
「…よし、3人で早期卒業目指しましょ」
「…3人でですか?」
「…ど、努力します」
…あれ?二人引いてる?
「私も仲間に入れてください」
いつの間にかやって来た、テスが言った。
「私が先に卒業する予定でしたのに、追い越されてしまいます」
テスが笑顔で言った。
「レッドも頑張りますよきっと」
「…早期卒業してしまったら、私はシスティーナ様と共に居る事は出来ますか?」
ランが不安そうに此方を見た。
―そうだった。テスは正式に召し上げているけれど、リーネとランとレッドは貴族院での従者だった。でも、もう、私の中では身内同然だ。
「レッドも、リーネもランも卒業と共に正式に召し上げます。既に家族同然ですわ」
「ありがとうございます!」「誠心誠意尽くします」
ランとリーネは嬉しそうだ。
「今、本人は知りませんが、喜びますよ」
テスがレッドの代わりに言った。
…レッド、扉の外だった。
急に魔石が光った。
画面にはレッドが映し出された。隣に見知らぬ大人が居る。
「レッド何かございまして?」
「システィーナ様、今からマカリスター様がいらっしゃると、先触れがございました」
―げ。断れないやつじゃん。しまった。とっとと帰れば良かった。
「…承知しました。とお伝えください」
マカリスターの従者には聞こえているだろうが、レッドに伝えるよう言う。
通信が切れると、テスとランが慌ただしく準備を始める。
…はぁ。アルベティウス様が居たらなぁ…
憂鬱になっていると、再びレッドから通信があった。
「システィーナ様、アルベティウス様がいらっしゃいました」
―!!シュラーリア様に感謝を!!
「やぁ。入っていいかい?」
「直ぐにお通しして」
レッドが扉を開けると、ニコニコしながらアルベティウス様が入ってきた。本当は飛び付きたいけれど、皆の手前止めておいた。
「アルベティウス様、いらっしゃいませ。如何なさいました?」
「今日のマックの様子を見ていたら、此処にやって来る気がしてね」
…流石!アルベティウス様!素敵!
「ええ…。今し方先触れがございました」
「やっぱりね。君と二人にする訳にいかないからね」
「二人になんて。皆がおりますのに」
「マックが人払いを命令したら、この子達は逆らえるのかい?」
「…」
…隣国の皇子様の命令を無視など出来ないだろう。
「君でも出来ないのに。マックに対抗出来るのは、今の所僕だけだろう?師匠は忙しそうだしね」
「考えが至りませんでした。いらしてくださって有難うございます」
「君の為じゃない。私が君に会いたかったんだ」
アルベティウス様はキラースマイルでウインクする。
―くっ。心臓が保たない。こら、そこ。ランとリーネ、声を出さずキュンキュンするんじゃない。恥ずかしいわ。
ランとリーネのキラキラした眼差しに、居心地の悪さを感じた時、レッドから通信が来た。
「システィーナ様、マカリスター様がお出でです」
「お通しして」
アルベティウス様以外、信徒の礼で入室を待つ。
「邪魔するぞ」
「ようこそお出でくださいました」
「うむ。楽にせよ…?!な、何故だ!アル兄が居るのだ!」
「マカリスター様、此方へお座りください」
マカリスターをアルベティウス様の向かいに促した。マカリスターは渋々座った。
「やぁ、マック。我が婚約者に何用かな?」
「べ、別に。初めて会った従兄妹に挨拶に来ただけだ」
…絶対違うよね
「アル兄は教師で在りながら、一生徒の私室にやって来るなど、贔屓だとか色々変に勘繰られたらどうするのだ」
「変に勘繰るって言った所で、システィーナは婚約者だし、贔屓も何も、全てに飛び抜けているのに今更だろう?それに、私は教師ではなく、『講師』だからね。縛りは無いよ」
アルベティウス様は、笑いながらテスが淹れたお茶を飲む。
「未婚の王族が私室を尋ねる何て、其方の方が醜聞に成りかねないだろう?」
マカリスターはぐっと言葉に詰まった。
…何か追い詰めてるけど、此処、特別高位王族塔は、セキュリティーも厳しいし、そんな事はならないのに。マカリスター、騙されてるよ。まぁ、何も言うまい。ってか、既にレイモンド様が来てるけど、アルベティウス様には内緒だ。
「まぁ、今日の所は従兄妹同士の交流と言う事にしよう」
…私に何か言う積りで来ただろうに、針の筵になってしまったね。もう来ないでね。
アルベティウス様のお陰で、ピンチを切り抜ける事が出来た。今は、お茶を楽しもう。




