厄介な人物
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実技場で授業の開始を待っていると、マカリスターがお供を連れてやって来た。
「マカリスター皇子。貴方は特グループへいらして下さい。供は場外でお待ちを」
セレスティナ母様が、自分の方へ呼んだ。マカリスターのお供は出て行った。
「小奴達は、上か?」
私達を顎で指して聞く。
適当に誤魔化そうと、私が発言しようとした時だった。
「マカリスター皇子、私達は最特ですわっ」
―エスメラルダっ!いらん事言うなよ!!
得意気なエスメラルダに頭を抱えてしまう。
「何?この二人は貴族であろう?我よりも魔力が高い筈がなかろう。我は此方だ」
私達の方へ近づいて来た。
「マカリスター皇子。魔力測定で特に振り分けられております」
「それは、測定が間違っておるのだ。最特で良い」
セレスティナ母様は、はぁと溜息を吐くと
「分かりました。最特で結構です。但し、変更は承る事は出来ませんが?」
「変わることは無い。構わぬ」
マカリスターが、そう言うと、セレスティナ母様はニヤッと笑った。
…あ、何か企んでるな
「皆さん、お聞きになりましたね?マカリスター皇子は自ら最特を志願しました。何があっても変更しないと仰いました。皆さんが証人です。いいですね」
最特、特の皆は頷いた。
「では、失礼しますわね」
不敵な笑みを湛えて、セレスティナ母様は特グループへ向き直った。
「遅くなったね。始めようか」
アルベティウス様が現れた。
「な、何故貴方が?!」
マカリスターが、目が飛び出さんばかりにアルベティウス様を見ている。
「あれ?マカリスターじゃないか。留学していたのかい?」
マカリスターは真っ青になって、後ずさる。
「我は特らしいから、向こうへ…」
「ご自分で、最特を志願されたのではございませんの?」
私は笑顔でマカリスターに言う。
アルベティウス様に背を向けて、特へ行こうとしたマカリスターは、ウッと云う顔になった。
「マカリスターは、最特を志願したんだね。また、私に教わりたかったんだね」
アルベティウス様も凄い笑顔だ。マカリスターは全力で嫌がっている。
「き、聞いてない。アル兄が最特の講師だなんて、聞いてないっ!」
―『また』って事は、以前教えた事が有るんだね。その時の事がトラウマになってるのかな
「マック、心配しなくても私が何でも教えあげるよ」
アルベティウス様は笑顔だ。マカリスターは真っ青。
…アルベティウス様、態とやってるな。マカリスターにちょっとムカついてたけど、溜飲が下がったわ
「マックは属性判定してないよね。じゃぁ、測ろうか」
アルベティウス様は、どこからともなく、例の棒を出してマカリスターに渡す。
「下の方を持って魔力流して」
マカリスターは、まだ青褪めているが、諦めたのか大人しく従った。
測定器は白く染まる。しかし、リーネの様に濃い白では無かった。六割程度白く染まった後、残りは薄い黒に染まった。
「ふぅん。また珍しいね。魔力量は普通だけど、属性が風と闇だ。しかし…」
アルベティウス様は、マカリスターに向き直った。
「マック、13歳にもなって、この程度なんて。全然修練してなかったね?私が最後に毎日やりなさいと言った事は守ってなかった様だね」
「いや、あの…」
マカリスターは汗でベチャベチャだ。
アルベティウス様は、ふぅと溜息を吐いた。
「マック。この最特で最年長は君とシスティーナだ。二人には模範となるように頑張って貰わないと」
…そうか。1年だし皆同じ歳の様に思ってたけど、リーネもランも11歳だった。しっかりし過ぎじゃない?エスメラルダは何か納得。クリスティーナは嘘でしょ?11歳?!
「よし、じゃぁ今回から実技の訓練を始めようか。先ずは全員無属性の練習からね」
無属性は魔力が有れば誰もが使える魔術だ。誰しも使えるが、苦手な人は居る。自分の属性が強すぎると無属性に自分の属性を無意識に合成してしまうらしい。王族や魔力の多い貴族で更に騎士に多いらしい。身体強化、結界、物質移動、空間魔術等が無属性になる。自爆や盾魔術も無属性だ。
苦手な人は燃える結界とか、物を移動させたらビショビショとかになるんだそうだ。
「此処に水甕がある。中の水をこの細い瓶に零さず一杯にしてみて。水甕は真ん中に置くから、1人ずつ瓶を持って。ワードは分かるね?」
…そんなに簡単なことでいいの?取り敢えずやるか。
「水操作の術」
私はあっさりと、一滴の水も零さず、瓶に表面張力一杯まで水を満たした。
「「水操作の術」」
バシャ!ジャー!ポタポタ
色んな水が流れる音がする。皆発動する事は出来るが、繊細な操作は出来ない様だ。意外だったのはランとクリスティーナだ。
「何時も水操作では無く、自分で生み出しているので…」
ランは困り顔で言った。
…術が違うと操作の加減も変わるんだな。
「くっ。属性の訓練ばかりしていたわ…」
クリスティーナは無属性の練習はしていなかったようだ。
「無属性の魔術で繊細な操作を学ぶと、あらゆる魔術を扱う上で楽になるよ。無属性は魔術の基礎と言っていい」
―そうそう、私は幼い頃からセレスティナ母様やアルベティウス様からそう教わってきた。こんな事は5歳でマスターした。
アルベティウス様はビシャビシャになった床を端から水甕に戻していた。
「あ、ティーナ、代わって。私は皆を見るから」
やることも無く暇だったので、お掃除を請負う。
「あっ!」ジャバー。
「えいっ!」ビシャッ
皆が魔術を使う毎に濡れる、床や服から水を取り出し、水甕に戻す。
…中々大変だわ。
私は水を戻す事に夢中になり過ぎて、無詠唱だと気が付いて居なかった。
テスは3年生でした。密かに修正してます。間違っていたら教えてください。




